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妹がいなくなった

可愛い

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「オギャ、オギャ、オギャ、」

「可愛い女の子ですよ」

「…あり、が、とう、ござい、ます…」

「よく頑張りましたね」

「…は、い…」

「さあ、お母さん、お子さんとの対面ですよ?」


 産婆さんが私の顔の横に産まれたばかりの我が子を近づけ、


「ふふっ、ちっちゃい、可愛い。母様ですよ~」



 十何時間の末、女の子を出産した。


「産まれた!産まれた!俺の子が産まれた!産まれたぞーー!

神よ、感謝致します。俺に宝物を贈ってくださりありがとうございます。神よ、ううっ、ううっ、ううっ…、あり、が、とう、ご、ざい、ます、ううっ…」


 扉の向こうのチャーリーの叫び声と泣き声が聞こえる。


「旦那さん、どうぞお入りになって下さい」


 産婆さんが扉の向こうに声をかける。


バタン


「エ、エリー、ううっ…」


 チャーリーが泣きながら私のベッドは近寄り、


「ありがとう。ありがとう。ありがとう」

「チャーリー」


 私は泣いてるチャーリーの頭を撫でる。


「エリー」


 チャーリーが私の頬を撫でる。


「エリーも泣いてる…」

「チャーリーのが移ったのよ…」

「うん。ありがとう」

「女の子だって」

「エリーと一緒だね?次期キャメル侯爵だ」

「分からないわよ?次期ブラウニー侯爵かもよ?」

「ブラウニー家は親族から養子を貰うよ」

「どうして?」

「俺達の子供は一人でいい」

「どうして?」

「エリーだけが苦しい思いをする。俺は側にいる事しか出来なかった。それに出産は側にいる事も出来なくてエリーだけが苦しんだ」

「確かに悪阻の時は苦しかった。出産だって痛くて苦しくてどうして私ばっかりって思った」

「だろ?」

「でも、産んで子供を見た瞬間、苦しかった事なんて忘れたの」

「エリー」

「チャーリーとの愛の形でしょ?」

「そうだよ」

「ならもっとたくさん欲しい」

「エリー」

「チャーリーはたくさん子供がいたら嫌?」

「まさか!何人いても愛すよ」

「なら大丈夫。2人は不安だから3人?4人? 頑張ろうね、父様」

「ああ。でも今は産まれたばかりの愛する我が子の誕生を祝おう」

「そうね」

「抱っこしてもいいのかな?でも落としそうだ」

「ふふっ、大丈夫よ?抱っこしてあげて?」

「はい、お父さん、お子さんですよ」


 産婆さんがチャーリーの腕の上に乗せ、チャーリーは少し硬くなりながらも我が子をその手に抱いた。


「可愛い」


 チャーリーの優しい声。


「愛しい我が子よ。父様ですよ」


 チャーリーの優しく語る声。


「愛してるよ。産まれてきてくれてありがとう」


 チャーリーの瞳に涙が溜まっている。


「ありがとう」


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