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朝目が覚めると一瞬何処にいるのか分からなかった。
「そうだ…。チャーリーの家だ…。あれ?私なんでチャーリーの部屋に居るの?」
周りをキョロキョロと眺め、
「そうだった。夜中怖くてチャーリーの部屋に来て、私が眠るまで側に居てくれて……。私、寝ちゃったのね。 チャーリーに迷惑かけちゃった。 チャーリーどこに居るんだろう…」
私は自分の部屋に戻ろうとチャーリーの部屋を出ようと。廊下で話し声が聞こえ、
「どうして貴方は反省をしないの?」
「だから何度も言っています。怖がるエミリーヌを一人に出来ないと」
「だとしてもエミリーヌちゃんは婚姻前の令嬢なの。分かってるの?」
「分かってます。ですが、昨日ご両親から受けた心の傷が癒えるまで、母上に何を言われようと俺はこれからも一緒に寝ます」
「貴方は一度私の信用を失ってるの。分かるわね?」
「分かってます。エミリーヌを傷つける様な事はしないし、エミリーヌが後ろ指さされる様な事は絶対にしません」
「それを信じろと?」
「俺は女性と身体を繋げました。俺の事、信じられないと言われるのも分かっています。一度知った女性との行為を、身体を、横に眠る愛する人へ自分の欲を我慢出来る訳ないと言いたいのですよね?」
「そうよ」
「確かにエミリーヌの事を愛する女性として全く欲がないとは言いません」
「ほら」
「なら母上は俺が身体を繋げれれば誰でも良いとお思いですか?」
「そうではないわ」
「愛する女性が側に居て欲がわくのは当たり前です。ですが、俺はエミリーヌのご両親とは違う。自分の快楽や欲に負けない。一度負けた人が何を言ってるとお思いでしょう。一度負けたからです。地べたで寝転び、先の見えない不安。今自分は生きてるのか死んでるのかさえ分からない。いっそ死んでしまえたらと思っても目が覚める。絶望、孤独、心の中を闇が広がっていく。底なし沼にどんどん堕ちていく感じです。一度身を持って経験したからこそ、己を律し我慢出来るのです」
「それでも同じ床に寝るのは駄目よ」
「分かってます。ですが、俺はエミリーヌの心を護りたい。もう我慢してほしくないんです。俺を頼ってくれて嬉しかった。エミリーヌは今迄人に頼る事をせずに頑張ってきた。 兄代わりのグレンさん、親代わりのジムさんやメイさん、エミリーヌが頼れ信頼していたのはたった3人です。お祖父様の前侯爵と夫人を入れても5人だけです。当主の代わりにキャメル侯爵家の全てを担ってきてたった5人ですよ? 赤子の時から頼る事をせず、いえ違います、頼り方を知らず19年生きてきました。 そんなエミリーヌが俺を頼ってくれた。それがいかに凄い事か、母上は分かりますか?」
「分かるわ。貴方がエミリーヌちゃんの事をどれだけ大事に大切に思っているか。それに、どうしてエミリーヌちゃんが貴方に頼ったのか。きちんと分かってるわ」
「お父上に頬を打たれた時の恐怖がエミリーヌの心をどれ程深く傷つけたと思います?ご両親の自分勝手な考え方でどれ程心が痛んだと思います? エミリーヌが俺を頼ってくれる以上、俺はエミリーヌもエミリーヌの心も護りたい。そして俺は側に居ると絶対に側を離れないと示したい」
「……分かったわ。貴方を信じるわ」
「ありがとうございます」
チャーリーが自分の部屋に戻って来て、扉の所に居た私と目があった。
「起きた?」
「うん……」
「聞こえた?」
「うん……。チャーリーに迷惑…かけちゃった」
「迷惑なんてかけられてないよ?」
「でも……」
「俺はエミリーヌの側に居たい。俺はエミリーヌもエミリーヌの心も癒やし護りたい。それに頼られて嬉しかった。その気持ちに嘘はない」
