1 / 6
1
しおりを挟む伯爵令息のケーニスと結婚して子爵令嬢だった私は伯爵夫人になった。
可愛い双子にも恵まれ、ケーニスとも毎日楽しく仲良く暮らしているわ。
ケーニスは子育てにも率先して協力してくれるの。
妊娠中も胎教に良いからって毎日絵本をお腹の中の赤ちゃんに聞かせていたわ。まだ子供達が小さい頃は夜寝る前の絵本もケーニスがいつも読んでいたわ。
とても助かるのよ?
でもね…。
「お母様、私、騎士と結婚するわ」
「そう」
娘のマーガレットはケーニスにそっくりなの。頭は賢いの。本も大好きで毎日読んでいるわ。
同じように育った息子のマークスはきちんと現実を見ているのに。なんだったら姉のマーガレットをいつも冷めた目で見ているくらいよ?
それにもう10歳よ?
「銀色の髪の騎士と私は結婚するわ」
この国に銀色の髪の人はいない。この国は良くも悪くも普通。ブロンドかブラウンの髪。銀色や紫の髪の人なんていない。
あれは5歳の時。
「おかあさま、わたしまほうをつかえるひととけっこんするわ。まほうがつかえるひとはむさらきいろのかみのけをしているの」
ちょうどその頃ケーニスが読んでいた絵本は魔法が使える世界の話だった。絵本の中の絵で魔術師が紫色の髪の毛をしていた。
「まほうってすごいのよ。ゆびをパチンってするだけでひをつかったりかぜをつかったりするの」
この頃からもうケーニスの片鱗は出ていたのに、私は5歳の子が言う事だからと、
「凄いわね。魔法が使える世界か…」
と私は魔法が使えたら、と想像しちゃったのよね。火と風を使えば洗濯物が直ぐに乾くわとか、水を使えば水やりが一気に終わるわとか…。
あの時が悔やまれるわ。
息子のマークスは本の中は本の中の世界と分かっていたから、てっきりマーガレットも分かっていると思っていたの。
マークスは木の棒を剣の代わりにして振り回していたけど、
「ぼくはあたまのなかでそうぞうしてたたかっているんだ。いまはドラゴンとたたかってぼくがかったからぼくとけいやくしたんだ。
かあさま、ぼくはきちんとわかってるよ?ほんのなかのせかいはつくりものだって。つくりものだからたのしいしわくわくするんだ。だってドラゴンがほんとうにいたらにんげんがかつわけないもん。たべられておわりだよ」
マークスも頭は賢い。それに本も大好きで毎日読んでいるわ。
同じ親から産まれ、同じ日に産まれ、双子だからってマーガレットとマークスは同じじゃないのは分かってるわ。
一人一人個性があって一人一人違う性格なのも分かってる。
私とケーニスが違うようにマーガレットとマークスも違う。
でもね…、
ケーニスの遺伝、どれだけ強いのよ!
3
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
無能だと捨てられた王子を押し付けられた結果、溺愛されてます
佐崎咲
恋愛
「殿下にはもっとふさわしい人がいると思うんです。私は殿下の婚約者を辞退させていただきますわ」
いきなりそんなことを言い出したのは、私の姉ジュリエンヌ。
第二王子ウォルス殿下と私の婚約話が持ち上がったとき、お姉様は王家に嫁ぐのに相応しいのは自分だと父にねだりその座を勝ち取ったのに。
ウォルス殿下は穏やかで王位継承権を争うことを望んでいないと知り、他国の王太子に鞍替えしたのだ。
だが当人であるウォルス殿下は、淡々と受け入れてしまう。
それどころか、お姉様の代わりに婚約者となった私には、これまでとは打って変わって毎日花束を届けてくれ、ドレスをプレゼントしてくれる。
私は姉のやらかしにひたすら申し訳ないと思うばかりなのに、何やら殿下は生き生きとして見えて――
=========
お姉様のスピンオフ始めました。
「体よく国を追い出された悪女はなぜか隣国を立て直すことになった」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/465693299/193448482
※無断転載・複写はお断りいたします。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
王太子妃候補、のち……
ざっく
恋愛
王太子妃候補として三年間学んできたが、決定されるその日に、王太子本人からそのつもりはないと拒否されてしまう。王太子妃になれなければ、嫁き遅れとなってしまうシーラは言ったーーー。
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
騎士の妻でいてほしい
Rj
恋愛
騎士の父を持ち自身も騎士になったイーサンは、幼馴染みで騎士の娘のリンダと結婚し幸せだったが妻の献身にあぐらをかき離婚の危機をむかえた。かろうじてやり直しのチャンスを得たイーサンだが、リンダが環境をかえ今後のことを考えるために王都で働くことになった。リンダに捨てられると恐怖にかられたイーサンはリンダを追い王都へむかう。イーサンはリンダと本当の意味でやり直すことができるのか。
*所々に下品な表現があります。
『騎士の妻ではいられない』の続編ですが前作を未読でも問題なくお読み頂けます。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
(完結)姉と浮気する王太子様ー1回、私が死んでみせましょう
青空一夏
恋愛
姉と浮気する旦那様、私、ちょっと死んでみます。
これブラックコメディです。
ゆるふわ設定。
最初だけ悲しい→結末はほんわか
画像はPixabayからの
フリー画像を使用させていただいています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる