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第四章
第四章第51話 歓迎してくれているみたいです
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それからはタルヴィア子爵が公王様とお話しをしています。話していることはよく分からないんですけど、なんだかすごく和やかな感じです。
「ふむ。では細かい内容は事務方と詰めてもらおう」
「ははっ」
「ところで、ローザ嬢」
「へっ?」
あ! 突然話を振られ、思わず変な声が出ちゃいました。
ゆ、油断してました。
「えっと……その……」
「良い。今日は歓迎のパーティーを開くことにしようと思うが、ローザ嬢のパートナーはいるのかね?」
「い、いえ……」
「ふむ。レフよ。お前はローザ嬢と話したことがあると言っていたな」
「はい」
「ではレフ、ローザ嬢のパートナーに立候補してはどうだ?」
「はい。喜んで」
すると公子様が歩いてきて、あたしの前で跪きました。そしてボソッと小声で教えてくれます。
「ローザ嬢、お手を」
あっ! そうでした。き、緊張して作法が……。
右手を差し出すと、公子様は手の甲にキスをする仕草をします。
「今宵のパーティーでお美しいローザ嬢のパートナーとなる栄誉をくださいませんか?」
「は、はい。喜んで……」
それを見た公王様は満足げな表情で頷いています。
「ではレフよ。パートナーとなった縁だ。お前にローザ嬢の滞在中の案内役を命ずる」
「はっ! 承りました」
公子様はそう言って公王様に一礼すると、あたしに向かって微笑みます。
「ローザ嬢、お聞きのとおり、案内役を仰せつかりました。滞在中はよろしくお願いします」
「は、はい! こちらこそよろしくお願いします」
「まずは客間にご案内します」
こうして公王様との謁見が終わり、あたしたちは金ぴかな謁見の間から退出するのでした。
◆◇◆
あたしたちは公子様に連れられ、客間に案内されました。
「タルヴィア子爵夫妻はこちらの白鳥の間をお使いください」
「白鳥の間を? よろしいのですか? 公子殿下」
「もちろんです。皆さんは我が国の大切なお客様ですから」
「ありがとうございます」
タルヴィア子爵はそう言って頭を下げます。
「それと、タルヴィア子爵夫妻の案内役にはレスキン伯爵夫妻が就きます。後ほど二人が訪ねてくるはずです」
「まあ! お兄さまが?」
「はい。公王陛下の計らいとなります。タルヴィア子爵夫人にとっては久しぶりの里帰りでしょうから」
「ありがとうございます」
イヴァンナさん、すごく嬉しそうです。でもお兄さまっていうことは、イヴァンナさんって元々カルリア公国の貴族で、マルダキア魔法王国に嫁いだってことですよね。
でも仲良し夫婦って感じです。やっぱりどこの国の人かっていうことより、一緒にいて楽しい人と結婚することが大事ってことなんでしょうね。
そんなことを考えていると、タルヴィア子爵が公子様に話し掛けます。
「ところで公子様」
「はい、なんでしょうか?」
「ローザお嬢様はどちらのお部屋に?」
「ローザ嬢には大公の間をご用意しております」
「なっ!? 大公の間ですと!?」
「はい。ローザ嬢はマレスティカ公爵令嬢であり、公太后陛下の治療をお願いしているもっとも重要な国賓ですから、当然です」
う……そうですよね。治療があるんですよね。なんだか緊張してきました。
「同様に、明日到着予定のイオネスク準男爵夫妻には孔雀の間をご利用いただく予定です」
えっと……イオネスク準男爵夫妻って……あ! そうでした! ツェツィーリエ先生の旦那さん、そういえばイオネスク商会の元会頭さんでしたね。それで引退して、ご夫婦で旅行しているって言ってましたっけ。
「かしこまりました。格別のご高配を賜りありがとうございます」
「いえいえ。それではローザ嬢、お部屋にご案内いたしますね」
「は、はい。ありがとうございます」
あたしは公子様にエスコートしてもらい、歩き始めます。
「あの、公子様」
「なんですか? ローザ嬢」
「白鳥の間とか大公の間ってどういうことなんですか? すごいお部屋だってことはわかるんですけど……」
「はい。どの国もそうなのですが、客間にはそれぞれグレードがあり、大公の間というのは原則として外国の王にのみ提供している最上グレードの客間です」
「えっ? あ、あたし、王様じゃないのにいいんですか?」
「はい。名高きマレスティカ公爵家のご息女にこちらからお願いしてご訪問いただいているのです。であればこの扱いは当然のことでしょう」
そ、そうなんですね。なんだか気後れしちゃいます。
「鳥の名前を冠した客間は二番目のグレードで、こちらは王族やそれに準ずる賓客にのみ提供されます。通常、タルヴィア子爵夫妻のような外交官に対しては三番目のグレードである植物の名前を冠した客間を提供しますので、それでお二人は驚いたのでしょう」
えっと、つまり公王様はあたしたちをとても歓迎してくれているってことですよね。
ということは、きっと公王様はマルダキア魔法王国と仲良くしたいと思っているんですよね?
