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第三章
第三章第19話 新学期が始まりました
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どうもこんにちは。ローザです。養子にならないかと言われた翌日に魔法学園の寮へ戻ると、なんとオーデルラーヴァからお手紙が届いていました。
そうです。オフェリアさんからです。すごいタイミングだと思いませんか?
しかもオフェリアさんだけじゃなくてシルヴィエさんやブラジェナさん、エリシュカさん、ソニャさんといったオーデルラーヴァでお世話になったお姉さんたちからのメッセージまで同封されていました。
えへへ。なんだかとっても懐かしいですね。
お姉さんたちはみんな元気で、これといった事件も起きていないそうです。
だからちょっと安心しました。
あ、もちろん相談のお手紙の返事が届いたんじゃないですからね? 決闘騒ぎのあとに出した手紙のお返事が届いたんです。
だからそのお手紙のお返事ということで、今回の件について相談するお手紙を出しました。きっとオフェリアさんからのお返事が届くのはひと月以上あとだと思います。
ここからオーデルラーヴァへ普通に行くだけでも二週間くらいかかりますからね。仕方がありません。
養子になる件はあたし一人で考えたってよく分かりませんからね。オフェリアさんからのお返事が来るまでは考えないでおこうと思います。
それまでは授業を頑張って、光属性をちゃんと使えるように頑張ろうと思います。
◆◇◆
と、そうこうしているうちに夏休みが終わり、新学期になりました。一般の授業は今までどおりですが、魔術の授業は火属性ではなくリリアちゃんと一緒の光属性クラスになりました。
「リリアちゃん、ローザちゃん、おはようございます」
「「おはようございます」」
そんなわけであたしたちは早速ツェツィーリエさん、いえツェツィーリエ先生のクラスにやってきました。生徒はあたしとリリアちゃん二人だけです。他の皆さんも得意な属性ごとに授業を受けています。
「はい。いいお返事ですね。それじゃあ、早速二人の理解度を確認するためのテストをします」
「は、はい」
どうしましょう。あたし、光属性のことはあまりよくわからないんですよね。獲物を狙う時用の光を出すくらいしかしていなくて、怪我の治療とかはさっぱりです。
治療はあたしが何かする前にピーちゃんが治療してくれますし……。だって、できるかどうか分からないあたしよりちゃんと治せるピーちゃんが治したほうがいいじゃないですか。
それに練習のために自分でわざと怪我をするのは痛そうですし、誰かに怪我をさせるのも嫌です。
そんなことを思っていると、ツェツィーリエ先生があたしに答案用紙を渡してくれました。
「素直に答えてちょうだいね。これで成績をつけるわけではありませんよ」
あ、それなら良かったです。全然できなくてもいいんですね。
えっと……。
あたしは問題を確認していきます。
すると第一問は今使える光属性の魔法に丸をつけるものでした。
えっと、あたしが使えるのは……ない、ですね。
簡易治癒というのは、たしかリリアちゃんの得意なやつですよね。使ったことがないのでわかりません。
あと閃光というのは、えっと……?
あ、もしかしてリリアちゃんがあたしを助けてくれたときに使っていたやつでしょうか?
光を出すのはできるので、真似すればできるような気がします。
えっと、たしかこんな感じだったような?
あの時リリアちゃんが使った魔法を思い出して目の前に光が出るようにしてみました。するとものすごい光が一瞬だけ放たれます。
「あっ!」
こんなに強い光が出るとは思っていなかったあたしはそれをまともに見てしましました。
「あらあら、ローザちゃん? 大丈夫?」
ツェツィーリエ先生は目が眩んでしまったあたしの瞼に手を置き、治癒魔法を掛けてくれました。
「ローザちゃん、こんなところでそんな風に閃光の魔術を使ってはいけません」
「ご、ごめんなさい」
「最悪の場合、目が見えなくなってしまうかもしれませんよ?」
「は、はい……」
「さあ、もう大丈夫ですよ。それより、どうしてここで閃光の魔術を使ったんですか?」
あたしの瞼から手を離したツェツィーリエ先生がそう尋ねてきます。
「えっと、ここに書かれているものが使えるか分からなかったので……」
「それじゃあローザちゃんは、術式も一切知らずに先ほどの魔術を発動したのですか?」
「はい。えっと、術式とかはよく分からないんですけど、その、リリアちゃんが前にこの魔法で助けてくれたことがあって、その……」
「……そう。やっぱりローザちゃんのそれは本当に魔法なのね」
「えっと?」
「前期の授業で習ったと思うけれど、魔術の発動には術式というものが必要なのよ。だから、一年生の皆さんは魔術文字と術式の基礎を習っていますね」
「はい」
たしかに、そういう風に習いました。
「でも魔法はその術式を全て飛ばして発動できてしまう」
「えっと、はい」
最初の授業でゲラシム先生がそんなことを話していました。
「ローザちゃんは、今の閃光魔法はどうやって発動したの?」
「えっと、リリアちゃんが使っていたのを思い出しました。それで、えっと、あとは同じようになる感じでイメージしました」
「それじゃあローザちゃんは、自分が想像できることであれば魔法で実現できるということかしら?」
「え? えっと、全部かは分からないですけど、魔法を使うときはそうしています」
「そう」
ツェツィーリエ先生はそう言って目をスッと細めると、そのまま押し黙ってしまいました。
「あ、えっと……」
「そうね。やっぱりローザちゃんは魔術ではなく、魔法を伸ばしてみましょう。そこから魔術に対する理解を深めるほうが良いかもしれません」
よく分かりませんが、ツェツィーリエ先生が言うならきっとそれで正しいんだと思います。
「えっと、はい」
あたしはとりあえず、そう答えたのでした。
そうです。オフェリアさんからです。すごいタイミングだと思いませんか?
しかもオフェリアさんだけじゃなくてシルヴィエさんやブラジェナさん、エリシュカさん、ソニャさんといったオーデルラーヴァでお世話になったお姉さんたちからのメッセージまで同封されていました。
えへへ。なんだかとっても懐かしいですね。
お姉さんたちはみんな元気で、これといった事件も起きていないそうです。
だからちょっと安心しました。
あ、もちろん相談のお手紙の返事が届いたんじゃないですからね? 決闘騒ぎのあとに出した手紙のお返事が届いたんです。
だからそのお手紙のお返事ということで、今回の件について相談するお手紙を出しました。きっとオフェリアさんからのお返事が届くのはひと月以上あとだと思います。
ここからオーデルラーヴァへ普通に行くだけでも二週間くらいかかりますからね。仕方がありません。
養子になる件はあたし一人で考えたってよく分かりませんからね。オフェリアさんからのお返事が来るまでは考えないでおこうと思います。
それまでは授業を頑張って、光属性をちゃんと使えるように頑張ろうと思います。
◆◇◆
と、そうこうしているうちに夏休みが終わり、新学期になりました。一般の授業は今までどおりですが、魔術の授業は火属性ではなくリリアちゃんと一緒の光属性クラスになりました。
「リリアちゃん、ローザちゃん、おはようございます」
「「おはようございます」」
そんなわけであたしたちは早速ツェツィーリエさん、いえツェツィーリエ先生のクラスにやってきました。生徒はあたしとリリアちゃん二人だけです。他の皆さんも得意な属性ごとに授業を受けています。
「はい。いいお返事ですね。それじゃあ、早速二人の理解度を確認するためのテストをします」
「は、はい」
どうしましょう。あたし、光属性のことはあまりよくわからないんですよね。獲物を狙う時用の光を出すくらいしかしていなくて、怪我の治療とかはさっぱりです。
治療はあたしが何かする前にピーちゃんが治療してくれますし……。だって、できるかどうか分からないあたしよりちゃんと治せるピーちゃんが治したほうがいいじゃないですか。
それに練習のために自分でわざと怪我をするのは痛そうですし、誰かに怪我をさせるのも嫌です。
そんなことを思っていると、ツェツィーリエ先生があたしに答案用紙を渡してくれました。
「素直に答えてちょうだいね。これで成績をつけるわけではありませんよ」
あ、それなら良かったです。全然できなくてもいいんですね。
えっと……。
あたしは問題を確認していきます。
すると第一問は今使える光属性の魔法に丸をつけるものでした。
えっと、あたしが使えるのは……ない、ですね。
簡易治癒というのは、たしかリリアちゃんの得意なやつですよね。使ったことがないのでわかりません。
あと閃光というのは、えっと……?
あ、もしかしてリリアちゃんがあたしを助けてくれたときに使っていたやつでしょうか?
光を出すのはできるので、真似すればできるような気がします。
えっと、たしかこんな感じだったような?
あの時リリアちゃんが使った魔法を思い出して目の前に光が出るようにしてみました。するとものすごい光が一瞬だけ放たれます。
「あっ!」
こんなに強い光が出るとは思っていなかったあたしはそれをまともに見てしましました。
「あらあら、ローザちゃん? 大丈夫?」
ツェツィーリエ先生は目が眩んでしまったあたしの瞼に手を置き、治癒魔法を掛けてくれました。
「ローザちゃん、こんなところでそんな風に閃光の魔術を使ってはいけません」
「ご、ごめんなさい」
「最悪の場合、目が見えなくなってしまうかもしれませんよ?」
「は、はい……」
「さあ、もう大丈夫ですよ。それより、どうしてここで閃光の魔術を使ったんですか?」
あたしの瞼から手を離したツェツィーリエ先生がそう尋ねてきます。
「えっと、ここに書かれているものが使えるか分からなかったので……」
「それじゃあローザちゃんは、術式も一切知らずに先ほどの魔術を発動したのですか?」
「はい。えっと、術式とかはよく分からないんですけど、その、リリアちゃんが前にこの魔法で助けてくれたことがあって、その……」
「……そう。やっぱりローザちゃんのそれは本当に魔法なのね」
「えっと?」
「前期の授業で習ったと思うけれど、魔術の発動には術式というものが必要なのよ。だから、一年生の皆さんは魔術文字と術式の基礎を習っていますね」
「はい」
たしかに、そういう風に習いました。
「でも魔法はその術式を全て飛ばして発動できてしまう」
「えっと、はい」
最初の授業でゲラシム先生がそんなことを話していました。
「ローザちゃんは、今の閃光魔法はどうやって発動したの?」
「えっと、リリアちゃんが使っていたのを思い出しました。それで、えっと、あとは同じようになる感じでイメージしました」
「それじゃあローザちゃんは、自分が想像できることであれば魔法で実現できるということかしら?」
「え? えっと、全部かは分からないですけど、魔法を使うときはそうしています」
「そう」
ツェツィーリエ先生はそう言って目をスッと細めると、そのまま押し黙ってしまいました。
「あ、えっと……」
「そうね。やっぱりローザちゃんは魔術ではなく、魔法を伸ばしてみましょう。そこから魔術に対する理解を深めるほうが良いかもしれません」
よく分かりませんが、ツェツィーリエ先生が言うならきっとそれで正しいんだと思います。
「えっと、はい」
あたしはとりあえず、そう答えたのでした。
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