辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
45 / 60

45.

しおりを挟む

国境から帰ってきた2部隊を迎える為に騎士隊へ来ました。来ましたが…、

凄い!

皆様奥様や恋人を抱きしめ口付けを…。それはもういつまで続くの?と思うほど。

妻や恋人のいない方には目の毒では?と思いました。

が!

皆様気にせず同じ場にいる方や宿舎に戻られる方、私も労いの言葉をおかけしようと思っていたのですが、とてもそんな言葉をかけられる雰囲気ではなく、私はそっと目をそらしました。


「シア行くぞ」

「はい」


ジル様と手を繋ぎ邸に戻ります。


「凄かったです」

「だろ?」

「私、どこを見ていいのか…迷いました」

「フッ、それも慣れだ慣れ」

「慣れるでしょうか…。それに奥様や恋人がいない方が少し可哀想に思えてきました」

「だから女の取り合いになるんだろうな」

「確かに。ジル様は参加されなかったのですか?」

「そんな余裕が無かったのもあるが俺はモテないからな」

「ジル様は素敵な男性です。格好良くて、優しくて、その逞しいお体も包容力がありとても魅力的です。きっと女性の方は声をかけれなかっただけだと思いますよ?」

「それを言うのはシアだけだ」

「ジル様は自己評価が低すぎます」

「おかげでシアと出会えた」

「それもそうですね。ジル様に他に好きな女性がいたら私もジル様を愛することはできませんでした」

「だろ?」

「はい。そういえばキース様はいつこちらへ?」

「最後の部隊が戻って来るときに一緒に戻ってくる。準備をしたら直ぐに国境へ戻るが」

「その時お話ができればいいのですが」

「夕食でも一緒にするか」

「はい」


2部隊が出発し最後の部隊が帰ってしました。キース様を見つけ、


「キース様、お疲れ様でした」

「また直ぐに向かうけどね」

「キース様、辺境は皆様凄いですね」

「ああ、これ?」

「はい」

「ジルが可愛く見えるだろ?」

「ジル様は格好いいです。確かに可愛いお顔もされますが」

「う~ん、王女様も変わってないね」

「そうですか?私も馬鹿元王子を捕らえるのに協力したんですよ?」

「大変だったらしいね」

「少しはジル様に近付けたでしょうか」

「ジルに近付いてどうするの?」

「目指せジル様ですもの」

「もしかしてバカな事考えてないよね?ジルみたいに逞しい体になりたいとか」

「あ!それいいです!」

「王女様はそのままで。その方がジルが喜ぶからさ」

「このままでジル様が喜びますか?」

「間違いなく喜ぶね」

「ではこのままで。今日は一緒に夕食を食べて下さいね?」

「お邪魔じゃない?」

「そんな事はありませんよ?」

「なら良いけど。それよりジルは?」

「先程呼ばれて騎士隊の建物に入って行きました」

「王女様残して?」

「一緒に来るか?と聞かれたのでキース様をお迎えしますと」

「そうなんだ。で、ノールが後ろにいる訳か」

「はい。私も皆様に労いの言葉をおかけしたいのですが、皆様声がかけられる雰囲気ではないので、私は心の中で労いの言葉をおかけしています」

「久しぶりの再会だからね、邪魔をしないのが一番だよ」

「はい、そう思います」

「王女様はジル待ち?」

「先に戻った方が良いのならノール様もいるので先に戻るのですが…」

「そうだな、作戦会議もあるから先に送って行くよ」

「ノール様がいるので大丈夫です。では先に戻るとジル様にお伝え下さい」

「分かった。なら夕食にね」

「はい、お待ちしていますね」

「ノール頼むぞ」

「はい!」


ノール様と邸に戻り私は夕食まで刺繍を刺していた。

あれ?キース様って恋人いるのかしら?


