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俺は何て事をしたんだ

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 朝、ガネットに「今日は何の日かご存知ですか」と、そして「今日は早く帰って来て下さいね」と言われた。始め言われた事が分からなかったが、隊員の一人に「結婚記念日ですけど何を贈るんですか?」と言われ、慌てて贈り物を探しに街へ来た。

 ネックレスを購入し、引き出しに入れる。今日は早く帰ろう。昨日のように結婚式を思い出す。真っ白なウエディングドレスを着た姿は天使だと思った。こんな俺の妻になってくれてありがとうと神に何度感謝したか。

 早く帰りたいが為に訓練を少し厳しくしたらしく、隊員に酒を奢れと言われた。仕方なく一杯だけ飲んで帰ろう。後はお金を置いておけば好きに飲むだろう。

 隊員達と酒場へ行き、一杯酒を飲む。

 明日からエミーと旅行だからな、早めに帰ろうとお金を置いて席を立った。その足でエミーの家に行き、朝早く旅行へ出掛けた。

 俺は今日が結婚記念日だという事もネックレスも引き出しにしまったままだという事も忘れていた。


 遠征と言う名の旅行から帰って来て、


「旦那様!」


 執事の慌てた様子に、


「ガネットに何かあったのか」

「あったのかって旦那様知らないのですか?」

「何があった。ガネットはどこにいる、部屋か?」

「こちらをご覧下さい」

「それよりガネットが先だ」

「いえ!先ずはこちらをご覧下さい!」


 執事に渡された紙を見る。


 『離縁を受理する』


「何だ…これは………」

「奥様から離縁がなされました」

「ガネットから?」

「旦那様が遠征と言う名の愛人との旅行に行かれる前日、奥様は朝何と言われましたか?」

「朝……」

「奥様は、今日が何の日かご存知かと、早く帰って来てとおっしゃいました」

「…結婚…記念日…だ………。ネックレスも…用意した……」

「それも三年目の結婚記念日です」

「三年目……」

「そうです。三年間子供が出来ませんでした。女性側から離縁を申し立てる事ができるのです」

「異議の、異議の申し立てをする」

「出来ません」

「何故だ」

「旦那様は愛人が今迄に数人いました。そして今日愛人との旅行から帰って来たばかりです。奥様は証拠も提出なさっています。覆る事は絶対にありません」

「嘘だ……」

「旦那様と奥様は離縁しました」

「嫌だ……」

「もう覆りません」

「俺は…ガネットを愛してる……」

「奥様を愛してるのなら、何故愛人を囲ったのです。奥様だけを愛せば良かったのです」

「嫌だ、嫌だ…。ガネットと別れるなんて嫌だ」

「ご自分の行いです」

「嫌だ…」


 俺はフラフラと歩いてガネットの部屋の中へ入る。


「ガネット、いるんだろ?」


 静寂が主がいない事を物語っていた…。


「ガネット、ガネット、返事をしてくれ、お願いだ。俺が悪かった。愛してるのはガネットだけだ。なあガネット、返事をしてくれ」


 いくら呼んでもガネットからの返事は無かった。

 俺はクローゼットを開ける。綺麗に並べられてるドレス、宝石、髪留め…。


「ガネットのドレスが置いてある。ガネットは帰って来る」


 その一枚一枚を見る。


「俺が贈ったドレス…。これは婚約してから贈ったドレスだ」


 宝石も髪留めも見た。


「これは婚約したときに贈った指輪だ。これも俺が贈った宝石だ。髪留めも俺が贈った………」


 机の上に、


「これは…結婚式で…お互いはめた…結婚……指輪………」


 俺はフラフラになりながら夫婦の寝室へ入る。もしかしたらガネットがいるかもしれないと願って。

 ベッドの上に手紙が置いてあった。俺は直ぐに手紙を読んだ。




 
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