妹がいなくなった

アズやっこ

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 騎士隊の報告では、街にサラらしき人は見つからず、邸にも誘拐らしき手紙も来てない。一応、街の騎士団と王宮の騎士団に捜索をお願いした。

 ジムに婚約破棄の書類を受理した書類を見せて貰い、その写しも伯爵家へ送る。


 グレンが戻って来て、仕事を頼んで来たと言ったから密偵の報告を待つ。数日後には何かしら手掛かりかサラが見つかるでしょう。


 次の日、街の騎士団からも王宮の騎士団からもサラらしき人物の手掛かりもなく、王宮の騎士団の方が部屋を見に来た時に、部屋の中が荒らされた様子もない事から誘拐ではなく、家出ではないかと。 お父様とお母様は「家出する理由がない」と、騎士団にはもう一度探して欲しいと。

 それでも騎士団からの報告は前回と同じで、サラらしき人物の手掛かりがなく、サラ自身も見つからない為、家出ではないかと言われた。

 それを聞いたお父様とお母様は、「国中探してでも見つける」と邸を後にした。


「ねぇ、あの人達馬鹿なの?」


 私は馬車に乗って探しに出て行った両親を見つめ、隣にはジムが立っている。


「私の口からは何とも」

「そうね。お祖父様に連絡お願いね」

「はい。心得ております」


 お父様が邸を3ヶ月開ければ、当主の資格無しでお祖父様に当主の権限が戻る。そしたら私を当主に指名して貰い、私が当主になれるよう手配しましょう。


 当主に全権限がある以上、当主が一番偉いのだけど、貴族として当主の責任は重大だ。領民を護り、領地を発展、もしくは維持するのが領主であり、当主の仕事だ。そして、それ等を纏めて国へ報告するのも当主の仕事。国王陛下からの呼び出しがあれば当主自ら出向き報告する。

 当主とは、邸で当主の仕事をして指示を出さないといけない為、当主自ら邸を留守にする事は出来ない。領地に視察に行く時は前もって国へ連絡するか、3ヶ月以内に本邸に戻ればお咎めはない。

 それでも行動は制限されるし、領地に居ても、国王陛下から呼び出しがあれば領地から戻り報告する。 

 領地へ行くと国へ報告してあれば何ヶ月領地に居ても良いし、領地に行ってるのを態々呼び出す程、国王陛下も人でなしではない。

 国王陛下も話の分かる人だけど、騎士団が家出と結論付けた成人した子供を探し回る旅を、どう思うかは分からないけど。





次の日、お祖父様から本邸へ来て、


「エミリー、サラが居なくなったと聞いたが」

「ええ。王宮の騎士団の捜索でも見つからず、部屋も荒らされて無い事から家出と結論付けられましたわ」

「そうか。で、あ奴等は何処に行った?」

「サラを探しに国中回るそうですわ」

「何だと!成人した子供が自分の意志で出て行ったのを国中探し回るだと!」

「はい。そのようですわ」

「馬鹿者達が!国へは報告して行ったのか?」

「お祖父様、報告したと思われます?」

「あ奴はせんだろうな。その事も知らぬのではないのか?」

「それは分かりませんが、一応二人共、貴族学園卒業されてますよね?」

「そうだな。だが、これで堂々エミリーを当主に指名出来る」

「指名ですか。お祖父様が代わりに当主になられてもよろしいのですよ?」

「馬鹿を言え!儂は嫌だ!これ以上邪魔はされたくない」

「もう!お祖父様はお祖母様だけですのね」

「当たり前だ」

「お祖父様、後、私、ジェフ様に婚約破棄されましたの」

「ジムに聞いた。可愛いエミリーを罵倒したらしいな」

「罵倒?そうですわね。私に一人で街まで探しに行けと言われましたわ。私は薄情で冷たい女らしいですわ」

「はぁ?マルボール伯爵家は貴族の娘に一人で探せとな!そんな家とは縁を切れ」

「もう書類は送りましたわ」

「それで良い。伯爵家の愚息との婚約もあの馬鹿が結んだんだったな。本当に碌な事をせぬ奴だ。伯爵家が何か言ってきたら直ぐに呼べ。直ぐ駆け付ける」

「はい。お祖父様」


 お祖父様は私を抱き寄せ、額に口付けを落とし、お祖母様が待つ家に帰って行った。


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