「うん……」
「エミリーヌを愛する女性として欲する目で見てるのは本当」
「うん……」
「そういう気持ちを隠したり嘘をついたりしても仕方ないだろ?」
「うん…。嘘をつかれるのは嫌……」
「だけどね、俺は自分の欲を優先したい訳じゃない」
「うん……」
「エミリーヌを愛してるからこそ、エミリーヌをエミリーヌの傷付いた心を癒やし護りたい」
「うん……」
「それは俺にしか出来ないと俺は思ってる」
「うん……」
「だからね、これからも頼ってほしい」
「良いの?」
「勿論。一人で我慢してほしくないし、一人で泣いてほしくない。涙は俺が拭いたいし、抱き締めて安心してほしい」
「うん」
「それにエミリーヌが俺の事を心が許せて頼れる存在だと認めてくれたって事だろ?」
「そんなのとっくよ」
「本当?」
「私にとって大事な商店を任せた時にはもうチャーリーに心を許せて頼ってた」
「そっか」
「うん。ねぇチャーリー」
「何?」
「夜が……怖いの。夜になるのが、眠るのが……怖いの……」
「今日から一緒に寝よう」
「……うん」
「俺がずっと抱き締めて離れない」
「……うん」
「途中で目が覚めたら俺を起こせば良い」
「良いの?」
「良いにきまってるだろ?」
「うん」
「他は?」
「チャーリーが起きたら私を起こしてほしい」
「どうして?」
「目が覚めてチャーリーが居ないと少し不安……」
「分かった。一緒に起きて一緒に朝食を食べよ?もし早く目が覚めた時は庭を散歩しても良いし、布団の中でゴロゴロして話をしても良いしね」
「うん」
「でも一つ約束して?」
「何?」
「心を隠さないで」
「どう言う事?」
「不安の時は不安、寂しい時は寂しい、嫌な時は嫌、悲しい時は悲しい、怖い時は怖い、どんな事でも我慢はしないでほしい。エミリーヌの心を見せてほしい」
「分かった」
「そうだ…。チャーリーの家だ…。あれ?私なんでチャーリーの部屋に居るの?」
周りをキョロキョロと眺め、
「そうだった。夜中怖くてチャーリーの部屋に来て、私が眠るまで側に居てくれて……。私、寝ちゃったのね。 チャーリーに迷惑かけちゃった。 チャーリーどこに居るんだろう…」
私は自分の部屋に戻ろうとチャーリーの部屋を出ようと。廊下で話し声が聞こえ、
「どうして貴方は反省をしないの?」
「だから何度も言っています。怖がるエミリーヌを一人に出来ないと」
「だとしてもエミリーヌちゃんは婚姻前の令嬢なの。分かってるの?」
「分かってます。ですが、昨日ご両親から受けた心の傷が癒えるまで、母上に何を言われようと俺はこれからも一緒に寝ます」
「貴方は一度私の信用を失ってるの。分かるわね?」
「分かってます。エミリーヌを傷つける様な事はしないし、エミリーヌが後ろ指さされる様な事は絶対にしません」
「それを信じろと?」
「俺は女性と身体を繋げました。俺の事、信じられないと言われるのも分かっています。一度知った女性との行為を、身体を、横に眠る愛する人へ自分の欲を我慢出来る訳ないと言いたいのですよね?」
「そうよ」
「確かにエミリーヌの事を愛する女性として全く欲がないとは言いません」
「ほら」
「なら母上は俺が身体を繋げれれば誰でも良いとお思いですか?」
「そうではないわ」
「愛する女性が側に居て欲がわくのは当たり前です。ですが、俺はエミリーヌのご両親とは違う。自分の快楽や欲に負けない。一度負けた人が何を言ってるとお思いでしょう。一度負けたからです。地べたで寝転び、先の見えない不安。今自分は生きてるのか死んでるのかさえ分からない。いっそ死んでしまえたらと思っても目が覚める。絶望、孤独、心の中を闇が広がっていく。底なし沼にどんどん堕ちていく感じです。一度身を持って経験したからこそ、己を律し我慢出来るのです」