「ノール様、キース様って恋人がいるのか知ってます?」

「…………さあ」


少し睨まれ、話しかけるなオーラを出され、

恋人がいるのかいないのか分からないからキース様のハンカチを作っておこうかしらね。

夕食までになんとか出来上がり、


コンコン

「シア、夕食にするぞ」

「ジル様!おかえりなさい」

「ただいま。ノールもお疲れさん。もう戻って良いぞ」

「はい。では失礼します」


ノール様が部屋から出て行き、ジル様は私を抱きしめ口付けをした。


「ただいま」


 チュッ


「おかえりなさい」


ジル様と手を繋ぎ一緒に食堂へ向かうと、もうキース様が座っていました。


「二人は相変わらずで良かったよ」

「当たり前だ」


キース様の前にジル様が座り、私はジル様の横に座った。

料理が運ばれ、


「お腹空いた~」


キース様の食べっぷりに驚きました。次から次へと料理がなくなりました。ジル様もですが、騎士の方は食べっぷりが豪快です。


「王女様、ボーっとしてるとなくなるよ?」

「お二人の食べっぷりでお腹がいっぱいになりそうです」

「シアも食べろ」


ジル様は私のお皿に料理を置いてくれました。


「ありがとうございます」

「ベンの料理は美味しいからいくらでも食べれるよ。向こうでは見習い達が作るからほとんど同じ料理だし、できればバンかレイかライの誰か一人を連れて行きたい」

「気持ちは分からんでもないな」

「だろ?」


国境は大変なんですね。特に食が。食は騎士にとって大事ですもの。お腹が空いていては戦えませんし、力も出ません。

改善の余地は…無いですよね。危険な所に誰も行きたくないですもの。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたが私を捨てた夏

豆狸
恋愛
私は、ニコライ陛下が好きでした。彼に恋していました。 幼いころから、それこそ初めて会った瞬間から心を寄せていました。誕生と同時に母君を失った彼を癒すのは私の役目だと自惚れていました。 ずっと彼を見ていた私だから、わかりました。わかってしまったのです。 ──彼は今、恋に落ちたのです。 なろう様でも公開中です。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

公爵令嬢ディアセーラの旦那様

cyaru
恋愛
パッと見は冴えないブロスカキ公爵家の令嬢ディアセーラ。 そんなディアセーラの事が本当は病むほどに好きな王太子のベネディクトだが、ディアセーラの気をひきたいがために執務を丸投げし「今月の恋人」と呼ばれる令嬢を月替わりで隣に侍らせる。 色事と怠慢の度が過ぎるベネディクトとディアセーラが言い争うのは日常茶飯事だった。 出来の悪い王太子に王宮で働く者達も辟易していたある日、ベネディクトはディアセーラを突き飛ばし婚約破棄を告げてしまった。 「しかと承りました」と応えたディアセーラ。 婚約破棄を告げる場面で突き飛ばされたディアセーラを受け止める形で一緒に転がってしまったペルセス。偶然居合わせ、とばっちりで巻き込まれただけのリーフ子爵家のペルセスだが婚約破棄の上、下賜するとも取れる発言をこれ幸いとブロスカキ公爵からディアセーラとの婚姻を打診されてしまう。 中央ではなく自然豊かな地方で開拓から始めたい夢を持っていたディアセーラ。当初は困惑するがペルセスもそれまで「氷の令嬢」と呼ばれ次期王妃と言われていたディアセーラの知らなかった一面に段々と惹かれていく。 一方ベネディクトは本当に登城しなくなったディアセーラに会うため公爵家に行くが門前払いされ、手紙すら受け取って貰えなくなった。焦り始めたベネディクトはペルセスを罪人として投獄してしまうが…。 シリアスっぽく見える気がしますが、コメディに近いです。 痛い記述があるのでR指定しました。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

わたしの旦那様は幼なじみと結婚したいそうです。

和泉 凪紗
恋愛
 伯爵夫人のリディアは伯爵家に嫁いできて一年半、子供に恵まれず悩んでいた。ある日、リディアは夫のエリオットに子作りの中断を告げられる。離婚を切り出されたのかとショックを受けるリディアだったが、エリオットは三ヶ月中断するだけで離婚するつもりではないと言う。エリオットの仕事の都合上と悩んでいるリディアの体を休め、英気を養うためらしい。  三ヶ月後、リディアはエリオットとエリオットの幼なじみ夫婦であるヴィレム、エレインと別荘に訪れる。  久しぶりに夫とゆっくり過ごせると楽しみにしていたリディアはエリオットとエリオットの幼なじみ、エレインとの関係を知ってしまう。

身分を捨てて楽になりたい!婚約者はお譲りしますわね。

さこの
恋愛
 ライアン王子には婚約者がいる。  侯爵家の長女ヴィクトリアと言った。  しかしお忍びで街に出て平民の女性ベラと出あってしまった。  ベラと結婚すると国民から人気になるだろう。シンデレラストーリだ。  しかしライアンの婚約者は侯爵令嬢ヴィクトリア。この国で5本指に入るほどの名家だ。まずはヴィクトリアと結婚した後、ベラと籍を入れれば問題はない。  そして結婚式当日、侯爵家の令嬢ヴィクトリアが来るはずだった結婚式に現れたのは……  緩い設定です。  HOTランキング入り致しました‪.ᐟ‪.ᐟ ありがとうございます( .ˬ.)"2021/12/01

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

処理中です...