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愛してるのはガネットだけだ
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手紙を読み終わると膝から崩れ落ちた。
俺は義父上の様に、元婚約者の様にならないと心に剣に誓った。同じ男としてクズだと、同じクズにはならないと強く思っていた。
今の俺はどうだ、そのクズになった。嫌、クズ以下だ。
ローラが行きたいと言ったんじゃない。ガネットが新婚旅行で行きたいと言っていたんだ。
ガネットは黄色の花が好きだった。ピンクの花じゃない。
珍しい薔薇が咲いてると聞いてガネットを連れて行きたいと思った。薔薇風呂に一緒に入ろうと言った時、ガネットは照れてそれでも頷いてくれた。
真っ赤なドレスじゃなく頼んだのは俺の瞳の色の紫色のドレスだ。
船で出航してからカレンが部屋に入って来たから仕方なく部屋から出なかったんだ。
キャルリーナは旦那と上手くいってなかった。気分転換になればと遠乗りに誘ったんだ。遠乗りで気分が昂っていてキャルリーナから誘われるまま…。
エミーに何処か行きたいと言われ、母上から聞いた温泉が浮かんで連れて行った。
ガネット、俺が愛してるのはガネットだけだ。
バタン
「ケイザック!これはどういう事だ!伯爵家へ行けば本人に聞けと言われた、説明しろ!」
「父上」
「離縁とはどういう事だ、説明しろ!」
「…ッ……」
「貸せ!」
俺が手に持ってる手紙を父上が強引に奪い、
「お前!これは本当か!」
「父上…」
「ガネットの何処が気に入らなかった!」
「俺はガネットを愛してます。ガネットだけです、本当です」
「なら何故愛人を囲った!」
「遊びだったんです」
「遊びだ!何が遊びだ!愛人の方が本命ではないか!」
「違います」
「何が違う!愛人とは旅行に出かけ、ガネットとは一度も行ってないではないか!
それに今回の休みはガネットと子宝の湯に行くのではなかったのか!だから俺は許可したんだ!」
「それは…」
「おまけにお前にやった休み全部愛人との旅行ではないか!お前はガネットと新婚旅行も出来なかったからと言っていたな!」
「…ッ……」
「はあぁぁぁ。お前みたいなクズに騎士の資格はない。騎士は剥奪する」
「それだけは」
「ガネットに誓ったのだろ。剣に誓ったのだろ。ならお前は剣を折れ。誓いを破ったお前に剣を持つ資格はない」
「俺が愛してるのはガネットだけです」
「もういい!ガネットの最後の頼みは聞いてやれ」
「嫌です。ガネットと離縁したくない」
「離縁したくないのではない。離縁したんだ」
「嫌だ、嫌だ、嫌だ…」
「ならどうして愛人を作った!泊を付けたかったか!隊長になって女が寄って来たか!選り取り見取り選び放題だったか!」
「…ッ……」
「身分が付けば寄ってくる女はいる。それでも愛する妻一人愛せない奴が愛人なんか作るな」
「愛してます。ガネットを愛してます」
「なら何故、一度も旅行に連れて行ってやらなかった。なら何故、好きな花の色を覚えてない。なら何故、毎日家に帰らなかった」
「それは、」
「お前はガネットを愛してなどいない。本当に愛していたら他の女など目に入らない。どれだけ誘われても誘いに乗る事はない。
慰謝料は払ってやる。だがな、金輪際息子ではない」
「父上…」
「自分がやった事を悔やむんだな」
「父上………」
「ちょうど良かったではないか。今回旅行に行った女に妻になってもらえ。子宝の湯で子が出来てる事を俺も願ってるよ」
「父上………」
「明日騎士団へ来い。引き継ぎと部屋の整理をしたらお前の剣は俺が折る。良いな!」
俺は後悔の涙が溢れてきた。
「ガネット……
愛してる……
ガネット………」
俺は声を出して泣き続けた。
自分の過ちで手が離れた愛するガネットを、
天使の様だと心を奪われ、今でも奪われてるガネットを、
俺は自分を責める。
欲に溺れ誘われるまま情事を楽しんだ己自身を、
ガネットに無理はさせられないと言い訳して愛人に好きな様に欲を吐き出していた己自身を、
誰にも邪魔されず咎められない場所で開放的に罪悪感も忘れ営み続けた己自身を、
快楽だけを求め快楽に溺れた己自身を、
