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第四章
第四章第28話 家族ができました
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ついに養女になったって公開される日がやってきました。あ、でも書類上ではもうあたしはマレスティカ公爵家のお嬢様で、名前もローザ・マレスティカに変わっているそうです。
今日はですね。ちょっと怖いですけど、お城で王様に会って養女になったことを認めてもらって、それからお披露目パーティーをするんです。それで、他の人たちにもあたしがマレスティカ公爵家の養女だって認めてもらうっていう感じみたいです。
それでですね。今日は朝からおめかしするため、レジーナさんのお屋敷にお邪魔して……じゃなかった、あたしのお家に来ています。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
あたしがラダさんのエスコートで馬車を降りると、お屋敷の入口でメイドさんと執事さんがずらりと並んで出迎えてくれました。
う……プレッシャーです。えっと、この場合は……堂々と胸を張って歩けばいいんですよね。
あたしはラダさんの後ろに隠れたくなる気持ちを必死に抑え、前を向いて歩きます。するとメイドさんの中から三十代半ばくらいの女性が一人、歩み出てきました。
ラダさんがその女性の前で立ち止まったのであたしも立ち止まります。
「お嬢様、おかえりなさいませ。私はお嬢様の専属侍女を拝命いたしましたメラニア・コルネと申します。お嬢様がご滞在の間、お世話をさせていただきます」
そう言って綺麗なカーテシーをしてきました。あたしはついカーテシーを返しそうになりましたが、習ったことを思い出してニッコリ微笑みます。
「ええ、よろしくお願いします」
「それではまず、お嬢様のお部屋にご案内いたします」
こうしてあたしはメラニアさんに連れられ、お部屋に向かうのでした。
◆◇◆
「お嬢様、早速で恐縮ですが時間がございません。本当は色々とご案内したいのですが、まずはパーティーの準備を急ぎましょう」
「はい」
「それではこちらにお掛けください」
「はい」
あたしはメラニアさんとアシスタントのメイドさんたちにあっという間に制服を脱がされました。そしてコルセットというものを腰に巻きつけられました。
「引っ張りますよ」
「ひえっ!?」
び、ビックリしました。突然腰に巻きついたコルセットがぎゅっと締め上げられました。
「ローザお嬢様、具合はいかがですか?」
「え? えっと、はい。ちょっとビックリしましたけど、大丈夫です」
「まあ! それは素晴らしいです」
えっと、何が素晴らしいんでしょう?
それからあたしはひらひらのたくさんついた可愛らしいドレスを着せてもらい、さらに首飾りまでつけてもらいました。それにちょっとだけお化粧も……。
「さあ、できました。いかがですか?」
「えっと……」
鏡の中に知らない女の子が映っています。
「ふふ。今日のお嬢様は世界一お美しいですよ。きっとお城では多くの殿方の視線を釘付けにすることでしょう」
「え?」
えっと、それって王太子様もってことでしょうか? それはちょっと……。
「さあ、時間もありません。急いでお城にお向かいください」
「え? あ! もうこんな時間!」
来たときは朝早かったのに、気が付けば日がもうかなり高くなっています。
こうしてあたしはお城に向かうのでした。
◆◇◆
お城に着くと、あたしはすぐに三階にあるお部屋に案内されました。そこにはレジーナさん、アロンさん、それにシモーナさんが待っていました。
「やあ、よく来たね」
「お、お待たせしました」
「おやおや、そんなに畏まらなくてもいいんだよ」
「そうよ、ローザちゃん。今日からは家族になるのですからね」
アロンさんとシモーナさんが優しくそう声をかけてくれました。
えっと……はい。頭では分かっているんですけど、その、なんていうか、やっぱりこう、アロンさんたちはものすごく偉い人っていうイメージが……。
「あらあら。急には無理かしら?」
あ! シモーナさんに苦笑いをされてしまいました。
ううっ。シモーナさんもアロンさんも、それにレジーナさんだってすごくいい人だってちゃんと分かっているつもりです。
「お母さま、ローザにいきなりそんなことを言っても無理ですわ。ローザはとても慎重なんですのよ?」
「あら、いきなり義妹の肩を持つのね」
「当然ですわ。わたくし、ずっとこんな風に可愛い妹が欲しいと思っていたんですのよ?」
レジーナさんがクスクスと笑いながらあたしのところに近寄ってきて、そっと抱きしめてくれました。
「これから国王陛下にご挨拶を済ませれば、ローザは国中からマレスティカ公爵家の娘として扱われますわ。だから、今のうちに練習してしまいましょう?」
「れ、練習ですか?」
「そう。わたくしのことはお義姉さまと呼びなさい? それにお義父さま、お義母さまと」
う……そ、そうですよね。恥をかかせちゃいますもんね。
「え、えっと、お、お、お、お義姉、さま……」
い、言っちゃいました。
「そう。ローザ、貴女のお義姉さまですわよ」
「は、はい。お義姉さま……」
「ううん。可愛いですわね」
レジーナさん、じゃなかった、お義姉さまはそう言ってまたあたしをぎゅっとしてくれました。
「さあ、お父さまとお母さまにも」
「は、はい。えっと……」
アロンさんとシモーナさん、いえ、お、お、お義父さま、お義母さまにじっと見つめられていて、なんだかとってもドキドキします。
「その……お、お……」
「うん」
「お義父さま、お義母さま」
「そうよ。わたくしがお義母さまよ!」
お義母さまは満面の笑みを浮かべて、お義父さまは少し照れくさそうに喜んでくれています。
え、えへへ。なんだか心がぽかぽかします。よくわからないですけど、これが家族なんでしょうか?
