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「私は時期宰相として色々と見聞きしてきました。前侯爵の功績も聞いています。それに夫人の事も。お二人共慈悲深い方々だ。 尊敬に値します。
エミリーヌも自分の手元に置いた者は何が何でも護りきる。それはお二人の血を受け継いだからだ。エミリーヌも慈悲深いんだよ?」
「私は私の為に力を貸してくれる人達に少しでも報いたいだけよ?」
「エミリーヌはきっとご両親の事も許すだろ?」
「それは…」
「前侯爵も夫人も、手助けしようと思ってる」
「「………」」
「それで良いと思います。貴方方は悪にはなれない」
「チャーリー…」
「そこが貴方方の魅力であり、尊敬できる生き方です。私もそんな生き方をしたい」
「チャーリーなら出来るわ。現に私は助けられたわ」
「この国にはまだまだ手助けが必要な者が多い。貴方方の手を私に貸してほしい。私を助けてほしい。お願いします」
「チャーリー君、いや、チャーリー、儂もヘレンも貸せる手があるなら貸す。心配するな」
「ありがとうございます」
「惜しいな」
「はい?」
「実に惜しい」
「はい?」
「チャーリーは宰相になるべきだ」
「私には過去の夢です」
「不貞をしたからか?」
「はい…」
「不貞な。儂はヘレン一筋だ。ヘレン以外のおなご等見えん」
「…はい…」
「だがな、ヘレンも儂一筋だ。な?」
「ええ」
「愛しいと思う気持ちはお互いが持ち合わせてこそだ。チャーリーと元婚約者は初めから違ったのだろ?」
「ですが、努力を怠った私の責任です」
「努力するものではないぞ?愛しいと思う気持ちは心だ。努力でどうにかなるものではない」
「ですが、政略結婚とはそういうものです」
「確かにな。だけどな、例え政略結婚でもお互いを気遣う気持ちを持たないと駄目だ。政略結婚だから愛せなくて当然ではない。政略結婚だからこそ相手を気遣う気持ちを持たないといけない。お互いを気遣う事で少しずつ歩みより情がうまれる。その情をお互いで増やしていき愛しいと思う気持ちになる。
チャーリーは元婚約者を気遣う気持ちを持っていたか?」
「初めは、ですが…」
「だが、あちらは持っていなかった」
「…はい」
「片方だけが持ち合わせても上手くはいかん。チャーリーと元婚約者は初めから間違っていたんだ。エミリーと元婚約者もそうだ。
不貞をしたのは許されざる事だが、不貞をするに至るまでの理由もあるはずだ。違うか?」
「ですが、そんな理由取るに足らない理由です」
「だが、チャーリーには重大だったのではないのか?」
「それは…」
「他人にとって些細な理由でも、本人にとっては重大な理由はある。その先に結び付いたのが不貞だったのではないのか?」
「ですが、婚姻するまで待つべきでした」
「婚約中だろうが、婚姻してようが、結果は同じだ。婚姻したら愛人を認めると思うか?あの娘には無理だ」
「ですが…」
「儂はな、愛人や恋人を作るのも一つの形だと思う。護るというな」
「はい…」
「相手を護る、自分を護るというな。儂はヘレン一筋だが、愛人や恋人を作る生き方を否定はせん」
「はい…」
「それで護れる者がいるからだ。愛のない結婚はやがて虐げる元になる。愛人がいたなら虐げる事はせん。邸には戻らぬからな。それに相手に少なからず後ろめたい気持ちがある」
「はい…」
「それで護られる者がいるならそれで良いではないか」
「はい…」
「チャーリー、お前も過去の自分を否定するな」
「ですが…」
「過去のお前もお前だ。否定する所がどこにある。不貞をしたから何だ。エミリーは過去のお前を含めて愛しいと思ってるのではないのか?」
「そう、です、が…」
「なら不貞をした自分を許してやれ。不貞をして護った自分を許してやれ」
「はい…」
「あの娘の婚約者は辛かっただろう」
「はい…」
「よく頑張ったな」
「うっ、は、はい…」
「宰相になれ」
「それは、出来ません」
「いや、なれ」
「なれません」
「なれる。儂が宰相にする」
「え?」
「宰相には国全体を見通せる力量が必要だ。そして公平に扱え物事を冷静に判断出来る頭脳、人を見抜く目、そして何より大事なのは心だ、強い心だ」
「私など、」
「無いか?」
「はい」
「確かに前は不完全だった。弱き者が何を指すか知らなかった。誰でも弱き者は女性だと思うだろう」
「そうですね」
「ならば、今のチャーリーに聞く。弱き者は何を指す」
「弱き者は迫害に遭いやすい、平民、その中でも孤児院で育った者達。そして職にありつけず浮浪者になった者達、でしょうか」
「そうだ。この世で生きる命ある者は人として扱われ、人として生きるべきだ」
「はい」
「陛下の成すべき事ではあるが、陛下は采配を振る存在だ。その補佐が宰相だ」
「はい」
「補佐とは幅広い。そして陛下と同じ思いだけ民を思わないといけない」
