妹がいなくなった

アズやっこ

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「エリーお待たせ~」


 チャーリーが走って向かって来ます。


「あれ、お祖母様も一緒だったのですね。今からお祖母様の家に行こうと思っていました」

「そうなの?それよりチャーリー、こんな可愛らしいお嬢さんが婚約者なんて貴方は幸せね」

「はい。それはもう」

「チャーリー、今度は婚約者を大事にしなさいよ?」

「当たり前です。俺はエリーをもう離せませんから」

「そのようね。安心したわ」

「お祖母様はどうしてこちらへ?」

「ローラから今日来る事は聞いていたし、元気な貴方の顔を早く見たくて。 元気そうで良かったわ。もう会えないと思っていたから」

「心配かけてすみません。でももうこの国へ帰って来ました。お祖母様も元気そうで良かったです」

「おかえりチャーリー」

「はい。ただいまお祖母様」


 チャーリーはお祖母様を優しく抱き締めた。

 チャーリーのお祖母様の家は邸から歩いて数分離れた所にあって、お昼ご飯をご馳走になった。チャーリーの隣国での生活の話をして、ミリー商会が元は私の商会だった事、チャーリーを助けたお礼を言われた。


「エミリーヌちゃん、本当にありがとう」

「もうお礼は沢山頂きましたので」

「またいつでも遊びに来てね」

「はい。また遊びに来ます」

「チャーリーもたまには顔を出してね」

「はい。領地の事も気になるのでこれからはちょくちょく顔を出します」


 私達は馬車に乗り、馬車から手を振った。

 領地の中でも薔薇が一面咲いている薔薇園に来て、


「凄い」

「だろ?」

「綺麗」

「エリーの可愛さには負けるけどね」

「もう!薔薇と一緒にしたら薔薇に失礼だわ」

「そんな事ないのに」


 チャーリーと手を繋ぎ小道を通り歩いた。見渡す限り薔薇、薔薇、薔薇。

 突然後ろから抱き締められ、


「エミリーヌ、愛してる」

「チャーリー?」

「俺と結婚してくれる?」

「うん」


 チャーリーを見上げるととても真剣な顔で私を見ていた。

 チャーリーは私の前に来て、片膝を付いて私を見上げる。


「エミリーヌ、これから一生側に寄り添い支え、楽しみも喜びも悲しみも苦しみも一緒に分け合いながら二人で同じ時を過ごそう。もう手放す事も離れる事も出来ないけど、エミリーヌを愛し、エミリーヌの心を護るのは俺だけでありたい。愛してる。俺の最愛の人。俺と結婚して頂けますか?」


 チャーリーは指輪の入ったケースを私に向けた。


「受け取って欲しい」

「はい」


 私はポロポロと涙を流した。

 チャーリーは立ち上がり私を抱き締めた。


「泣かないで」

「う、嬉しい、泣き、だから」

「分かってる」

「私、こそ、よろしく、お願い、します」

「必ず幸せになろうね」

「うん」

「指輪はめて良い?」

「うん。はめて」


 チャーリーは私の薬指に指輪をはめた。ピンクがかったゴールドの指輪で紫色の宝石が乗っているとても綺麗な指輪。


「気にいった?」

「うん、素敵。ありがとう。大事にする」

「良かった」

「二人の色?」

「そう。二人で力を合わせて生きていこうって意味でギルに作って貰った」

「そう。ありがとう、嬉しい」


 チャーリーは私を抱き締め、私の唇にチャーリーの唇が重なり口付けをした。


「エリー愛してる」

「私も愛してるチャーリー」


 私達は何度も口付けをした。軽くだったり長かったり。離れたらまた口付けした。


「これ以上すると駄目だ」

「どうしたの?」

「これ以上口付けするとエリーを馬車に閉じ込めてずっと口付けしてたくなる」

「それでも私は良いけど…」

「エリーそこは拒否する所」

「でも私もチャーリーと口付けしたいもの」

「うっ。だけど今日はエリーにまだ贈りたいから我慢する」

「もう沢山貰ったわよ? 指輪も、この薔薇の景色も、お祖母様とお会いした事も」

「まだまだ贈りたいの。行こ?」

「うん」


 チャーリーに手を引かれ馬車に乗り込み店が立ち並ぶ街へ来た。


「まずは香水からね」

「香水?」

「この中から好きな瓶を選んで」

「う~ん、これ。この薄紫色の瓶が良い」

「分かった。ちょっと待ってて」


 薄紫色の瓶を持って店員さんに渡すと香水を瓶の中に入れた。


「はい。エリー専用の香水だよ?香りはごめん。俺の好きな香りにしちゃった」

「チャーリーの好きな匂いなの?」

「そう。選びたかったよね?ごめんね?」

「嬉しい。チャーリーに護られてるみたい」

「良かった」

「ありがとう」


 店を出てまた違う店に入った。


「好きなの選んで?」

「良い匂い。これは石鹸?」

「そう。匂いは全部一緒だけど、形は色々あるし色も好きなの選んでね」

「うん」


 薔薇の花の形や四角や楕円形やひし形やハートの形をした物があり、私は薔薇の花の形の石鹸を手に取った。


「薔薇の形のにしたの?」

「同じ石鹸なら可愛い方が良いかなと思って」

「そっか。色はどうする?」

「赤もピンクも可愛いし、ブルーも気になる」

「なら全部買おう」

「良いの?」

「良いよ。どうせなら全部の色買おう」


 チャーリーは全部の色、赤、ピンク、白、黄色、ブルー、オレンジ、6色の石鹸を買ってくれた。


「ありがとう。今日から使うね」

「喜んでくれて嬉しいよ」


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