辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
24 / 60

24.

しおりを挟む

今日からキース様が護衛として私に付いてくれます。

今は私の私室…


「キース様申し訳ありません」

「俺は居ないものと思ってくれて良いから。好きに過ごしてね?」

「はい。あの、外は行ってもいいですか?」

「外?」

「庭師さんが花壇にお花を植えてくれるのですが、見に行きたくて」

「外って庭ね、庭なら良いよ」

「ありがとうございます!」


早速庭に出て年配の庭師さんの作業を見ていた。


「お嬢さんも一緒にやるか?」

「良いのですか?お邪魔ではありませんか?」

「そこに立っていられる方が気になっちまう」

「あ!すみません」

「やり方を教えるから」

「はい!お願いします」


スコップで土に穴をあけてその穴にまだ花が咲いてない葉っぱだけの苗を入れて土を被せる。

苗の植え方を聞いて私も一緒に苗を植えます。


「楽しいです。キース様もご一緒にどうですか?」

「俺も?」

「はい。楽しいですよ?」

「それならやるか」


庭師さんは流石に手慣れたものでどんどんと植えています。

私も負けてられないわ。


ベンチの前の花壇に植え終えた庭師さんは木の剪定をしていました。私とキース様はベンチでお茶をしています。


「あの、キース様、少しお聞きしてもよろしいですか?」

「どうぞ」

「まだジル様と婚姻していませんが私も騎士の方々にご挨拶をしたいのですが。街へ行った時もご挨拶が出来ず、帰って来た時はお恥ずかしいのですが、私寝てしまいまして…」

「挨拶か…、まあ必要と言えば必要だよな。王女といえど辺境伯夫人になる訳だし」

「はい」

「でも騎士達を思うとな…」

「どういう意味ですか?」

「挨拶するって事は少なくても言葉を交わすよね?」

「そうですね」

「それこそ「はじめまして」だけの挨拶だけで終わらないよね」

「そうですね。労いの言葉やご迷惑をかけるのでそのこともお伝えしたいと思います」

「そうするとな…」

「はい?」

「ジルが嫉妬するだろ?」

「嫉妬、ですか?」

「俺のシアと話すな!って」

「まあ!ジル様がそんな事を?ふふっ」

「そうするとその後の稽古が…あ~考えたくない。王女様、挨拶はいらないと思う」

「そうですか?残念です。騎士隊の稽古を一度見てみたかったのですが」

「見てもむさ苦しいだけだよ?男ばっかだし。それに口も悪い」

「こちらだけで約150名の騎士の方々がいるのですよね?

私は騎士の方々には常日頃から感謝をしています。辺境を護る騎士の方々には特に感謝をしています。だからこそどんな稽古をしているのか一度見てみたかったのです」

「それなら早朝見れるかもよ?」

「早朝ですか?」

「騎士は鍛錬こそが基本なんだ。自分と向き合う唯一の時間かな?稽古はその確認」

「はい」

「ジルの格好いい所見てみたくない?」

「見たいです!」

「早朝ジルは毎日鍛錬をする。いや俺も騎士達もしているけどね。ジルの鍛錬を見ると良いよ」

「はい!」

「だけどジルには内緒ね?ジルは人に見られるのを嫌うんだ」

「それなのに私が見てもいいのでしょうか」

「王女様なら喜ぶんじゃない?」

「では内緒でこっそり見ます」

「そうしてやって」



私は次の日の早朝、まだ朝焼けの景色が残る時間。

ジル様は邸の庭で鍛錬をしていると昨日キース様に聞いていた。

私はジル様が一人で鍛錬をしている姿をこっそり覗く。

話しかける気も邪魔をする気もない。それでも一振り一振りとても真剣な顔で剣を振る姿はとても凛々しくて素敵だわ。

私はジル様の鍛錬する姿に目を奪われた。

こんな素敵な方が私の旦那様になるなんて…。ジル様はどれだけ私にジル様を好きにさせるのかしら。


ジル様の鍛錬が終わり、


「シア、そこで何をしているんだ?」

「見つかってしまいました」

「ん?」

「ジル様の鍛錬のお姿を見ていました」

「そうか。まあ見て楽しいものじゃないが」

「そんな事はありません!ジル様の格好いいお姿に私は目を奪われました。それに…」

「それに?」

「ジル様はずるいです!」

「俺の何がずるいんだ?」

「こんな素敵なお姿を見て私は益々ジル様が好きになりました。ジル様は格好良くて素敵で私だけがジル様を好きになってしまいます」

「おいおい、それは褒め過ぎだぞ?」

「そんな事ないです」

「俺もシアが俺を、その、素敵、だと言ってくれると嬉しい。それに気持ちを伝えてくれるシアの姿に俺はまた惚れる」

「ジル様大好きです」

「俺もシアが大好きだ」

「ふふっ」

「フッ」


私達はお互いを見つめながら笑ってしまいました。

日が昇り朝食までの時間二人で庭の散歩をしました。


「ジル様、この花は私が植えました」

「シアが植えたのか?」

「はい、とても楽しかったです」

「そうか。ならここにある花壇全部に花を植えるか」

「良いのですか?」

「ああ」

「その時はジル様も一緒にお花を植えませんか?」

「そうだな」


私達はそのまま食堂へ行き朝食を食べた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。 偶然にも居合わせてしまったのだ。 学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。 そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。 「君を女性として見ることが出来ない」 幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。 その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。 「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」 大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。 そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。 ※ ゆるふわ設定です。 完結しました。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

悪役令嬢はお断りです

あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。 この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。 その小説は王子と侍女との切ない恋物語。 そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。 侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。 このまま進めば断罪コースは確定。 寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。 何とかしないと。 でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。 そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。 剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が 女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。 そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。 ●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ●毎日21時更新(サクサク進みます) ●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)  (第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

処理中です...