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しおりを挟む「お父様、私第一王子と会いたいの。お父様伯爵でしょ?会わせて」
「伯爵だからって直ぐには会えないよ。会ってもらえるか打診して返事を待ってからじゃないとね」
「なら打診して」
「要件もないのに打診はできないよ」
「要件は私が第一王子と会えば大丈夫よ。お互い一目惚れするから」
「マーガレット、僕が言えた義理じゃないけど第一王子は一目惚れはしないと思うよ。婚約者の公爵令嬢とも仲が良いって話だしね」
「だから、それも私と会うと私を好きになるの。それでね婚約者に私は虐められるの。教科書を破かれたり階段から落とされたり。それでね第一王子は婚約者に婚約破棄を言うの」
「うん?何か昔よく似た話を読んだことあるような…」
「お父様の部屋にあった本だもの」
「ケーニス、貴方、捨ててなかったの?」
「リップ、本は捨てるものじゃない」
「はあぁ……。もしかして男性同士の本も?」
「リップ、本に罪はない」
「そんな事知ってるわよ!ケーニス、貴方が馬鹿な事ばかりしてたからでしょ」
「本を読むとほら、本の世界に入り込んで自分が主人公になった気分になるんだよ」
「お父様その気持ち分かるわ」
「分かるか?」
「はあぁ……親子揃って…」
私は呆れて二人を見た。ケーニスと目が合った。ケーニスは慌てて私の顔色をうかがっている。
「マーガレット、もし第一王子と結婚してマーガレットが王妃になったとする。王妃は大変なんだよ?他国の勉強もしないといけない」
「私、勉強は好きよ」
(確かに好きね。ケーニスと一緒で字が書いてあれば良いもの)
「マーガレットの苦手なマナーだって覚えないといけないんだ」
「そこは要領よくやるわよ」
(この子ならやりそうだわ)
「走り回ったり本を読んだりできないよ?」
「お父様、私10歳よ?だから走り回ってるだけで私も年頃になれば走り回らないわ。それに本を読む時間はあると思うの。令嬢は暇な時に本を読むものでしょ?」
(暇な時でも読まない令嬢もいるけどね)
「その暇がないと思うよ」
「本の中の王妃は暇ばかりだったわ」
(暇ばかりの王妃か…、それはちょっと羨ましいかも…)
「分かった、ちょっと待ってなさい」
ケーニスは突然邸から出て行き、一時間後本を数冊抱えて帰ってきた。
「マーガレット、これを全部読んでみなさい」
マーガレットはケーニスが買ってきた本を抱えて部屋に籠もった。
数日後部屋から出てきたマーガレット。
「お母様、私やっぱり第一王子とは絶対に結婚しない」
「また急ね、どうして?」
「だって王妃ってだけで処刑されたり、毒杯を飲まされたりするのよ。それに蔑ろにされても耐えて耐えて生涯を送るなんて私には無理。それに陛下は側室とか妾とか次から次へと何人も作るの。無類の女好きなのよ!
でね、その人達が王妃に毒を盛ったり、その人達や子供達が王妃が産んだ子を殺そうとするのよ。そんなの私耐えられない。
この国の王妃様は大丈夫かしら。私心配になっちゃって」
「陛下は王妃様に一途な方だから大丈夫だと思うわ」
「なら良いけど。私王妃様に逃げてって手紙を書こうか迷ってたの。でもお母様に聞いてからと思って」
「お母様に聞いてくれてものすごく安心したわ。これからもまずはお母様に聞いてね?
それに貴女が心配しなくても王妃様は陛下に愛されて幸せだから大丈夫よ」
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