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第二章
第48話 泥棒扱いされました
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どうもおはようございます。ローザです。森の中で一泊したあたしは取った獲物を持って門の前までやってきました。
あれから結局キツネは狩れませんでしたが鹿を二頭、ウサギを七羽捕まえることができたので狩りの成果としては上々なんじゃないでしょうか?
そのうち鹿一頭とウサギ二羽は自分達用で残りはギルドに買い取って貰うつもりです。
大半を収納に入れると、持てる分の毛皮だけを手に持って門の前へやってきました。
「あっ。お嬢ちゃん、無事だったんだね。良かった。下見って言っていたのに門を閉める時間になっても戻ってこないから心配していたんだよ?」
「えっと、ごめんなさい。狩りに夢中になってました」
「でもその分成果はあったみたいだね。昨日はぺったんこだった鞄がパンパンじゃないか。おめでとう。すごいね。でも、夜の森は魔物や肉食獣が出るから無茶をしちゃあいけないよ?」
「はい。ありがとうございます」
こうして無事に門を通過したあたしはギルドへと直行し、受付カウンターへと並びます。そうして待っているとすぐにあたしの順番がやってきました。
「おはよう、お嬢ちゃん。おつかい、偉いね。今日はどんな依頼かな?」
む。完全に子供扱いです。まあ、背が低いので仕方ないですけど。
「あたしは冒険者です。狩りをしてきたので納品に来ました」
「え? あ、そ、そう。まだ小さいのに大変ね。それじゃあ、あっちのカウンターまで持ってきてくれるかしら?」
あたしが冒険者カードを差し出すと何だか哀れみの目で見られたような気がします。
あれ? もしかしてこの国では 12 歳で冒険者になるのは珍しいんでしょうか?
ともあれ、あたしは指示された場所に移動すると手に持っている毛皮をカウンターの上に置き、それから鞄に入れておいた売る用のお肉を取り出して置きました。
「え? し、鹿が一頭とウサギが五羽? しかも毛皮は鹿二頭とウサギを七羽分? これ全部お嬢ちゃんが狩ったの? しかも毛皮はちゃんと鞣し加工までされているじゃない。どういうこと……?」
そう言って困惑の表情を浮かべると考え込み、そしてあたしのことを哀れみの目で見てきました。
「お嬢ちゃん、他所で盗んできた物を売っちゃダメよ?」
「は?」
えっと、このお姉さんは一体何を言っているんでしょうか?
「いい? お嬢ちゃんも食べるために必死になっているのは分かるわ。でもね? 他人様の物を勝手に持ってくるのは罪なの。お姉さんも一緒に謝ってあげるから、どこから盗んできたか言いなさい?」
どういう事でしょうか? あたしは盗んでなんかいないんですけど。
「あの? ちゃんと一晩かけてあたしの従魔の子たちで捕まえたんですけど?」
「ダメよ。そんなこと言って嘘ついちゃ。こんなに小さな子供がこんなにたくさん狩れるわけないでしょ? それに従魔と言っても冒険者カードに記載があるのはスライムと白猫とミミズクでしょう? そんな小さな従魔とペットで狩れるはずがないわ」
どうしましょう。全く聞く耳をもってもらえません。
「いや、ですからあたしが狩ったんです。大体、こんなにぴったりな大きさの毛皮とお肉がセットで用意できるわけがないじゃないですか」
「もう。あくまでしらを切り通すなら仕方ないわ。ちょっとー」
お姉さんが奥に声を掛けるとスキンヘッドのちょっと厳ついおじさんが出てきました。
「おう、アンダ。どうした?」
「この子が盗品を自分が狩ったって言って持ってきたのよ。ちょっと奥で話を聞くからそこの証拠品を保管しておいてくれる?」
「あ? ああ」
「じゃあ、お嬢ちゃん。こっちで話を聞かせてもらうわ」
そうぴしゃりといったお姉さんはあたしの手を掴むとそのまま奥へと引っ張っていきます。
「シャーッ」
「ユキ、ダメ。あたしは何も悪いことをしていないんだから大丈夫です」
「お、おい、アンダ!」
後ろの方で厳ついおじさんの慌てたような声がしましたが、アンダと呼ばれたこの人は構わずにあたしを奥へと連行したのでした。
****
「いい加減、自分が悪いことをしたのを認めなさい!」
かれこれ三十分くらいは同じ問答を繰り返しています。このアンダという人はあたしが盗んで売りに来たと決めつけていて、いくら説明しても全く話を聞いてもらえません。
「だから、言ってるじゃないですか。ちゃんと南門から昨日の昼過ぎに出て今日の朝に戻ってきたって。門番さんとも話をしましたし、記録が残っているはずです」
「そんな嘘を言うのはいけません。いい? 嘘に嘘を重ねるとどんどん辛くなるのよ? 嘘吐きは泥棒の始まり。12 歳ならまだ間に合うわ。きちんと罪を認めて、悪いことは悪いと認めて正せる大人にならないといけないのよ?」
「だから、嘘なんてついていません!」
「もう、どうしてわからないの!」
パチン、という乾いた音がしてあたしの左の頬にカーっとした痛みが走ります。
「痛い? 痛いわよね? でもあなたのためなのよ? 小さな女の子を叩いた私の手と心はもっと痛いのよ」
「シャーッ」
ユキが怒って飛びかかるとアンダの顔面に思い切り猫パンチを入れました。
「なっ! どういう事? 他人に攻撃をする従魔なんて! その猫は処分してもらいますからね。ちょっと待ってなさい!」
顔に引っかき傷をつけられたアンダはそうヒステリックな声をあげて立ち上がると扉の方へとずかずかと歩き出したのでした。
================
次回更新は 2/6(土)20:00 の予定です。
また、執筆ペースの問題から今後の更新は毎週土日の 20:00 を予定しております。
あれから結局キツネは狩れませんでしたが鹿を二頭、ウサギを七羽捕まえることができたので狩りの成果としては上々なんじゃないでしょうか?
