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第23話 日本では……(7)
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リリスのウェイトレス動画が公開された翌日、剛たちはホームルーム前の教室で動画について語り合っていた。
「おい、リリちゃんのコス動画、見たか?」
「ああ、見た見た! 超パツパツだったよな」
「サイズ合ってなかったよな?」
「だよなぁ。マジエロかったわぁ」
「エール、だっけ? 注文受けまくってたときが一番ヤバかったよな」
「ああ。早送りしてるから揺れまくりっていう」
「俺はあのハゲの奴らにマジムカついた。リリちゃんの胸、あんな近くで凝視しやがって」
「だよなぁ。エロい目見るとか許せねぇよな」
「まったくだ」
「うらやましい」
剛たちは矛盾したことを言っているにもかかわらず、うんうんと頷き合っている。
「そういやさ。他の女の子も出てきたよな」
「ああ。なんか剣持ってる娘となんか僧侶っぽい娘だろ?」
「そうそう。リリちゃんが可愛すぎてアレだけど、あの娘たちも美人だよな」
「だな。なんかお姉さんって感じ?」
「剣士ちゃんとか、めっちゃくっころ似合いそうじゃね?」
「たしかにー」
剛たちは一斉にそう言って頷いた。
「じゃあ僧侶ちゃんは?」
「僧侶ちゃんは……どうだろうな? なんかか弱いお姫様って感じだけど、リリちゃんとキャラ被るんだよなぁ」
「でもさ。逆に剣士ちゃん受けで僧侶ちゃんが攻めとか、ギャップ萌えじゃね?」
「たしかに!」
その言葉に一部の女生徒がピクリと反応するが、すぐに読んでいた本へと視線を落とした。
「いや、でも逆にリリちゃん総受けもアリじゃね?」
「……アリだわ」
何が逆なのか謎ではあるが、剛たちはうんうんと頷いている。そんな節操のない会話をしている剛たちに藤田が近づいてきた。
「ちょっと、朝から変な話はやめなさいよ」
「お! 委員長! あの剣士ちゃんと僧侶ちゃんって――」
「はぁ。何言ってるの? CGだって言ってるでしょ? あの娘たちもゲームの登場人物に決まってるわ」
「えー? そうかなぁ?」
「そうよ。リリちゃんが着ていたあの服はね。フランスのアルザス地方の伝統衣装をベースにしていて、頭のリボンだけが可愛くなるように変更されてるわ。だからあれは間違いなくアルザスの伝統衣装からデザインされたものよ」
「そうかなぁ? でもあの男どもの表情とか、あんなリアルに作んなくない? ゲームだったらあそこまでやらなくね? 俺はリリちゃん実写説を推すけどな」
そう言って杉田はリリス=ゲームのプロモーション説を否定するが、藤田はその意見をさらりと流す。
「さあ? きっとそういうのを売りにするんじゃない? 知らないけど」
「よーし、ホームルーム始めるぞー。みんな席に着くように。あとスマホ持ってきている奴は机の上に出せー」
剛たちの会話はやってきた担任の教師によって中断されたのだった。
◆◇◆
その日の放課後になり、スマホを返してもらった西川が剛のところへと駆け寄ってきた。
「おい! みろ! リリちゃんがShabetterでバズってるぞ!」
「マジで!?」
差し出されたスマホの画面にはウェイトレス姿でエールを運ぶリリスの切り抜き動画があり、なんとすでに一万ものいいねを獲得していた。しかも他人の呟きを拡散するリシャベータが千五百にもなっている。
「やべぇな。バズってんじゃん」
「おう。俺もリシャベータしといたぜ」
「俺もやらなきゃ」
剛はすぐさまリシャベータをする。
こうしてリリスの動画はShabetter上で拡散されていき、GodTubeのリリスのチャンネル登録者は急激に増加するのだった。
================
ついにバズったようです。次回はレティシアの慈善事業を見学します。お楽しみに!
「おい、リリちゃんのコス動画、見たか?」
「ああ、見た見た! 超パツパツだったよな」
「サイズ合ってなかったよな?」
「だよなぁ。マジエロかったわぁ」
「エール、だっけ? 注文受けまくってたときが一番ヤバかったよな」
「ああ。早送りしてるから揺れまくりっていう」
「俺はあのハゲの奴らにマジムカついた。リリちゃんの胸、あんな近くで凝視しやがって」
「だよなぁ。エロい目見るとか許せねぇよな」
「まったくだ」
「うらやましい」
剛たちは矛盾したことを言っているにもかかわらず、うんうんと頷き合っている。
「そういやさ。他の女の子も出てきたよな」
「ああ。なんか剣持ってる娘となんか僧侶っぽい娘だろ?」
「そうそう。リリちゃんが可愛すぎてアレだけど、あの娘たちも美人だよな」
「だな。なんかお姉さんって感じ?」
「剣士ちゃんとか、めっちゃくっころ似合いそうじゃね?」
「たしかにー」
剛たちは一斉にそう言って頷いた。
「じゃあ僧侶ちゃんは?」
「僧侶ちゃんは……どうだろうな? なんかか弱いお姫様って感じだけど、リリちゃんとキャラ被るんだよなぁ」
「でもさ。逆に剣士ちゃん受けで僧侶ちゃんが攻めとか、ギャップ萌えじゃね?」
「たしかに!」
その言葉に一部の女生徒がピクリと反応するが、すぐに読んでいた本へと視線を落とした。
「いや、でも逆にリリちゃん総受けもアリじゃね?」
「……アリだわ」
何が逆なのか謎ではあるが、剛たちはうんうんと頷いている。そんな節操のない会話をしている剛たちに藤田が近づいてきた。
「ちょっと、朝から変な話はやめなさいよ」
「お! 委員長! あの剣士ちゃんと僧侶ちゃんって――」
「はぁ。何言ってるの? CGだって言ってるでしょ? あの娘たちもゲームの登場人物に決まってるわ」
「えー? そうかなぁ?」
「そうよ。リリちゃんが着ていたあの服はね。フランスのアルザス地方の伝統衣装をベースにしていて、頭のリボンだけが可愛くなるように変更されてるわ。だからあれは間違いなくアルザスの伝統衣装からデザインされたものよ」
「そうかなぁ? でもあの男どもの表情とか、あんなリアルに作んなくない? ゲームだったらあそこまでやらなくね? 俺はリリちゃん実写説を推すけどな」
そう言って杉田はリリス=ゲームのプロモーション説を否定するが、藤田はその意見をさらりと流す。
「さあ? きっとそういうのを売りにするんじゃない? 知らないけど」
「よーし、ホームルーム始めるぞー。みんな席に着くように。あとスマホ持ってきている奴は机の上に出せー」
剛たちの会話はやってきた担任の教師によって中断されたのだった。
◆◇◆
その日の放課後になり、スマホを返してもらった西川が剛のところへと駆け寄ってきた。
「おい! みろ! リリちゃんがShabetterでバズってるぞ!」
「マジで!?」
差し出されたスマホの画面にはウェイトレス姿でエールを運ぶリリスの切り抜き動画があり、なんとすでに一万ものいいねを獲得していた。しかも他人の呟きを拡散するリシャベータが千五百にもなっている。
「やべぇな。バズってんじゃん」
「おう。俺もリシャベータしといたぜ」
「俺もやらなきゃ」
剛はすぐさまリシャベータをする。
こうしてリリスの動画はShabetter上で拡散されていき、GodTubeのリリスのチャンネル登録者は急激に増加するのだった。
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ついにバズったようです。次回はレティシアの慈善事業を見学します。お楽しみに!
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