「はい」
「チャーリーは良い経験が出来たな」
「はい?」
エミリーヌも自分の手元に置いた者は何が何でも護りきる。それはお二人の血を受け継いだからだ。エミリーヌも慈悲深いんだよ?」
「私は私の為に力を貸してくれる人達に少しでも報いたいだけよ?」
「エミリーヌはきっとご両親の事も許すだろ?」
「それは…」
「前侯爵も夫人も、手助けしようと思ってる」
「「………」」
「それで良いと思います。貴方方は悪にはなれない」
「チャーリー…」
「そこが貴方方の魅力であり、尊敬できる生き方です。私もそんな生き方をしたい」
「チャーリーなら出来るわ。現に私は助けられたわ」
「この国にはまだまだ手助けが必要な者が多い。貴方方の手を私に貸してほしい。私を助けてほしい。お願いします」
「チャーリー君、いや、チャーリー、儂もヘレンも貸せる手があるなら貸す。心配するな」
「ありがとうございます」
「惜しいな」
「はい?」
「実に惜しい」
「はい?」
「チャーリーは宰相になるべきだ」
「私には過去の夢です」
「不貞をしたからか?」
「はい…」
「不貞な。儂はヘレン一筋だ。ヘレン以外のおなご等見えん」
「…はい…」
「だがな、ヘレンも儂一筋だ。な?」
「ええ」
「愛しいと思う気持ちはお互いが持ち合わせてこそだ。チャーリーと元婚約者は初めから違ったのだろ?」
「ですが、努力を怠った私の責任です」
「努力するものではないぞ?愛しいと思う気持ちは心だ。努力でどうにかなるものではない」
「ですが、政略結婚とはそういうものです」
「確かにな。だけどな、例え政略結婚でもお互いを気遣う気持ちを持たないと駄目だ。政略結婚だから愛せなくて当然ではない。政略結婚だからこそ相手を気遣う気持ちを持たないといけない。お互いを気遣う事で少しずつ歩みより情がうまれる。その情をお互いで増やしていき愛しいと思う気持ちになる。
チャーリーは元婚約者を気遣う気持ちを持っていたか?」
「初めは、ですが…」
「だが、あちらは持っていなかった」
「…はい」
「片方だけが持ち合わせても上手くはいかん。チャーリーと元婚約者は初めから間違っていたんだ。エミリーと元婚約者もそうだ。
不貞をしたのは許されざる事だが、不貞をするに至るまでの理由もあるはずだ。違うか?」
「ですが、そんな理由取るに足らない理由です」
「だが、チャーリーには重大だったのではないのか?」
「それは…」
「他人にとって些細な理由でも、本人にとっては重大な理由はある。その先に結び付いたのが不貞だったのではないのか?」
「ですが、婚姻するまで待つべきでした」
「婚約中だろうが、婚姻してようが、結果は同じだ。婚姻したら愛人を認めると思うか?あの娘には無理だ」
「ですが…」
「儂はな、愛人や恋人を作るのも一つの形だと思う。護るというな」
「はい…」
「相手を護る、自分を護るというな。儂はヘレン一筋だが、愛人や恋人を作る生き方を否定はせん」
「はい…」
「それで護れる者がいるからだ。愛のない結婚はやがて虐げる元になる。愛人がいたなら虐げる事はせん。邸には戻らぬからな。それに相手に少なからず後ろめたい気持ちがある」
「はい…」
「それで護られる者がいるならそれで良いではないか」
「はい…」
「チャーリー、お前も過去の自分を否定するな」
「ですが…」
「過去のお前もお前だ。否定する所がどこにある。不貞をしたから何だ。エミリーは過去のお前を含めて愛しいと思ってるのではないのか?」
「そう、です、が…」
「なら不貞をした自分を許してやれ。不貞をして護った自分を許してやれ」
「はい…」
「あの娘の婚約者は辛かっただろう」
「はい…」
「よく頑張ったな」
「うっ、は、はい…」
「宰相になれ」
「それは、出来ません」
「いや、なれ」
「なれません」
「なれる。儂が宰相にする」
「え?」
「宰相には国全体を見通せる力量が必要だ。そして公平に扱え物事を冷静に判断出来る頭脳、人を見抜く目、そして何より大事なのは心だ、強い心だ」
「私など、」
「無いか?」
「はい」
「確かに前は不完全だった。弱き者が何を指すか知らなかった。誰でも弱き者は女性だと思うだろう」
「そうですね」
「ならば、今のチャーリーに聞く。弱き者は何を指す」
「弱き者は迫害に遭いやすい、平民、その中でも孤児院で育った者達。そして職にありつけず浮浪者になった者達、でしょうか」
「そうだ。この世で生きる命ある者は人として扱われ、人として生きるべきだ」
「はい」
「陛下の成すべき事ではあるが、陛下は采配を振る存在だ。その補佐が宰相だ」
「はい」
「補佐とは幅広い。そして陛下と同じ思いだけ民を思わないといけない」
「はい」
「チャーリーは良い経験が出来たな」
「はい?」
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