上 下
3 / 26

第2話 だから彼女はヤンデレストーカー

しおりを挟む
   桜の木の下に埋まっていた女の子を助けたら、モデル体型の黒髪ロングの美少女に告白された。


『 私はあなたのストーカーです

 これからは堂々とストーキングしますね』

 と。

「ちょっと待って整理させてね」
「はい、どうぞ。
 私はいくらでも待てますのでダーリンはたっぷり考えていいですよ」
 もはやどっから突っ込んでいいのか分からない状態なのに、追加で突っ込ませないでほしい。

「とりあえず、そのダーリンっていうの何ですか?」
 もう一つ一つ聞いていくことにした。

「え?ダーリンはダーリンよ。

『 愛しい人』、『 愛する人』。

 けどあまりにも好きすぎて私が溶けちゃいそうだったから遠くから見ていることにしたの」

 なるほど。この人がだいぶ頭のおかしい人だということはわかった。

「それじゃあ次の質問。なんで俺?正直幸さんくらいの女の子なら顔立ちはいいしスタイルもいいから、他の男子から人気だろうし告白も結構あったと思うのに俺に付きまとっていたのが疑問なんだけど」

 と、この質問をすると幸さんの雰囲気が少し変わった。
 今までは妙にフワフワした雰囲気だったが今はその影もない。
 黒い炎がメラメラと燃えたぎるかのような、そのような雰囲気になっていた。

「何故、ダーリンを選んだのかが疑問ですって?本気で言ってるの?私は高校に入る前からあなたのことを知っていたと言うのに!!」

 彼女は何故か激怒していた。しかも以前から知っていたという口ぶりである。
 だが俺としては、身に覚えがなく。
「え、前どっかで会いました…?」
 と返答してしまったがこれが恐らくまずかったのだろう。彼女の態度が一変した。

「どっかで会いました、かぁ……ふふふ……そうか、忘れちゃってるのね……。あの頃のダーリンはもういないのね…」
「ちょっと待って、どうしたの急に?シンプルに怖いんだけど」
 妙に揺らめく彼女に俺は少し怯えながらもなんとか平静を装っていた。いや、平静を装うことしか出来なかった。
「私はあなたのことを知ってるのよ…だって好きだから……ずっと好きだったから……好きな人のことを調べるのは当たり前よね…?好きな理由なんて必要ないわよね、だって現に私はこんなにも愛しているのだから!!」

 怖い怖い怖い怖い!
 こんな怖い告白初めてすぎて心臓に悪すぎるって!

「幸さん!?さっきから様子おかしいけど大丈夫なの?ほらそこのベンチに座ろう、ね!?」
 
 この雰囲気を維持されたらこっちの身が持たないため気分転換がてらベンチに誘導しようとすると

「あ…やっちゃってた…?」
 先程までの黒い雰囲気は消えていった。初めの方のフワフワした雰囲気に戻っていた。

 これはもはや嫌な予感しかしない。先程のことで俺は学習した。
 さっきの雰囲気といい、おそらくドンピシャだろう。

 早くこの場から逃げたくて仕方なかった。
 聞いてしまったら引き返せなくなる。

 そう思った矢先幸さんは口を開いた。

「私ね、ダーリンを思うと愛が積もって、好きすぎて好きで好きで好きで好きで……」

 幸さんは少し言葉を溜め、最後の一言を放った。

「めちゃくちゃにしてあげたくなっちゃう♡」
 目が完全にイッていた。もうこれは黒としかいいようがなかった。

 そんなこんなで俺は、黒髪ロングのスタイルのいい隣のクラスのヤンデレなストーカー・深沢 幸さんから告白されてしまい、結果的に付き纏われるようになってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

しゅうきゅうみっか!-女子サッカー部の高校生監督 片桐修人の苦難-

橋暮 梵人
青春
幼少の頃から日本サッカー界の至宝と言われ、各年代別日本代表のエースとして活躍し続けてきた片桐修人(かたぎり しゅうと)。 順風満帆だった彼の人生は高校一年の時、とある試合で大きく変わってしまう。 悪質なファウルでの大怪我によりピッチ上で輝くことが出来なくなった天才は、サッカー漬けだった日々と決別し人並みの青春を送ることに全力を注ぐようになる。 高校サッカーの強豪校から普通の私立高校に転入した片桐は、サッカーとは無縁の新しい高校生活に思いを馳せる。 しかしそんな片桐の前に、弱小女子サッカー部のキャプテン、鞍月光華(くらつき みつか)が現れる。 「どう、うちのサッカー部の監督、やってみない?」 これは高校生監督、片桐修人と弱小女子サッカー部の奮闘の記録である。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

処理中です...