辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

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私は真っ赤になった顔をジル様の胸で隠し、


「嫌だったか?」


私は顔を横に振り、


「またしても良いか?」


私は顔を縦に振りました。


暫くジル様に優しく抱きしめられていて、ジル様は私の髪を優しく撫でていました。


「恥ずかしいです」

「俺もだ」

「嘘です」

「心蔵がバクバク言ってる」


私はジル様の胸を音を聞いて、


「本当です。私と一緒です」

「シア、愛し愛される関係にこれからなって行こうな」

「はい。ジル様と愛し愛される関係になりたいです」


ジル様は私を離し、


「シア、大事な話だ」

「はい」

「俺はシアが大切だ。ネックレスを付けた時も言ったが、もう一生離せない。

このままだと隣国と争う事になるかも知れない。最悪の場合、戦争だ」

「はい」

「シアは自分を引き渡せと言った。だが、それは出来ない」

「ですが…」

「シアの気持ちは分かる。だが、俺はシアが大事だ、大切だ。好きな人を引き渡す事など出来ない。そんな事したくない」

「はい」

「絶対に俺から離れるな」

「私もジル様から離れたくありません」

「シアは俺が絶対に護る。命がけで護る。俺を信じてくれ」

「ですが、ジル様の足手まといにはなりたくありません」

「それでもだ。引き渡すと言う選択をシアが諦めてくれないか?」

「諦めても良いのですか?」

「ああ」

「なら隣国には行きたくありません。ジル様から離れたくありません」

「あぁ、シアは絶対に俺が護る」

「はい、お願いします」


私はポロポロと涙が溢れてきました。ジル様は優しく私を抱きしめてくれました。

ジル様は私が泣き止むまで抱きしめ、


「泣き止んだか?」

「はい。申し訳ありません」

「何がだ?泣いた顔も可愛いぞ?」

「可愛くないです」

「シアはいつも可愛い」

「ジル様の方がいつも素敵です」


 チュッ 


ジル様が口付けを。私は真っ赤になった顔をジル様の胸の中に埋めました。


「帰るか」

「はい」


ジル様が私を横向きに抱き馬まで歩いて行き、


「片付けは良いのですか?」

「キースがやるだろう」


いつの間にか居たキース様が後片付けをしに敷物の方へ歩いて行きました。


私はジル様の頬に口付けをしました。


「シア?」

「嫌でした?」

「嫌じゃない。口付けされるのも嬉しいものだな」


馬に乗せられる前、ジル様が私の唇に口付けを、


「ジル様!」

「嫌か?」

「嫌ではありませんが、キース様が居ます」

「俺は気にならないが」

「私は気にします。恥ずかしいです」


私は馬の背に乗せられ、ジル様が私の後ろに跨がり、馬が歩き出した。


「キース様をお待ちしなくてよろしいのですか?」

「直に追い付く」


林を進んでる時にキース様が追い付き追い越して行きました。馬が走ると速いのですね。私達はゆっくり歩いて林を抜け、「上を見てみろ?」と言われたので上を見上げたら、鷹が邸に向かって飛んで行きました。

確かに馬よりも速いわね、あっという間に見えなくなったわ。


「怖くないか?」

「はい。もう怖くありません」

「少し走ってみるか?怖くなったら直ぐ言えよ!」


馬がゆっくり走り出しました。

お尻が少し痛いけど怖くはないわね。心地良い風を受けながら邸に向かいました。

邸に着いたら、既にキース様は玄関で待っていて、馬が止まるとジル様が下り、両手を広げ、私はジル様の首に抱きつき、そのまま横向きで抱き上げられ、口付けをされました。


「ジル様!」


そのまま私の部屋まで連れて来られ、ソファーに降ろされました。


「キース様が見ていました。恥ずかしいです」

「見て見ぬ振りをしてくれる」

「もう!」


部屋のソファーで何度も口付けされ、熱を持った真っ赤な顔を両手で思わず隠してしまいました。


「照れてるシアも可愛い」

「もう。このままでは心臓が持ちません」

「そうか?慣れだ慣れ」

「慣れません」

「じゃあ、早く慣れる様に沢山しようか」

「程々でお願いします」


ジル様は声を出して笑い、とても優しいお顔で私を見つめています。

ジル様はずるいです。笑ったお顔も、優しいお顔も普段キリッとしているお顔も、少し照れたお顔も、少し怖いけど怒ったお顔も全部格好良いです。鍛えられた身体に、心も優しくて、ジル様全てが素敵過ぎます。


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