なら、あたしたちが公子様のおばあさんを治せば、もっともっと仲良くなれるはずです。
「えっと……」
「どうしました?」
「あの、公子様。あたし、頑張ります!」
すると公子様は優しく微笑んでくれました。
それから少し歩いていくと、公子様が立ち止まりました。
「ローザ嬢、着きました。ここが大公の間です」
「ふむ。では細かい内容は事務方と詰めてもらおう」
「ははっ」
「ところで、ローザ嬢」
「へっ?」
あ! 突然話を振られ、思わず変な声が出ちゃいました。
ゆ、油断してました。
「えっと……その……」
「良い。今日は歓迎のパーティーを開くことにしようと思うが、ローザ嬢のパートナーはいるのかね?」
「い、いえ……」
「ふむ。レフよ。お前はローザ嬢と話したことがあると言っていたな」
「はい」
「ではレフ、ローザ嬢のパートナーに立候補してはどうだ?」
「はい。喜んで」
すると公子様が歩いてきて、あたしの前で跪きました。そしてボソッと小声で教えてくれます。
「ローザ嬢、お手を」
あっ! そうでした。き、緊張して作法が……。
右手を差し出すと、公子様は手の甲にキスをする仕草をします。
「今宵のパーティーでお美しいローザ嬢のパートナーとなる栄誉をくださいませんか?」
「は、はい。喜んで……」
それを見た公王様は満足げな表情で頷いています。
「ではレフよ。パートナーとなった縁だ。お前にローザ嬢の滞在中の案内役を命ずる」
「はっ! 承りました」
公子様はそう言って公王様に一礼すると、あたしに向かって微笑みます。
「ローザ嬢、お聞きのとおり、案内役を仰せつかりました。滞在中はよろしくお願いします」
「は、はい! こちらこそよろしくお願いします」
「まずは客間にご案内します」
こうして公王様との謁見が終わり、あたしたちは金ぴかな謁見の間から退出するのでした。
◆◇◆
あたしたちは公子様に連れられ、客間に案内されました。
「タルヴィア子爵夫妻はこちらの白鳥の間をお使いください」
「白鳥の間を? よろしいのですか? 公子殿下」
「もちろんです。皆さんは我が国の大切なお客様ですから」
「ありがとうございます」
タルヴィア子爵はそう言って頭を下げます。
「それと、タルヴィア子爵夫妻の案内役にはレスキン伯爵夫妻が就きます。後ほど二人が訪ねてくるはずです」
「まあ! お兄さまが?」
「はい。公王陛下の計らいとなります。タルヴィア子爵夫人にとっては久しぶりの里帰りでしょうから」
「ありがとうございます」
イヴァンナさん、すごく嬉しそうです。でもお兄さまっていうことは、イヴァンナさんって元々カルリア公国の貴族で、マルダキア魔法王国に嫁いだってことですよね。
でも仲良し夫婦って感じです。やっぱりどこの国の人かっていうことより、一緒にいて楽しい人と結婚することが大事ってことなんでしょうね。
そんなことを考えていると、タルヴィア子爵が公子様に話し掛けます。
「ところで公子様」
「はい、なんでしょうか?」
「ローザお嬢様はどちらのお部屋に?」
「ローザ嬢には大公の間をご用意しております」
「なっ!? 大公の間ですと!?」
「はい。ローザ嬢はマレスティカ公爵令嬢であり、公太后陛下の治療をお願いしているもっとも重要な国賓ですから、当然です」
う……そうですよね。治療があるんですよね。なんだか緊張してきました。
「同様に、明日到着予定のイオネスク準男爵夫妻には孔雀の間をご利用いただく予定です」
えっと……イオネスク準男爵夫妻って……あ! そうでした! ツェツィーリエ先生の旦那さん、そういえばイオネスク商会の元会頭さんでしたね。それで引退して、ご夫婦で旅行しているって言ってましたっけ。
「かしこまりました。格別のご高配を賜りありがとうございます」
「いえいえ。それではローザ嬢、お部屋にご案内いたしますね」
「は、はい。ありがとうございます」
あたしは公子様にエスコートしてもらい、歩き始めます。
「あの、公子様」
「なんですか? ローザ嬢」
「白鳥の間とか大公の間ってどういうことなんですか? すごいお部屋だってことはわかるんですけど……」
「はい。どの国もそうなのですが、客間にはそれぞれグレードがあり、大公の間というのは原則として外国の王にのみ提供している最上グレードの客間です」
「えっ? あ、あたし、王様じゃないのにいいんですか?」
「はい。名高きマレスティカ公爵家のご息女にこちらからお願いしてご訪問いただいているのです。であればこの扱いは当然のことでしょう」
そ、そうなんですね。なんだか気後れしちゃいます。
「鳥の名前を冠した客間は二番目のグレードで、こちらは王族やそれに準ずる賓客にのみ提供されます。通常、タルヴィア子爵夫妻のような外交官に対しては三番目のグレードである植物の名前を冠した客間を提供しますので、それでお二人は驚いたのでしょう」
えっと、つまり公王様はあたしたちをとても歓迎してくれているってことですよね。
ということは、きっと公王様はマルダキア魔法王国と仲良くしたいと思っているんですよね?
なら、あたしたちが公子様のおばあさんを治せば、もっともっと仲良くなれるはずです。
「えっと……」
「どうしました?」
「あの、公子様。あたし、頑張ります!」
すると公子様は優しく微笑んでくれました。
それから少し歩いていくと、公子様が立ち止まりました。
「ローザ嬢、着きました。ここが大公の間です」
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