そうして感慨にふけっていると扉がノックされ、続いて男の人が声を掛けてきます。
「マレスティカ公爵閣下、お時間でございます」
今日はですね。ちょっと怖いですけど、お城で王様に会って養女になったことを認めてもらって、それからお披露目パーティーをするんです。それで、他の人たちにもあたしがマレスティカ公爵家の養女だって認めてもらうっていう感じみたいです。
それでですね。今日は朝からおめかしするため、レジーナさんのお屋敷にお邪魔して……じゃなかった、あたしのお家に来ています。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
あたしがラダさんのエスコートで馬車を降りると、お屋敷の入口でメイドさんと執事さんがずらりと並んで出迎えてくれました。
う……プレッシャーです。えっと、この場合は……堂々と胸を張って歩けばいいんですよね。
あたしはラダさんの後ろに隠れたくなる気持ちを必死に抑え、前を向いて歩きます。するとメイドさんの中から三十代半ばくらいの女性が一人、歩み出てきました。
ラダさんがその女性の前で立ち止まったのであたしも立ち止まります。
「お嬢様、おかえりなさいませ。私はお嬢様の専属侍女を拝命いたしましたメラニア・コルネと申します。お嬢様がご滞在の間、お世話をさせていただきます」
そう言って綺麗なカーテシーをしてきました。あたしはついカーテシーを返しそうになりましたが、習ったことを思い出してニッコリ微笑みます。
「ええ、よろしくお願いします」
「それではまず、お嬢様のお部屋にご案内いたします」
こうしてあたしはメラニアさんに連れられ、お部屋に向かうのでした。
◆◇◆
「お嬢様、早速で恐縮ですが時間がございません。本当は色々とご案内したいのですが、まずはパーティーの準備を急ぎましょう」
「はい」
「それではこちらにお掛けください」
「はい」
あたしはメラニアさんとアシスタントのメイドさんたちにあっという間に制服を脱がされました。そしてコルセットというものを腰に巻きつけられました。
「引っ張りますよ」
「ひえっ!?」
び、ビックリしました。突然腰に巻きついたコルセットがぎゅっと締め上げられました。
「ローザお嬢様、具合はいかがですか?」
「え? えっと、はい。ちょっとビックリしましたけど、大丈夫です」
「まあ! それは素晴らしいです」
えっと、何が素晴らしいんでしょう?
それからあたしはひらひらのたくさんついた可愛らしいドレスを着せてもらい、さらに首飾りまでつけてもらいました。それにちょっとだけお化粧も……。
「さあ、できました。いかがですか?」
「えっと……」
鏡の中に知らない女の子が映っています。
「ふふ。今日のお嬢様は世界一お美しいですよ。きっとお城では多くの殿方の視線を釘付けにすることでしょう」
「え?」
えっと、それって王太子様もってことでしょうか? それはちょっと……。
「さあ、時間もありません。急いでお城にお向かいください」
「え? あ! もうこんな時間!」
来たときは朝早かったのに、気が付けば日がもうかなり高くなっています。
こうしてあたしはお城に向かうのでした。
◆◇◆
お城に着くと、あたしはすぐに三階にあるお部屋に案内されました。そこにはレジーナさん、アロンさん、それにシモーナさんが待っていました。
「やあ、よく来たね」
「お、お待たせしました」
「おやおや、そんなに畏まらなくてもいいんだよ」
「そうよ、ローザちゃん。今日からは家族になるのですからね」
アロンさんとシモーナさんが優しくそう声をかけてくれました。
えっと……はい。頭では分かっているんですけど、その、なんていうか、やっぱりこう、アロンさんたちはものすごく偉い人っていうイメージが……。
「あらあら。急には無理かしら?」
あ! シモーナさんに苦笑いをされてしまいました。
ううっ。シモーナさんもアロンさんも、それにレジーナさんだってすごくいい人だってちゃんと分かっているつもりです。
「お母さま、ローザにいきなりそんなことを言っても無理ですわ。ローザはとても慎重なんですのよ?」
「あら、いきなり義妹の肩を持つのね」
「当然ですわ。わたくし、ずっとこんな風に可愛い妹が欲しいと思っていたんですのよ?」
レジーナさんがクスクスと笑いながらあたしのところに近寄ってきて、そっと抱きしめてくれました。
「これから国王陛下にご挨拶を済ませれば、ローザは国中からマレスティカ公爵家の娘として扱われますわ。だから、今のうちに練習してしまいましょう?」
「れ、練習ですか?」
「そう。わたくしのことはお義姉さまと呼びなさい? それにお義父さま、お義母さまと」
う……そ、そうですよね。恥をかかせちゃいますもんね。
「え、えっと、お、お、お、お義姉、さま……」
い、言っちゃいました。
「そう。ローザ、貴女のお義姉さまですわよ」
「は、はい。お義姉さま……」
「ううん。可愛いですわね」
レジーナさん、じゃなかった、お義姉さまはそう言ってまたあたしをぎゅっとしてくれました。
「さあ、お父さまとお母さまにも」
「は、はい。えっと……」
アロンさんとシモーナさん、いえ、お、お、お義父さま、お義母さまにじっと見つめられていて、なんだかとってもドキドキします。
「その……お、お……」
「うん」
「お義父さま、お義母さま」
「そうよ。わたくしがお義母さまよ!」
お義母さまは満面の笑みを浮かべて、お義父さまは少し照れくさそうに喜んでくれています。
え、えへへ。なんだか心がぽかぽかします。よくわからないですけど、これが家族なんでしょうか?
そうして感慨にふけっていると扉がノックされ、続いて男の人が声を掛けてきます。
「マレスティカ公爵閣下、お時間でございます」
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