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動乱の故郷
第六章第22話 ド・マドゥーラの夜(前編)
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「さて、今日のディナーはここですわ」
そう言ってシャルに連れてこられたのは、これまた私では絶対に入らないであろう超高級なレストラン「ド・マドゥーラ」だ。ちなみにマドゥーラというのはホワイトムーン王国南部の平原地帯のことで、王都からは南西に向かう街道を通りヴァントゥール山脈を越えると辿りつける。
「また、すごく立派なお店ですね」
「あら、わたくしは王都に来た時はよくここで食べていますわよ? フィーネも聖女候補なのですわよ? 少しは慣れるべきではなくて?」
「ううん、大統領やら皇帝やらと食べることはありますけど、あまり楽しいものではないですし。私は気の置けない人とワイワイ食べる方が好きですね」
「そう言うかと思ってちゃんと個室を予約してありますわ」
そう言うとシャルは胸を張ったので私はすかさずお礼を言う。
「そうでしたか。シャル、ありがとうございます」
「この程度の事、お見通しですわ」
「さすがシャルですね」
私がそう言うとまたまた顔を真っ赤にした。こんなに感情が表に出て貴族令嬢として腹芸をやっていけるのかと心配になるが、クリスさん曰くこうなるのはユーグさんと私の前だけなのだそうなので一応大丈夫なのだろう。
きっと、一度懐に入れると極端にデレるタイプなのだろう。
「いらっしゃいませ、聖女シャルロット様、聖女フィーネ様。お待ちしておりました」
イケメンのボーイさんが私たちを店の奥の個室へと案内してくれる。ずっと私たちの護衛として付いてくれていたクリスさんとユーグさんもここでは別室に別れた。それほどまでに安全なレストランという事らしい。
「こちら、食前酒のメニューでございますが、どちらに致しましょう?」
「そうですわね、わたくしはベルガモットを頂きますわ。フィーネはどうなさいますの?」
「ええと、私はお酒はまだ飲めないのですが……」
「それでしたら、酒精無しのスパークリングワインはいかがでしょう?」
「ええと、じゃあそれでお願いします」
そうは言ったものの、炭酸入りのぶどうジュースと何が違うのかはよく分からない。
「フィーネ、ぶどうジュースと何が違うのか、なんて思っていますの?」
「ぎく、どうしてわかったんですか?」
「顔に書いてありましたわ。それは出来上がったワインから魔法で酒精を抜いたものですのよ。味はワインに近いですわね」
「そ、そうなんですね」
「そうですわ。フィーネ、この酒精無しのワインができたのは貴女の功績ですのよ?」
「え? 私何かしましたっけ?」
「もう。ミイラ病の時に酒精が良いと言い出したのは貴女でしてよ? それで大量にお酒から酒精を分離したせいで、酒精の抜けたお酒が大量に出来上がりましたのよ。それでお酒にありつけなくなった酔っ払いからこの酒精無しのワインが広まったんですのよ?」
なるほど。私が工房に籠って酒精の分離をしている間にそんなことになっていたのか。
そんな話をしているうちに食前酒が運ばれてきた。
「わたくし達の再会を記念して」
「私たちの友情が永遠であることを願って」
私たちはグラスを手に持つ。
「「乾杯」」
そしてグラスを顔の高さに掲げると私たちは目線を合わせる。これがこの国での、いやこの大陸での正式な乾杯の方法だ。
私は酒精無しのスパークリングワインを口に含む。微炭酸ではあるもののしゅわしゅわとした炭酸が心地よい。ただ、ジュースのように甘くなくちょっぴり大人な味な気がした。
「初めての酒精無しスパークリングワインはどうかしら? 一部ではフィーネ式スパークリングワインなんて呼ぶ者もいますわよ?」
「んんっ!? ぐっ」
こ、こほん。危うくむせるところだった。
「ほ、本当ですか?」
「わたくしが嘘などつくはずありませんわ。大衆向けの店ではフィーネ式、と表記しているそうですわよ? わたくしが行く店ではそんなことはないですけれど」
な、なるほど。って、それそのうち全部フィーネ式で統一されるやつじゃないか!
勝手に名前を広めるのは恥ずかしいのでやめて欲しい。
「失礼します。こちら前菜でございます。こちらから生ハムとフレッシュレタス、トマトのカプレーゼ、キノコとクルミのブルスケッタでございます」
ワンプレートに三つの前菜が綺麗に並べて乗せられている。私の分だけ妙に量が少ないのは何故だろうか? まるでルーちゃんが取り分けてくれたかのようにぴったりな分量だ。
すごい! 高級レストランというのはこんなことまでできるのか!
