辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

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ジルベーク視点

夜中にカタンと音がして目が覚めた。

シア?

夜中だ、シアも寝ているはずだ。

俺は起き上がり部屋を出た。シアの部屋に灯りが付いている。

まだ起きているのか?

コンコン

返事がない。


「入るぞ」


俺はシアの部屋に入り、


「シア!シア!どこだ!」


部屋中探したが見つからなかった。俺は鳥笛を吹き鷹をこちらに飛ばした。それからイザークの家に向かおうとしたらイザークが目の前から歩いて来た。


「イザーク、シアが何者かに攫われた。傷も負ってる。早く探さなければ!」

「お待ち下さい。アリシアお嬢様は今私の家にいます。ケイトに話があると先程訪ねて来ました」

「イザークの家に?シアは!シアは無事か!」

「どこも怪我などされていません」

「だが…」


イザークがシアの部屋に入り、


「そういう事でしたか。

ジルベーク様、まさか鷹を飛ばしていませんよね」

「飛ばしたに決まっているだろ」

「はぁぁ、良いですか、騎士達は今すぐ帰して下さい。アリシアお嬢様は怪我もしていなければ誰にも攫われていません。そして貴方は下に行きますよ!」

「イザーク、だが、」

「早くしなさい!」

「分かった」


1階に下りて行けばキースが玄関ホールにいた。


「ジルどうした」

「キース殿、騎士達は」

「とりあえず俺だけ来た。状況でまた鷹を飛ばしたら急いで来いと今は待機中だ」

「流石です」

「で?状況は?」

「それが、俺にもさっぱり」

「月のものです」

「あ~、そっちか」

「はい。なのでこのままお引取りを」

「分かった。騎士達には訓練だと言っておくよ」

「助かります」

「月のものなら俺に伝えてからケイトに会いに行けば良かったのにな」

「ジル、女性は月のものを隠したいの、分かる?」

「だが月のものが来なければ子が出来ない。月のものは神聖なものだろ?子が出来る体だと教えてくれる尊きものだ、違うか」

「それでも隠したいの。月のものが来て子が出来る体だと分かっていても、今私は月のものが来ました、なんて誰にも言いたくないだろ?」

「そうだが」

「男性には知られたくないと思うだろうし、特に好きな人なら尚更だ。

ならジルは自分で処理した後に子種が出たと誰かに言いたいか?」

「言うわけないだろ!」

「でもそれだって子種が無ければ子は出来ないよ?それに勃たないとそもそも子を作る事すら出来ない。俺は元気ですなんて誰にも言いたくないだろ?出来れば隠れてこっそり処理をしたいだろ?」

「当たり前だ」

「男性の処理も女性の月のものも恥ずかしい事じゃないけど誰かに言う事でもない。

結婚すれば寝室で一緒に寝るから分かる事だけど今はまだそっと知らぬふりをするのが紳士だよ?」

「分かった。騒ぎを大きくしてすまなかった」

「良い訓練が出来ただろ?夜中に奇襲だってない訳じゃない。それに備える良い機会だったと思えばいいさ」

「皆にもすまないと伝えてくれ」

「訓練だよ?」

「だが皆寝ていただろ。体を休めるのも騎士としてのつとめだ」

「夜中に奇襲が来て寝てましたじゃ話にならない。直ぐに起きて戦闘準備に入る、それが出来て当たり前なんだ。

体を休めれる時に休めるのは大事な事だけど、万が一に備えるのも必要な事だ」

「そうだな」

「たまたま今回はジルの早とちりでも、良い訓練が出来た事には変わりないだろ?」

「ああ」

「ジル、分かってると思うけど、明日の朝王女様に変な事言うなよ」

「言わない」

「変な気も使うなよ。いつも通りに接しろよ?」

「分かってる」

「なら良いけど。俺は帰るわ」

「ああ、気をつけてな」


キースを見送り、


「イザークすまなかった。月のもので血が出るのは知っていたが…」

「ジルベーク様の回りには女性がいないので驚くのも無理はありません。ですが、今度からはそっとですよ」

「分かってる」

「もう少し時間を潰してから部屋にお戻り下さい。今はケイトが側に付いているのでご安心を」

「いや、理由が分かれば良い、俺には何も出来ないしな。ケイトがいてくれて助かった。ケイトにもお礼を伝えておいてくれ」


イザークが帰り目が覚めた俺は執務室で執務をして朝まで過ごした。



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