そのうち鹿一頭とウサギ二羽は自分達用で残りはギルドに買い取って貰うつもりです。
大半を収納に入れると、持てる分の毛皮だけを手に持って門の前へやってきました。
「あっ。お嬢ちゃん、無事だったんだね。良かった。下見って言っていたのに門を閉める時間になっても戻ってこないから心配していたんだよ?」
「えっと、ごめんなさい。狩りに夢中になってました」
「でもその分成果はあったみたいだね。昨日はぺったんこだった鞄がパンパンじゃないか。おめでとう。すごいね。でも、夜の森は魔物や肉食獣が出るから無茶をしちゃあいけないよ?」
「はい。ありがとうございます」
こうして無事に門を通過したあたしはギルドへと直行し、受付カウンターへと並びます。そうして待っているとすぐにあたしの順番がやってきました。
「おはよう、お嬢ちゃん。おつかい、偉いね。今日はどんな依頼かな?」
む。完全に子供扱いです。まあ、背が低いので仕方ないですけど。
「あたしは冒険者です。狩りをしてきたので納品に来ました」
「え? あ、そ、そう。まだ小さいのに大変ね。それじゃあ、あっちのカウンターまで持ってきてくれるかしら?」
あたしが冒険者カードを差し出すと何だか哀れみの目で見られたような気がします。
あれ? もしかしてこの国では 12 歳で冒険者になるのは珍しいんでしょうか?
ともあれ、あたしは指示された場所に移動すると手に持っている毛皮をカウンターの上に置き、それから鞄に入れておいた売る用のお肉を取り出して置きました。
「え? し、鹿が一頭とウサギが五羽? しかも毛皮は鹿二頭とウサギを七羽分? これ全部お嬢ちゃんが狩ったの? しかも毛皮はちゃんと鞣し加工までされているじゃない。どういうこと……?」
そう言って困惑の表情を浮かべると考え込み、そしてあたしのことを哀れみの目で見てきました。
「お嬢ちゃん、他所で盗んできた物を売っちゃダメよ?」
「は?」
えっと、このお姉さんは一体何を言っているんでしょうか?
「いい? お嬢ちゃんも食べるために必死になっているのは分かるわ。でもね? 他人様の物を勝手に持ってくるのは罪なの。お姉さんも一緒に謝ってあげるから、どこから盗んできたか言いなさい?」
どういう事でしょうか? あたしは盗んでなんかいないんですけど。
「あの? ちゃんと一晩かけてあたしの従魔の子たちで捕まえたんですけど?」
「ダメよ。そんなこと言って嘘ついちゃ。こんなに小さな子供がこんなにたくさん狩れるわけないでしょ? それに従魔と言っても冒険者カードに記載があるのはスライムと白猫とミミズクでしょう? そんな小さな従魔とペットで狩れるはずがないわ」
どうしましょう。全く聞く耳をもってもらえません。
「いや、ですからあたしが狩ったんです。大体、こんなにぴったりな大きさの毛皮とお肉がセットで用意できるわけがないじゃないですか」
「もう。あくまでしらを切り通すなら仕方ないわ。ちょっとー」
お姉さんが奥に声を掛けるとスキンヘッドのちょっと厳ついおじさんが出てきました。
「おう、アンダ。どうした?」
「この子が盗品を自分が狩ったって言って持ってきたのよ。ちょっと奥で話を聞くからそこの証拠品を保管しておいてくれる?」
「あ? ああ」
「じゃあ、お嬢ちゃん。こっちで話を聞かせてもらうわ」
そうぴしゃりといったお姉さんはあたしの手を掴むとそのまま奥へと引っ張っていきます。
「シャーッ」
「ユキ、ダメ。あたしは何も悪いことをしていないんだから大丈夫です」
「お、おい、アンダ!」
後ろの方で厳ついおじさんの慌てたような声がしましたが、アンダと呼ばれたこの人は構わずにあたしを奥へと連行したのでした。
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「いい加減、自分が悪いことをしたのを認めなさい!」
かれこれ三十分くらいは同じ問答を繰り返しています。このアンダという人はあたしが盗んで売りに来たと決めつけていて、いくら説明しても全く話を聞いてもらえません。
「だから、言ってるじゃないですか。ちゃんと南門から昨日の昼過ぎに出て今日の朝に戻ってきたって。門番さんとも話をしましたし、記録が残っているはずです」
「そんな嘘を言うのはいけません。いい? 嘘に嘘を重ねるとどんどん辛くなるのよ? 嘘吐きは泥棒の始まり。12 歳ならまだ間に合うわ。きちんと罪を認めて、悪いことは悪いと認めて正せる大人にならないといけないのよ?」
「だから、嘘なんてついていません!」
「もう、どうしてわからないの!」
パチン、という乾いた音がしてあたしの左の頬にカーっとした痛みが走ります。
「痛い? 痛いわよね? でもあなたのためなのよ? 小さな女の子を叩いた私の手と心はもっと痛いのよ」
「シャーッ」
ユキが怒って飛びかかるとアンダの顔面に思い切り猫パンチを入れました。
「なっ! どういう事? 他人に攻撃をする従魔なんて! その猫は処分してもらいますからね。ちょっと待ってなさい!」
顔に引っかき傷をつけられたアンダはそうヒステリックな声をあげて立ち上がると扉の方へとずかずかと歩き出したのでした。
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また、執筆ペースの問題から今後の更新は毎週土日の 20:00 を予定しております。
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