今更後悔しても遅いんだ…。もう、遅いんだ………。
ガネットに愛されてなかったのは俺の方だ………。
俺は義父上の様に、元婚約者の様にならないと心に剣に誓った。同じ男としてクズだと、同じクズにはならないと強く思っていた。
今の俺はどうだ、そのクズになった。嫌、クズ以下だ。
ローラが行きたいと言ったんじゃない。ガネットが新婚旅行で行きたいと言っていたんだ。
ガネットは黄色の花が好きだった。ピンクの花じゃない。
珍しい薔薇が咲いてると聞いてガネットを連れて行きたいと思った。薔薇風呂に一緒に入ろうと言った時、ガネットは照れてそれでも頷いてくれた。
真っ赤なドレスじゃなく頼んだのは俺の瞳の色の紫色のドレスだ。
船で出航してからカレンが部屋に入って来たから仕方なく部屋から出なかったんだ。
キャルリーナは旦那と上手くいってなかった。気分転換になればと遠乗りに誘ったんだ。遠乗りで気分が昂っていてキャルリーナから誘われるまま…。
エミーに何処か行きたいと言われ、母上から聞いた温泉が浮かんで連れて行った。
ガネット、俺が愛してるのはガネットだけだ。
バタン
「ケイザック!これはどういう事だ!伯爵家へ行けば本人に聞けと言われた、説明しろ!」
「父上」
「離縁とはどういう事だ、説明しろ!」
「…ッ……」
「貸せ!」
俺が手に持ってる手紙を父上が強引に奪い、
「お前!これは本当か!」
「父上…」
「ガネットの何処が気に入らなかった!」
「俺はガネットを愛してます。ガネットだけです、本当です」
「なら何故愛人を囲った!」
「遊びだったんです」
「遊びだ!何が遊びだ!愛人の方が本命ではないか!」
「違います」
「何が違う!愛人とは旅行に出かけ、ガネットとは一度も行ってないではないか!
それに今回の休みはガネットと子宝の湯に行くのではなかったのか!だから俺は許可したんだ!」
「それは…」
「おまけにお前にやった休み全部愛人との旅行ではないか!お前はガネットと新婚旅行も出来なかったからと言っていたな!」
「…ッ……」
「はあぁぁぁ。お前みたいなクズに騎士の資格はない。騎士は剥奪する」
「それだけは」
「ガネットに誓ったのだろ。剣に誓ったのだろ。ならお前は剣を折れ。誓いを破ったお前に剣を持つ資格はない」
「俺が愛してるのはガネットだけです」
「もういい!ガネットの最後の頼みは聞いてやれ」
「嫌です。ガネットと離縁したくない」
「離縁したくないのではない。離縁したんだ」
「嫌だ、嫌だ、嫌だ…」
「ならどうして愛人を作った!泊を付けたかったか!隊長になって女が寄って来たか!選り取り見取り選び放題だったか!」
「…ッ……」
「身分が付けば寄ってくる女はいる。それでも愛する妻一人愛せない奴が愛人なんか作るな」
「愛してます。ガネットを愛してます」
「なら何故、一度も旅行に連れて行ってやらなかった。なら何故、好きな花の色を覚えてない。なら何故、毎日家に帰らなかった」
「それは、」
「お前はガネットを愛してなどいない。本当に愛していたら他の女など目に入らない。どれだけ誘われても誘いに乗る事はない。
慰謝料は払ってやる。だがな、金輪際息子ではない」
「父上…」
「自分がやった事を悔やむんだな」
「父上………」
「ちょうど良かったではないか。今回旅行に行った女に妻になってもらえ。子宝の湯で子が出来てる事を俺も願ってるよ」
「父上………」
「明日騎士団へ来い。引き継ぎと部屋の整理をしたらお前の剣は俺が折る。良いな!」
俺は後悔の涙が溢れてきた。
「ガネット……
愛してる……
ガネット………」
俺は声を出して泣き続けた。
自分の過ちで手が離れた愛するガネットを、
天使の様だと心を奪われ、今でも奪われてるガネットを、
俺は自分を責める。
欲に溺れ誘われるまま情事を楽しんだ己自身を、
ガネットに無理はさせられないと言い訳して愛人に好きな様に欲を吐き出していた己自身を、
誰にも邪魔されず咎められない場所で開放的に罪悪感も忘れ営み続けた己自身を、
快楽だけを求め快楽に溺れた己自身を、
今更後悔しても遅いんだ…。もう、遅いんだ………。
ガネットに愛されてなかったのは俺の方だ………。
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