上 下
5 / 6

しおりを挟む

マーガレットはあれから大人しくなり半年が過ぎた。


「お母様、私ジルトと結婚するわ」

「貴女またなの?ジルトを巻き込むのはやめなさい。お母様それだけは許さないわ」


ジルトはライラの息子。

ようやく本の世界と現実は違うって分かってくれたと思っていたのに…。


「え~、私はジルトと結婚するのが一番幸せになれるのよ」

「それは相思相愛ならでしょ。貴女はジルトを好きなの?」

「好き?それは分からないけどジルトといると楽しいわ。だってジルトって面白いのよ?この前もね、」


マーガレットはこの前一緒に遊んだ時の話を聞かせてくれた。


『ジルト、私ねやっぱり銀色の髪の騎士と結婚したいの。第一王子はやめたわ』

『やめたんだ。で、マーガレットは髪の毛の色と結婚するの?』

『違うわよ、失礼ね』

『なら騎士だけならこの国に大勢いるよ?俺だって今テオに剣を習ってるしね。なら俺は騎士見習いだ』

『馬鹿なの?』

『馬鹿はマーガレットだろ?本の中の男に惚れて何がしたいの?本の中の男と結婚できるの?』

『だからよく似た人を探しているんでしょ』

『ずっと前にも魔法が使える人と結婚するって言ってたけど、俺達が生きてる世界に魔法は存在しない。あれは本の創作品だ』

『そんな事分かってるわよ!』

『マーガレットが本の中の世界を楽しむのは悪い事じゃない。でもね、髪の毛の色なんて飾り物と同じ。銀色の髪の毛でもブラウンの髪の毛でも騎士は騎士、違うか?』

『そう、だけど…』

『なら騎士と結婚すれば良いだろ?でもさ、騎士とか肩書きと結婚しても幸せになれるとは思えないけどね』

『騎士なら守ってくれるわ』

『俺も剣の稽古を積めば守れるよ』

『私は白馬に乗った王子様が良いの』

『茶色の馬だけど俺だって愛する女性の王子にはなれる』

『王子は花が似合うの。それに花束をいつも持ってるのよ』

『花が似合うか似合わないかはその人を見る気持ち次第だろ?それに花束は持ってないけど花のキャンディーはいつも持ってるよ。はい、あげる』

『ジルトって私が好きなの?』

『まさか。マーガレットといると疲れるから嫌だ』

『失礼ね』

『だってそうだろ?マーガレットは本の中の世界で生きてる人間だ。マーガレットはこれからも本の中の世界で生きてく人間だろ?いっその事本でも書いてみたら?

それに俺、振り回されるのは好きじゃない。どちらかと言えば振り回したい方なんだよ。だからごめんね』


マーガレットは少し怒りながら話してくれた。


「ジルトにこうやって言われたの。失礼だと思わない?でもそれが面白いって思えたの」

「ハハハッ、流石ライラの息子ね」

「お母様笑い事じゃないわ」

「それで?貴女はどうしてジルトが良いの?」

「だって私の言う事を覆してくるんだもの。それに癇に障る事を言うけど、言ってる事は本当の事だもの…。だからね?ジルトだけは私を見捨てないって思ったの」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能だと捨てられた王子を押し付けられた結果、溺愛されてます

佐崎咲
恋愛
「殿下にはもっとふさわしい人がいると思うんです。私は殿下の婚約者を辞退させていただきますわ」 いきなりそんなことを言い出したのは、私の姉ジュリエンヌ。 第二王子ウォルス殿下と私の婚約話が持ち上がったとき、お姉様は王家に嫁ぐのに相応しいのは自分だと父にねだりその座を勝ち取ったのに。 ウォルス殿下は穏やかで王位継承権を争うことを望んでいないと知り、他国の王太子に鞍替えしたのだ。 だが当人であるウォルス殿下は、淡々と受け入れてしまう。 それどころか、お姉様の代わりに婚約者となった私には、これまでとは打って変わって毎日花束を届けてくれ、ドレスをプレゼントしてくれる。   私は姉のやらかしにひたすら申し訳ないと思うばかりなのに、何やら殿下は生き生きとして見えて―― ========= お姉様のスピンオフ始めました。 「体よく国を追い出された悪女はなぜか隣国を立て直すことになった」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/465693299/193448482   ※無断転載・複写はお断りいたします。

妻と夫と元妻と

キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では? わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。 数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。 しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。 そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。 まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。 なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。 そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて……… 相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不治の誤字脱字病患者の作品です。 作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。 性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。 小説家になろうさんでも投稿します。

王太子妃候補、のち……

ざっく
恋愛
王太子妃候補として三年間学んできたが、決定されるその日に、王太子本人からそのつもりはないと拒否されてしまう。王太子妃になれなければ、嫁き遅れとなってしまうシーラは言ったーーー。

幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~

桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。 そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。 頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります! エメルロ一族には重大な秘密があり……。 そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

(完結)姉と浮気する王太子様ー1回、私が死んでみせましょう

青空一夏
恋愛
姉と浮気する旦那様、私、ちょっと死んでみます。 これブラックコメディです。 ゆるふわ設定。 最初だけ悲しい→結末はほんわか 画像はPixabayからの フリー画像を使用させていただいています。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

処理中です...