妹がいなくなった

アズやっこ

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私はキャメル侯爵家長女、エミリーヌ。


 執事のジムとメイド長のメイは私の味方。味方と言っても私がこの侯爵家を動かしているから。


現当主のお父様は名だけ。


 名だけの当主に、賢いジムとメイは見切りを付け、次期当主で、当主の仕事をこなす私の補佐をしてくれてる。

 ジムの指導もお祖父様同様厳しくて、初めは泣いてやらされたわ。勿論泣いた所で指導をやめてくれる訳でもないし、ジムが代わりにやる事も出来ないから、結局嫌でも私がやらないといけない。

 メイは私のメイドだった。メイド見習いで入ってきて、私より5歳年上のお姉さんみたいな存在。 9年たった今はメイド長になった。


 現在私は19歳。この国では18歳が成人なの。他国では16歳で成人として認められ婚姻も出来るみたいだけど。


 この国の成人の年齢が他国よりも遅いのにも理由がある。 まず16歳から18歳までの3年間、貴族は貴族学園に通うから。 学園を卒業しないと次期当主にも国の重要な役職にも、王宮勤めも出来ない。 次期当主以外の貴族の令息令嬢達は、男性は文官、騎士を目指し、女性は女官や侍女を目指す。卒業すれば将来安泰の王宮勤め。 貴族の令嬢は卒業後に婚姻する事が多い為、女官や侍女を目指すのは下位貴族の次女や三女達。


 平民は15歳になったら働きに出れる為、12歳から無料の学校に通い、文字の読み書きを習い、男子だと騎士や料理人等、女子だとメイドに、就きたい職を選択して極める事が出来る。 才能さえあれば王宮勤めも夢じゃない。現に王宮の騎士団の副団長は平民の方。功績が認められて男爵になられたわ。

平民だって功績さえ上げれば爵位が賜われるの。


 貴族だって次期当主になれるのが嫡男や嫡女じゃないの。産まれた子の中で嫡子が決められる。だから当主が次男や三男て事もある。


 後、執事はまた別枠ね。執事は各家ごとに代々受け継いでいるから。ジムの弟さんは領地にある別邸を代々受け継いでくれてるわ。 ジムの息子さんもいずれ王都の本邸でジムが引退したら受け継ぐの。 

 執事学院に5年間通って、当主の仕事の補佐、また身の回りの世話まで習うらしいの。仕事の補佐って言っても領地経営の仕方から書類の書き方、手紙の書き方等、執事の仕事を挙げたら沢山あり過ぎて…。執事って頭が良くないと出来ない。本当に大変な仕事なの。 息子さんは学院を卒業して今はお祖父様の所で鍛えられてるの。


 ジムは2人息子がいるんだけど、長男は頭使うより体を動かす方が良いって平民が通う学校で騎士になって今は家の護衛騎士になってるわ。ちなみに副隊長になったわ。



 あ、そうそう、貴族だって案外成人したら大変なの。

 学園を卒業したって事は貴族として一人の大人って認められた事になるの。だから婚約を解消しようが破棄しようが本人同士が納得すれば出来る。その代わりに慰謝料は自分のお金で返さないといけなくなる。 優しい親なら立て替えて払い、家の発展の為に費やす事で不問にするし、厳しい親なら勘当して鉱山で働かせて自分で払わせる所もある。


家同士の繋がりの為の婚約であり婚姻なのだから。


 成人して良い所は自分達で将来を決めれる所ね。親を挟むと許して貰える訳がないから。

 例え浮気してる人でも、恋人がいる人でも、暴力を振るう人でも。耐えるしかないの。

 後は親は親、子は子。だから子が自分で儲けた財産を親に渡す必要がない。その代わりに借金も親が返す必要もない。 成人したら全て一個人の責任になる。 反対も然りで親の借金を子が返す必要もない。


それでも、家長である当主が一番偉いの。


 名だけの当主でもお父様が我が家では一番偉いの。本当に嫌よね。

 サラも今年で学園を卒業して成人した。 だからもう個人の責任。それなのに大騒ぎして…。


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