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ジークルト様に突然手を繋がれ、バルコニーから庭園へ降り、庭園のベンチまで連れて来られた。
私は自分の顔が熱を持ってる事に気付き俯いていた。
「フランベル伯爵令嬢、突然すみません。少しお話出来ればと思いまして。フランベル伯爵令嬢?」
「あっ、はい」
「突然すみません」
「い、いえ」
「フランベル伯爵令嬢、ベンチに腰掛けませんか?」
「は、はい」
手を繋がれたまま、ベンチに腰掛けた。
「あ、あの……」
「何でしょう」
「て、手を……」
「このままではいけませんか?」
「だ、駄目です」
「そうですよね」
「はい……」
繋いでいた手を離され、ジークルト様はご自分の上着を脱ぎ、私の膝に被せた。
「あ、あの……」
「夜風は冷えますので」
「ありがとうございます」
「フランベル伯爵令嬢」
「はい」
「フランベル伯爵令嬢はお茶会は苦手ですか?」
「はい?」
「いえ。余りお茶会へ戻りたくない様に思えましたので」
「いえ。お茶会は貴族の女性にとっての社交場ですわ。得意ではありませんが、苦手でもありませんわ」
「そうですか」
「はい。ですが……」
「フランベル伯爵令嬢?」
「あの……」
「フランベル伯爵令嬢、どうされましたか?」
「いえ」
「フランベル伯爵令嬢、私には言えませんか?」
「はい?」
「私には言えない事ですか?」
「そう…ですね」
「フランベル伯爵令嬢、私は口が堅いです。フランベル伯爵令嬢の秘密は守ります」
「ふふっ」
「笑いましたね。本当ですよ?私は口が堅いで有名なんです」
「ふふっ」
「フランベル伯爵令嬢、お聞かせ願えますか?」
「ふふっ。はい。お茶会は得意ではありませんが苦手ではありません。ですが、王宮でもお茶会は苦手です」
「どうしてですか?」
「あっ、王女殿下が苦手とかではありませんから」
「はい?」
「ジークルト様は王女殿下の騎士様ですよね?」
「フランベル伯爵令嬢、私は王女殿下付きの近衛隊の騎士ですが、私の意思で騎士として護りたい方は王女殿下ではありません」
「え?」
「私の話よりフランベル伯爵令嬢が王宮が苦手なのは何故ですか?」
「はっきりとした理由はありません。何となく落ち着かないといった感じです」
「では花壇の花を見つめるのは何故です?」
「はい?」
「いえ。何でもありません。失礼しました」
「笑いませんか?」
「はい」
「風に揺れる花を見ると何故か懐かしく思うのです。ずっと見ていても飽きない程に。それに花が話しかけているみたいで」
「何と花は言ってますか?」
「思い出して…と」
「それはどこに咲いてる花を見ても思いますか?」
「それがおかしな事に王宮の花壇の花を見る時だけなんです。だからお茶会を抜け出して花を見ていたかった…。皆様のお邪魔をするつもりはありませんでした。本当です」
「大丈夫です。あの時は休憩中でした」
「ジークルト様はお強いと聞きました」
「まだまだです」
ふたりでベンチに座り、風に揺れる花壇の花を見ています。
「フランベル伯爵令嬢」
「はい」
私はジークルト様の顔を見た。ジークルト様の黒髪が風になびいていて…
「綺麗……」
「はい?」
「ジークルト様の黒髪が月の光で照らされて…」
「フランベル伯爵令嬢?」
「夜空の様に綺麗…」
「夜空は闇とも言いますよ?綺麗なものではありません」
「そうでしょうか。星が輝いて見えるのも月の光が綺麗に見えるのも夜空でなければ見えません」
「そうでしょうか。誰しも夜空より昼間の青空の方がいいと思います」
「ふふっ。ジークルト様は夜空も青空もお持ちではありませんか」
「はい?」
「瞳は青空を思い浮かべるブルーですよ?ジークルト様は空をお持ちなのね」
「フランベル伯爵令嬢…」
「どうして泣きそうな顔をしていますの?」
「私はこの黒髪が好きではありませんでした。闇を連想させるからです」
「闇…。闇と聞けば暗い、怖いと連想できます。ですが、夜空と思えば黒は光輝く月や星を目立たせる事が出来る唯一だと思います。昼間の青空では月や星は目立たず綺麗だとは思いません。同じ空にあっても空の色で綺麗に見える。そう思えば黒髪も綺麗だと思いませんか?」
「フランベル伯爵令嬢は独特な考えをお持ちの様だ」
「馬鹿にしてます?」
「いや。貴女は変わらないのだな」
「ジークルト様?」
「フランベル伯爵令嬢、やはりダンスをお誘いしたい」
「ですから…」
「フランベル伯爵令嬢の気持ちは分かります。ですが、私と踊って頂けませんか?」
「ジークルト様は分かってないわ」
「フランベル伯爵令嬢?」
「私とダンスを踊れば、私の婚約者にされますわよ?」
「フランベル伯爵令嬢の婚約者ですか」
「はい。噂話とは怖いのです」
「光栄ですと言ったら?」
「え?」
私は顔が真っ赤になり俯いた。
私は自分の顔が熱を持ってる事に気付き俯いていた。
「フランベル伯爵令嬢、突然すみません。少しお話出来ればと思いまして。フランベル伯爵令嬢?」
「あっ、はい」
「突然すみません」
「い、いえ」
「フランベル伯爵令嬢、ベンチに腰掛けませんか?」
「は、はい」
手を繋がれたまま、ベンチに腰掛けた。
「あ、あの……」
「何でしょう」
「て、手を……」
「このままではいけませんか?」
「だ、駄目です」
「そうですよね」
「はい……」
繋いでいた手を離され、ジークルト様はご自分の上着を脱ぎ、私の膝に被せた。
「あ、あの……」
「夜風は冷えますので」
「ありがとうございます」
「フランベル伯爵令嬢」
「はい」
「フランベル伯爵令嬢はお茶会は苦手ですか?」
「はい?」
「いえ。余りお茶会へ戻りたくない様に思えましたので」
「いえ。お茶会は貴族の女性にとっての社交場ですわ。得意ではありませんが、苦手でもありませんわ」
「そうですか」
「はい。ですが……」
「フランベル伯爵令嬢?」
「あの……」
「フランベル伯爵令嬢、どうされましたか?」
「いえ」
「フランベル伯爵令嬢、私には言えませんか?」
「はい?」
「私には言えない事ですか?」
「そう…ですね」
「フランベル伯爵令嬢、私は口が堅いです。フランベル伯爵令嬢の秘密は守ります」
「ふふっ」
「笑いましたね。本当ですよ?私は口が堅いで有名なんです」
「ふふっ」
「フランベル伯爵令嬢、お聞かせ願えますか?」
「ふふっ。はい。お茶会は得意ではありませんが苦手ではありません。ですが、王宮でもお茶会は苦手です」
「どうしてですか?」
「あっ、王女殿下が苦手とかではありませんから」
「はい?」
「ジークルト様は王女殿下の騎士様ですよね?」
「フランベル伯爵令嬢、私は王女殿下付きの近衛隊の騎士ですが、私の意思で騎士として護りたい方は王女殿下ではありません」
「え?」
「私の話よりフランベル伯爵令嬢が王宮が苦手なのは何故ですか?」
「はっきりとした理由はありません。何となく落ち着かないといった感じです」
「では花壇の花を見つめるのは何故です?」
「はい?」
「いえ。何でもありません。失礼しました」
「笑いませんか?」
「はい」
「風に揺れる花を見ると何故か懐かしく思うのです。ずっと見ていても飽きない程に。それに花が話しかけているみたいで」
「何と花は言ってますか?」
「思い出して…と」
「それはどこに咲いてる花を見ても思いますか?」
「それがおかしな事に王宮の花壇の花を見る時だけなんです。だからお茶会を抜け出して花を見ていたかった…。皆様のお邪魔をするつもりはありませんでした。本当です」
「大丈夫です。あの時は休憩中でした」
「ジークルト様はお強いと聞きました」
「まだまだです」
ふたりでベンチに座り、風に揺れる花壇の花を見ています。
「フランベル伯爵令嬢」
「はい」
私はジークルト様の顔を見た。ジークルト様の黒髪が風になびいていて…
「綺麗……」
「はい?」
「ジークルト様の黒髪が月の光で照らされて…」
「フランベル伯爵令嬢?」
「夜空の様に綺麗…」
「夜空は闇とも言いますよ?綺麗なものではありません」
「そうでしょうか。星が輝いて見えるのも月の光が綺麗に見えるのも夜空でなければ見えません」
「そうでしょうか。誰しも夜空より昼間の青空の方がいいと思います」
「ふふっ。ジークルト様は夜空も青空もお持ちではありませんか」
「はい?」
「瞳は青空を思い浮かべるブルーですよ?ジークルト様は空をお持ちなのね」
「フランベル伯爵令嬢…」
「どうして泣きそうな顔をしていますの?」
「私はこの黒髪が好きではありませんでした。闇を連想させるからです」
「闇…。闇と聞けば暗い、怖いと連想できます。ですが、夜空と思えば黒は光輝く月や星を目立たせる事が出来る唯一だと思います。昼間の青空では月や星は目立たず綺麗だとは思いません。同じ空にあっても空の色で綺麗に見える。そう思えば黒髪も綺麗だと思いませんか?」
「フランベル伯爵令嬢は独特な考えをお持ちの様だ」
「馬鹿にしてます?」
「いや。貴女は変わらないのだな」
「ジークルト様?」
「フランベル伯爵令嬢、やはりダンスをお誘いしたい」
「ですから…」
「フランベル伯爵令嬢の気持ちは分かります。ですが、私と踊って頂けませんか?」
「ジークルト様は分かってないわ」
「フランベル伯爵令嬢?」
「私とダンスを踊れば、私の婚約者にされますわよ?」
「フランベル伯爵令嬢の婚約者ですか」
「はい。噂話とは怖いのです」
「光栄ですと言ったら?」
「え?」
私は顔が真っ赤になり俯いた。
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