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9.堕ちた

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「聞いてんのかよ!あぁぁん!?」


みんなの視線が一気に僕に注目しているのが分かる。初めての経験で頭が真っ白にな涙が溢れそうになる。


「ご、ごめんなさい」


うるうる


ドッキューーーーン!!


教室中いや、廊下で見てた多学年の生徒中までが堕ちた
その音がみつるには確実に聞こえたのであった


「は、いや、俺悪くねぇ、し、」


「ぼ、僕戦います。弱いけどいっぱい予習はしてきました…」


涙を今にも溢しそうなほど溜めて、へっぴり腰で立つとムキムキさん達は一歩離れて行った





ヒソヒソ


「おい見ろよあんなか弱そうな子いじめてやがるよ」


「転校生なんだろ?成績優秀者相手にあいつらも良くやるぜ」


「流石の俺も可愛すぎて殴れねぇわ」


「あの子殴るなら自分殴るぜ」


ヒソヒソ



何やら先程まで楽しそうに囲んでいた不良達がヒソヒソ言いながら軽蔑の眼差しを不良5人に向けている


「きょ今日のところは勘弁してやる!」


「お、覚えととけよ小僧が!」


先程の威勢はどこへやら、しっぽを巻いて教室から逃げて行ってしまった
そして教室はとたんに静かになった。


「何やってんだおめぇら、廊下の奴らもしっし!ったくろくに時間も守れねぇのかこの学園の猿どもは」


この声は柊先生だ


「早く席付け。遅いやつから減点していくぞ」


スタッ


「こういう時だけだなお前ら。んじゃ出席とんぞー」


柊先生は一度こちらを見たが何事も無かったかの様に出席を取り始めた
ムキムキの怖い不良達も減点と聞いて一目散に席に着いた。柊先生恐ろしい…


「ーーって事で終わる。この後転校生は俺のところに来い、以上解散だ」


そう言ってドアの方へ歩いていく。
僕は急いで先生の方へ向かうと人通りの少ない廊下に来させられた。


「先生話って」


「お前初日にしては騒ぎがでけぇし大丈夫かと思って急いできたら囲まれてるわで、トラブルメーカーだろ」


「ここまで来てそれですか?僕すっごい怖かったんですから!」


「怖い事承知で来てんだろ?」


「まぁ、そうだけど」


不良は好きだしかっこいいし憧れるけど、さっきのは正直人生初めての事すぎて僕自身まだ混乱中だ。そんな中わざわざ呼び出してこれはムカつく


「職員室の方まで騒ぎの事が聞こえてきて急いで行ってやったんだぞ?まぁほらこれやるから」


そう言って僕の手にチロルチョコを二つ置いた


「チョコ…」


「ガキはこれ好きだろ?俺は忙しいから戻る…一日でへばんなよ?」





「行っちゃった…もしかして慰めてくれたのかな?」


多分今朝の騒ぎが職員室まで伝わるなら、昨日みつる君が言ってた派閥?の人達にも伝わってるだろう。
転校初日からこんな事になるなんて…
大好きなかっこいい不良達に囲まれるのは嬉しいけど自分がやられたらたまったもんじゃないので、教室に戻っても静かに壁になろう。

それにしてもここの不良達は案外規則とかは守るタイプらしい。
朝礼でも柊先生が減点と言ったらすぐに席についたし、遅刻や欠席も少ない。強いていうなら一人いなかったぐらいだ。
でも廊下や校庭などでは荒れた不良達がたむろしている図は漫画そのままだった。
みんな漫画で見たボンタンを着ていてムキムキな肌を見せびらかす様に上着のボタンも開けている。
僕もボンタン買おうかな…
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