「それでも同じ床に寝るのは駄目よ」
「分かってます。ですが、俺はエミリーヌの心を護りたい。もう我慢してほしくないんです。俺を頼ってくれて嬉しかった。エミリーヌは今迄人に頼る事をせずに頑張ってきた。 兄代わりのグレンさん、親代わりのジムさんやメイさん、エミリーヌが頼れ信頼していたのはたった3人です。お祖父様の前侯爵と夫人を入れても5人だけです。当主の代わりにキャメル侯爵家の全てを担ってきてたった5人ですよ? 赤子の時から頼る事をせず、いえ違います、頼り方を知らず19年生きてきました。 そんなエミリーヌが俺を頼ってくれた。それがいかに凄い事か、母上は分かりますか?」
「分かるわ。貴方がエミリーヌちゃんの事をどれだけ大事に大切に思っているか。それに、どうしてエミリーヌちゃんが貴方に頼ったのか。きちんと分かってるわ」
「お父上に頬を打たれた時の恐怖がエミリーヌの心をどれ程深く傷つけたと思います?ご両親の自分勝手な考え方でどれ程心が痛んだと思います? エミリーヌが俺を頼ってくれる以上、俺はエミリーヌもエミリーヌの心も護りたい。そして俺は側に居ると絶対に側を離れないと示したい」
「……分かったわ。貴方を信じるわ」
「ありがとうございます」
チャーリーが自分の部屋に戻って来て、扉の所に居た私と目があった。
「起きた?」
「うん……」
「聞こえた?」
「うん……。チャーリーに迷惑…かけちゃった」
「迷惑なんてかけられてないよ?」
「でも……」
「俺はエミリーヌの側に居たい。俺はエミリーヌもエミリーヌの心も癒やし護りたい。それに頼られて嬉しかった。その気持ちに嘘はない」
「うん……」
「エミリーヌを愛する女性として欲する目で見てるのは本当」
「うん……」
「そういう気持ちを隠したり嘘をついたりしても仕方ないだろ?」
「うん…。嘘をつかれるのは嫌……」
「だけどね、俺は自分の欲を優先したい訳じゃない」
「うん……」
「エミリーヌを愛してるからこそ、エミリーヌをエミリーヌの傷付いた心を癒やし護りたい」
「うん……」
「それは俺にしか出来ないと俺は思ってる」
「うん……」
「だからね、これからも頼ってほしい」
「良いの?」
「勿論。一人で我慢してほしくないし、一人で泣いてほしくない。涙は俺が拭いたいし、抱き締めて安心してほしい」
「うん」
「それにエミリーヌが俺の事を心が許せて頼れる存在だと認めてくれたって事だろ?」
「そんなのとっくよ」
「本当?」
「私にとって大事な商店を任せた時にはもうチャーリーに心を許せて頼ってた」
「そっか」
「うん。ねぇチャーリー」
「何?」
「夜が……怖いの。夜になるのが、眠るのが……怖いの……」
「今日から一緒に寝よう」
「……うん」
「俺がずっと抱き締めて離れない」
「……うん」
「途中で目が覚めたら俺を起こせば良い」
「良いの?」
「良いにきまってるだろ?」
「うん」
「他は?」
「チャーリーが起きたら私を起こしてほしい」
「どうして?」
「目が覚めてチャーリーが居ないと少し不安……」
「分かった。一緒に起きて一緒に朝食を食べよ?もし早く目が覚めた時は庭を散歩しても良いし、布団の中でゴロゴロして話をしても良いしね」
「うん」
「でも一つ約束して?」
「何?」
「心を隠さないで」
「どう言う事?」
「不安の時は不安、寂しい時は寂しい、嫌な時は嫌、悲しい時は悲しい、怖い時は怖い、どんな事でも我慢はしないでほしい。エミリーヌの心を見せてほしい」
「分かった」
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