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しおりを挟むジルベーク視点
次の日の朝、朝食を一緒に食べた。昨日の夜、イザークにも小言を言われたからな。
朝食を食べ終わり、使用人の紹介と邸を案内した。邸は広いが殆ど使っていない。使用人も最低限しか居ない。王城で暮らしていた王女には自分の事は自分でやってもらうしかない。使用人を増やせば戦争や刺客から護りきれない。今居る使用人は代々この辺境を支えてくれている。俺も子供の頃から見知った者達だ。奥さん達は領民だから辺境の地が危険と隣り合わせという事も承知している。
ケイトの話だと、王城で身支度から湯浴みまで一人で出来る様に練習してきたと言っていたと。
ケイトは王女の味方になると、娘のように見守ると、俺はケイトに睨まれた。
王女と話をする為に執務室へ来た。キースの紹介も兼ねてだ。
護衛を付ける事。行動を制限させるが、王女を狙う隣国から護る為だ。
馬に乗れる様になりたい?
自分で乗るより乗せてもらえば良い話だ。それにいざ逃げる時は護衛が連れて逃げる。一緒に乗って逃げた方が護りやすい。一度も乗った事がないのなら一度乗った方が良いか。
剣を扱う?
その細腕で?
剣を振れる訳がない。怪我をするだけだ。王女を護る為の護衛だ。変に扱える様になれば立ち向かって行くかも知れない。敵が来たら直ぐに逃げて貰わないと俺達が戦いにくい。
戦況が悪くなったら隣国に引き渡せだと!
何を馬鹿な事を。引き渡さない為に戦うんだ。だから国王は俺に王女を預けた。俺なら護りきると信じて。どんな戦況になろうと引き渡すつもりはない。
命を落とす覚悟もしてる?
まだ16歳だろ?
大事な話って今迄の話も結構大事な話だぞ?
は?
愛し愛される関係?
何を言っているんだこの王女は。あんたは俺じゃなくても嫁に貰いたい奴は居るだろう。
閨?
子供?
白い結婚で解放してやろうと思っていたんだが、良いのか?こんな俺と身体を繋げれるのか?
それに俺の容姿が好み?
そんな訳ないだろ。俺より見目が良い奴はどれだけ居ると思うんだ。他の男を見た事がないのか!後ろにいるキースが目に入らないのか?キースの方が見目が良いだろ?
王女は可愛い。俺には勿体ないくらいだ。愛し愛される関係になっても良いのか?好意を持っても良いのか?良いなら遠慮はしない。
シア、シア、照れた顔が可愛い。笑った顔が可愛い。俺を呼ぶ声が可愛い。
街に行った。所謂デートというやつだ。初めて街に来たらしくはしゃいでいて可愛い。手を繋がれた。シアは無意識だが。店に入って買い物をした。ケイトから邸を出る時に自分で買うつもりだと聞かされた。シアが着る服、食べる物、全部俺が買いたい。俺って独占欲が強いんだな。
帰りの馬車で横に座った。話しながら寝たシアが肩にもたれ掛かっている。俺はシアの髪を撫でた。邸に着くまで寝顔を見つめていた。
夜、ネックレスを渡した。シアが見ていた物だ。
俺に護られてる?
身近に感じる?
そんな事を真っ赤な顔で言わないでくれ。 俺はもうシアを手放せない。離せない。
分かってるのか?
それでも俺がネックレスを付けて良いと言った。思わず抱きしめてしまい、額に口付けしてしまった。口にしたかったが留まった。
流石にまだ早いだろ。俺は26だけどまだ16だぞ!流石にな…。
馬で湖に向かった。横抱き、所謂お姫様抱っこだ。俺も初めてしたが、案外良いもんだ。近くにシアの顔がある。シアと色々話して、俺の気持ちも言った。シアをもう好きになってる。俺も簡単な男だな。愛と言うにはまだ早いがそれも直になるだろう。
自然と好きだと言葉が出た。シアも俺を好きと言ってくれた。嬉しい。好きになった人が自分を好きになるとは限らない。それが好きになってくれた。こんな嬉しい事はない。
口に口付けをしたい。
シアは受け入れてくれた。好きな人と口付けするのがこんなに嬉しいとは。何度もしたい。だけどシアはまだ16だ。無理に出来ない。
もう俺はシアを手放せない。一生離してやれない。隣国に渡す気などない。シアは俺が護る。俺の命を掛けても必ず護りきる。
シアが俺の頬に口付けをした。シアが自分からしてくれたんだ。頬にだが口付けをされるのも嬉しいものだな。
俺とシアの幸せを護る為にも、騎士達をもっと鍛えないといけない。俺は前線には行けない。シアの側で護る。
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