悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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47 残酷…

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タワーム公爵は約束通り私の悪名を流し噂は広がった。

プロパンス地方の貴族達は王妃が勝手に陛下の権限を使って罰したと声をあげている。

陛下に有る事無い事言い、陛下を自分の思い通りのままに動かしている。

民を自分の好きなように動かし、帝国に奴隷として売った。売ったお金で好き放題している。

他にも王妃の役目も果たさず遊び呆けている。陛下から愛想を尽かされ夜な夜な私室に騎士達を連れ込み無理矢理閨の相手をさせている。

様々な噂が広まった。


心がない悪女、無慈悲な王妃、男性を誑かし奴隷のように扱っている。


『廃妃にするべき』

それは皆が思う事となった。そしてアルバートには同情する声が聞こえるようになった。

『あんな王妃ではこの国は滅びてしまう。我らの王が王妃を罰しこの国を救い出してくれる。陛下は今まで耐えていた。陛下のお心を思うといたたまれない』



私はあれからも第二夫人反対派の人達に会い話し、私が助けたいと思った人だけには助かる方法を教えた。


「王妃様」

「マイラ」


メイドのマイラの顔が怒りで真っ赤になっていた。


「私は怒りが抑えられません。王妃様は民を大切に思う尊きお方です。それを悪名を言われるなんて」

「それで良いのよ。私は悪女、アルバートは聖人君子、それで良いの」

「それにタイラー様との事だって」

「あれには笑ったわ。私達は従兄妹なのよ?幼い頃から一緒に過ごしたんだから側にいても何もおかしくないのに、それが王妃に飼われた愛人でしょ?

タイラーがまだ相談役だった時は二人で話す事もあったわ。相談役を外されてからは公爵家で逢引しているなんて皆想像力が豊かなのね。

まあ従兄妹なら結婚出来るから仕方がないと言えば仕方がないけどね」

「それでも、」

「マイラ、貴女の心配は分かるわ。それでもこれで良いの」

「それにしても陛下も陛下です。第二夫人ばかり贔屓なさっておいでです」

「それも仕方がないわ。何人も同時に愛せる人もいるけどアルバートには無理だもの」

「それならさっさと離縁してくれれば良いと思います」

「それも仕方がないわ。ナーシャ様では王妃は無理だもの」

「そんなの、王妃様を小間使いにしているようなものです」



夜になり私はベッドの中で目を瞑った。


バタン


大きな物音に目を開けた。


「ナーシャ」


突然アルバートがベッドの上に倒れてきた。


「リリーアンヌが何もしないから俺の仕事が増えるばかりで俺はもう疲れた……。何もかも投げ出して俺も…、

ナーシャ俺を癒してくれ…」

「酔ってるの?」

「飲まないとやってられない」


ベッドの中に入ってきたアルバートは私を抱きしめた。


「懐かしいな…、安心する温もりだ…。この抱き心地、心が休まる……。子供の頃を思い出す………。

ナーシャはやっぱり俺の癒やしだな………。ナーシャ愛してる…」


目を閉じてるアルバートから離れ私は部屋の外に居る騎士を呼びに行こうと起き上がった。

突然腕を引っ張られ、アルバートは私の上に覆いかぶさった。

酔っていて焦点の合わない瞳


「アルバートどいて」


私はアルバートを少し押した。


「どうしてだ!ナーシャまで俺を嫌がるのか!」


そう言うとアルバートは私の寝間着を乱暴に脱がした。


「やめて!アルバート!私はナーシャ様じゃないわ!リリーアンヌよ!

やめてーーー!」


部屋の外にいる夜の護衛は若い騎士。陛下が王妃の部屋に入っている以上部屋を開ける事はしない。それに今は夜。夫婦の夜の時間を邪魔なんて出来ない。

ローレン隊長なら私の叫び声で私がどんな姿でも部屋に入ってくるだろうけど、若い騎士ではそれは無理。

コナーも昨日から使いに出していて不在。

影も今日はいつもの人じゃない。


「やめて!お願いアルバートやめて!私はナーシャ様じゃないの!」


私は抵抗するようにアルバートから逃れようとした。足をばたつかせ何度もアルバートを押した。

両手を掴まれ頭の上でアルバートの片手で押さえつけられ、足の上にアルバートが乗った。身動きが取れない私は体を一生懸命動かす。

アルバートは乱雑に私の体に片手を這わせ、足の上に乗っていた体を私の両足の間に入れた。乱暴に足を広げ、男根を私の中に入れた。


「いやーーー!誰か!マイラ!マイラ助けてーー!」

「ナーシャ愛してる。俺にとって大切なのはナーシャだけだ。俺が愛してるのもナーシャだけだ。ずっと俺の側にいてくれ。愛してるナーシャ」

「やめてーーー!マイラ!いやーーー!」


何度も腰を打ち付け男根を出し入れし、アルバートは子種を私の中に放った。アルバートはまだ私の中で繋がったままの状態で私に覆いかぶさり寝息をたてている。


「王妃様!」


扉をドンドンと叩きマイラの声の聞こえた。


「入ります!」


扉を開けて入って来たマイラは慌てて私の側に駆け寄った。


「王妃様、これは、」

「マイラ、アルバートを退かしてほしいの。まだ繋がったままだから」

「わ、分かりました」


マイラは私の上に覆いかぶさっているアルバートを動かそうとした。それでも寝ているアルバートは思った以上に重い。繋がったままの男根を抜くのも、どうしていいか分からない。


「マイラ少しだけアルバートを持ち上げられそう?」

「分かりました」


マイラは力いっぱいアルバートを持ち上げた。それと同時に私もアルバートを下から持ち上げ、繋がった男根を抜いた。

隣で寝ているアルバートを体を起こし座っている私は見下ろす。


ポタ、ポタ、ポタ…


涙が頬を伝いシーツに落ちた。



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