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 騎士団の練習を見に行く事は止めた。

 朝、ルークの部屋に来て、


コンコン

「ルーク開けるわよ」

「サリー、返事を聞けって」

「ごめんごめん」

「ルーク、私失恋しちゃった」

「は?」

「恋だった。だけどジークルト様は王女様が幼い頃から好きなんだって」

「それって本人に聞いたのか?」

「令嬢達が話してた」

「じゃあ…」

「ずっと慕ってる人以外とは婚約しないんだって。生涯独身を貫くらしいわよ」

「それで良いのか?」

「家が婚約の打診しても断られるだけよ」

「そんなの分からないだろ。おじさんに話してみろよ」

「それで断られたら余計に傷付くじゃない。それに断わりたくても断れなくて無理矢理婚約したい訳じゃないもの」

「そうだけど」

「この前は止めとけって言ったじゃない」

「この前はこの前だろ?それに王女様、隣国の王子と婚約するって騎士団でも話が出てる」

「令嬢達も話してた」

「流石に王女様が婚約したら諦めて婚約の打診があった所の令嬢と婚約するかも知れないだろ?」

「そうかな?しないと思うけど」

「でも、もししたら?お前だって王女様以外と婚約するなら自分でも良いと思うだろ?」

「そりゃあね。でも独身貫くって言ってる人が婚約するかな?」

「一応打診だけして貰えば良いだろ?」

「そうだけど…」


 ルークの部屋から戻り考えたけど、ジークルト様が王女様以外の令嬢と婚約するとは思えない。


 お父様から呼ばれて書斎に向かう。


コンコン

「サリーリです」

「入りなさい」


 お父様の座る机の前に行き、


「お父様、ご用とは」

「王宮からお茶会の招待状だ」

「王宮からですか」

「王女殿下がお茶会を開くらしい。伯爵以上の令嬢で婚姻して居ない者が全員呼ばれている」

「はあ」

「全員出席らしい。おまけに3日後だ」

「3日後?それは早すぎませんか?準備も出来ませんよ?」

「成人して隣国へ嫁ぐまでの間にやりたい事をさせてやりたいらしい」

「隣国の王子との婚約は本当の話なんですか?」

「一応まだ内密だかな」

「分かりました。出席する旨のお返事をお願いします」

「分かった」


 私は部屋に戻りお茶会に着ていくドレスを選び、アクセサリーを選んだ。



 お茶会当日、リーシャと一緒に行き、席に着く。席は自由らしく、リーシャと隣に座り、王女様が来るのを待つ。


「急にお茶会なんて驚いたわ」

「私もです」

「流石に婚姻してない令嬢全員だから人数も多いわね」

「一応成人しているが条件みたいで、ナーシャは行きたいのに来れなくて困りました」


 暫くして王女様が来て、私達令嬢は一斉に立ち上がりカーテシーをして頭を下げた。


「頭を上げて下さらない」


 私達令嬢は頭を上げ、王女様の方を見た。


「本日は急なお誘いにもかかわらず皆様に来て頂けて嬉しいですわ。本日は存分に楽しみましょう」


 王女様は各テーブルを周り、他の令嬢と話をしている。今日の王女様付きの近衛隊の人はジークルト様では無かった。

 私達のテーブルへ来て、少し談笑をしてまた違うテーブルへ行った。

 私はお花を摘みにとリーシャに伝え、侍女に案内されお手洗いへ来た。帰りは一人で帰れると言い、少し庭園をブラブラ散歩した。

 王宮でのお茶会は何故か落ち着かず、あの雰囲気から逃れたくて…。 花壇の花を見ながらブラブラと気分転換をする。奥から話し声が聞こえ、声が聞こえる方へ近寄って行った。数人の殿方が芝生の上に座り、休憩しているみたいで、私はこっそりその場を離れようと


ポキッ


「誰だ」

「すみません」


 私は木の陰から出た。


「王女殿下のお茶会のご令嬢ですね」

「はい。フランベル伯爵家サリーリと申します。申し訳ありません。少し気分転換をと思い花を見ながら散歩をと思いまして」

「そうでしたか。では会場までご案内します」

「大丈夫です。帰り道は分かりますので」

「いえ。例え王宮とはいえご令嬢一人で歩かせる訳には参りません。それに本日は王女殿下のお客人ですので」

「はい。分かりました。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

「はい。では少しだけお待ち頂いてもよろしいですか?」

「はい」

「おい!ジークルト、お前着替えてご令嬢を会場までお送りしろ」

「はい。隊長」


 ジークルト様?声が聞こえた方を見つめ、


「背中に傷?」


 私はボソッと呟いた。

 どうやら王女殿下付きの近衛隊の方々がお茶会の間鍛錬をしていらしたみたいで、皆さん上半身裸になっていた。 声をかけてくれた方は隊長さんらしく、ジークルト様は急いで近衛隊の騎士の制服を着て私の所にかけて来た。


「遅くなりました。では参りましょうか」

「はい。よろしくお願いします」


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