妹がいなくなった

アズやっこ

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 私は執務室を出て邸の外へ出た。門の所では元婚約者が騒ぎ、門を挟んでグレンとチャーリーと他の騎士が居た。


「お嬢様、中へ入りましょう。あそこは息子に任せて、さぁ中へ」

「ジム、悪いんだけど、もう一度、緊急で騎士団に要請を入れて」

「先程申し入れしました」

「そう。サラの事があったから騎士団も様子見してるのかもしれないわね。 もう一度要請して。3度要請しても来ない様なら当主の判断で我が家の騎士隊に捕縛させるわ。何度も要請してるのに答えてくれない騎士団が悪いわ。何も言わせない」

「分かりました。今すぐ要請を出します。お嬢様はこちらから動かないで下さい」

「分かってる」


 ジムは騎士団の要請を出しに行った。 私は少しづつ近寄り、元婚約者とチャーリーが話してるのを離れた所から聞いていた。

 いつの間にかグレンに近づき、


「エミー、お前は邸に戻れ。親父はどうした」

「ジムにもう一度騎士団への要請を頼んだわ」

「ならお前は邸に戻れ」

「グレン、最悪の場合、当主命令で捕縛を許可するわ」

「分かった。だからお前は戻れ」


 私は歩むのを止めず、グレンに腕を掴まれた。


「エミー、駄目だ。俺が許さない」

「分かってる。だけど私が解決するしかないの。今捕縛してもまた来るわ。その度に騒がれるのは面倒だわ」

「エミー!」

「グレン分かってる。でもグレンは私を護ってくれるでしょ? お願い。私があの男に言いたいの」

「はぁぁ。分かった。だけど俺の判断で捕縛するからな」

「うん。グレンに任せる」


 私は歩み寄り、チャーリーの横に立った。


「エミリーヌ、どうして来た。ジムさんは?グレンさんは?」

「チャーリーありがとう。これは私の問題なの。私が解決しないといけない問題なの」

「分かった」


 チャーリーは私の腰に手をやり、チャーリーの元へ引き寄せ、額に口付けた。


「チャーリー?」

「ん?俺の愛しい人。婚約者の俺が側に居たら駄目かな?」

「チャーリー…。はぁぁ。分かった、側に居て?」

「勿論だよ。愛するエミリーヌ」


 チャーリーはまた額に口付けした。

 私は元婚約者と向き合い、


「ジェフ様、私達は婚約破棄したはずですけど」

「俺がもう一度なってやる。有り難く思え」

「もう一度?嫌です。こちらからお断りしますわ」

「は?俺がお前を貰ってやるって言ってるだぞ」

「だから貰って貰わなくて結構ですわ」

「お前など誰が相手する。可愛げもない、冷たくて薄情な女」

「可愛げのなく冷たくて薄情な女と言うのなら貴方も相手にしなければ良いのではなくて?それに、可愛げなく冷たく薄情な女でも良いと言って下さる殿方もおりますの。ね?チャーリー」


 私は隣に立つチャーリーを見つめた。


「ああ。俺には可愛くて温かくて優しい女性にしか見えないけどね。エミリーヌ、愛してるよ」


 チャーリーは額に口付けした。


「だそうですわ。貴方に心配して頂けなくてもこうして婚約者も出来ましたし?私の事を愛してくれますし、私も愛してますもの」


 私もチャーリーの頬へ口付けた。


「何を。お前はふしだらな女だな」

「ふしだら?どうしてですの?婚約者でお互い愛しあっておりますのよ? チャーリーは貴方と違って婚約者として誠実な方ですの。チャーリーの色のドレス、宝石、髪飾り、それもお茶会用と夜会用と私の為に贈って下さるの。確かに婚約者として最低限のマナーですわね。ですが、貴方は最低限のマナーすら私に贈ってはくれませんでしたわ。 そんな方婚約者と言えますの? 妹のサラに好意を抱いてサラにだけ愛を囁く方をどうして私が我慢してまで婚約していなければなりませんの? 貴方が婚約破棄しなくてもいずれ私から婚約破棄してましたわ。 誠実ではない人と婚姻する訳ないではないですか。そうですわよね?」

「お前……」

「貴方からの婚約破棄であったにも関わらず何故私が慰謝料請求をしなかったとお思いで? 慰謝料を払い終わるまで関係が続くと思ったら反吐が出ると思ったからですわ」

「お前、言わせておけば、何様だ!」

「そうですわね。何様と言われるのでしたら、侯爵様?かしら。私、キャメル侯爵になりましたの。当主ですわ当主。私は貴族、貴方は平民、地位も立場も違い過ぎますわ。平民が貴族に逆らうとは嘆かわしい」

「と、当主だと」

「ええ。王命で当主になりましたの。 貴方はサラに捨てられ、伯爵家当主のお兄様にも捨てられ、貴族を捨て今は平民」

「兄上は俺を見捨てなどしてない」

「伯爵家当主として、今後貴方が我が侯爵家で騒ぎをおこす様なら、伯爵家とは関係ない者なので騎士団へ捕縛して貰って構わないと書簡が届きましたわ。貴方はお兄様に既に捨てられてますの。騒ぎをおこす前から」

「そんな……馬鹿な……」

「ねぇジェフ様?貴方はサラを追って平民になった。貴族と平民とでは立場が違う事は分かりますわよね? もうこんな馬鹿な事をしないで平民として真っ当に生きて下さいまし。 

それに私、チャーリーと婚約して始めて人を愛する事がこんなに心が温かくて穏やかで幸せだと思いましたの。 貴方と婚約してたら一生分からなかった思いですわ。 チャーリーは貴方と違い、私を理解し認めてくれ侯爵家を一緒に背負ってくれ、そして私をありのままの私を愛してくれますの。

もう貴方を婚約者にする気も貴方を許そうとも貴方を愛そうとも全く思えませんの。お分かり頂けたならお帰り下さいまし」


 私はチャーリーと一緒に邸に向かって歩き出した。


「ま、待ってくれ。俺はどうしたら良い?」

「そんなのご自分で考えて下さい。私は知りません。もう貴方とは関係ない人間なので。さよなら」


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