私はまず生ハムとフレッシュレタスを口に運ぶ。
生ハムの独特の塩味と肉の味と香り、そこにフレッシュレタスの苦味が合わさりオリーブオイルをベースにしたドレッシングが少しだけ味を持ち上げてくれている。うん、素直に美味しい。
そして次にカプレーゼを口に運ぶ。まず香ってくるのはバジルの香りだ。葉をそのまま使っているのではなくソースにしていることでより食べやすくしてくれているのだろう。そしてフレッシュトマトを口の中で噛むとプシュッとみずみずしいトマトの汁が口の中に溢れ、そしてその独特の酸味と香りが広がり、それをモッツァレラチーズの独特の食感と癖のない味がしっかりとまとめ上げてくれている。
そして最後はキノコとクルミのブルスケッタだ。これは焼いたパンの上にマッシュルームと砕いたクルミが乗せられていて、粉チーズと何かの葉物野菜を砕いたものが振りかけられているように見える。
ブルスケッタを口に運ぶとまず気付いたのはバターとニンニクの香りだ。これはパンにしっかり染み込んでいるようだが、これは一体どうやったのだろうか? そしてマッシュルームのプリプリとした食感とクルミの固い食感が口の中を楽しませてくれる。そうして口の中で食材が踊っていると不意にパセリの香りがしてきた。どうやら乗せられていた葉物野菜は乾燥パセリの粉だったようだ。そうして味わっているうちにあっという間にブルスケッタは無くなってしまった。
正直、もう少し食べたいかもしれない味だった。
「うん、シャル、とっても美味しいです」
「そう? このくらいは当然ですわ」
そう言いつつもちょっと自慢気な様子だ。
「そうそう」
「ん? なんですの?」
「シャルって、ユーグさんと婚約していたんですよね?」
「なっ! ど、ど、ど、ど、どうしてフィーネがそれを知っているんですの?」
「ふふ。クリスさんが騎士仲間から聞いたって言っていましたよ」
そういうとシャルは顔を真っ赤にして俯きながら頷いた。
「というわけで、私からシャルにお祝いの贈り物です」
私はそう言うと収納からミヤコで買った友禅の反物が入った木箱を取り出す。
「ゴールデンサン巫国の首都ミヤコの特産品で、女王様御用達のお店で買ったミヤコ友禅というシルクの生地です。きっとシャルに似合うと思います」
シャルのゴージャスな雰囲気によく似合うであろう深紅の生地に高貴さ、美しさの象徴ともされる豪華な牡丹模様の生地だ。
「ま、まぁっ! まぁっ! ……ふ、ふん。仕方ありませんわね。貰って差し上げますわ」
シャルは顔を真っ赤にしながらも顔をにやけさせている。
喜んでいるくせに謎の上から目線でそんなことを言うシャルをかわいいと思って見ていると、不意にドアがノックされたのだった。
そう言ってシャルに連れてこられたのは、これまた私では絶対に入らないであろう超高級なレストラン「ド・マドゥーラ」だ。ちなみにマドゥーラというのはホワイトムーン王国南部の平原地帯のことで、王都からは南西に向かう街道を通りヴァントゥール山脈を越えると辿りつける。
「また、すごく立派なお店ですね」
「あら、わたくしは王都に来た時はよくここで食べていますわよ? フィーネも聖女候補なのですわよ? 少しは慣れるべきではなくて?」
「ううん、大統領やら皇帝やらと食べることはありますけど、あまり楽しいものではないですし。私は気の置けない人とワイワイ食べる方が好きですね」
「そう言うかと思ってちゃんと個室を予約してありますわ」
そう言うとシャルは胸を張ったので私はすかさずお礼を言う。
「そうでしたか。シャル、ありがとうございます」
「この程度の事、お見通しですわ」
「さすがシャルですね」
私がそう言うとまたまた顔を真っ赤にした。こんなに感情が表に出て貴族令嬢として腹芸をやっていけるのかと心配になるが、クリスさん曰くこうなるのはユーグさんと私の前だけなのだそうなので一応大丈夫なのだろう。
きっと、一度懐に入れると極端にデレるタイプなのだろう。
「いらっしゃいませ、聖女シャルロット様、聖女フィーネ様。お待ちしておりました」
イケメンのボーイさんが私たちを店の奥の個室へと案内してくれる。ずっと私たちの護衛として付いてくれていたクリスさんとユーグさんもここでは別室に別れた。それほどまでに安全なレストランという事らしい。
「こちら、食前酒のメニューでございますが、どちらに致しましょう?」
「そうですわね、わたくしはベルガモットを頂きますわ。フィーネはどうなさいますの?」
「ええと、私はお酒はまだ飲めないのですが……」
「それでしたら、酒精無しのスパークリングワインはいかがでしょう?」
「ええと、じゃあそれでお願いします」
そうは言ったものの、炭酸入りのぶどうジュースと何が違うのかはよく分からない。
「フィーネ、ぶどうジュースと何が違うのか、なんて思っていますの?」
「ぎく、どうしてわかったんですか?」
「顔に書いてありましたわ。それは出来上がったワインから魔法で酒精を抜いたものですのよ。味はワインに近いですわね」
「そ、そうなんですね」
「そうですわ。フィーネ、この酒精無しのワインができたのは貴女の功績ですのよ?」
「え? 私何かしましたっけ?」
「もう。ミイラ病の時に酒精が良いと言い出したのは貴女でしてよ? それで大量にお酒から酒精を分離したせいで、酒精の抜けたお酒が大量に出来上がりましたのよ。それでお酒にありつけなくなった酔っ払いからこの酒精無しのワインが広まったんですのよ?」
なるほど。私が工房に籠って酒精の分離をしている間にそんなことになっていたのか。
そんな話をしているうちに食前酒が運ばれてきた。
「わたくし達の再会を記念して」
「私たちの友情が永遠であることを願って」
私たちはグラスを手に持つ。
「「乾杯」」
そしてグラスを顔の高さに掲げると私たちは目線を合わせる。これがこの国での、いやこの大陸での正式な乾杯の方法だ。
私は酒精無しのスパークリングワインを口に含む。微炭酸ではあるもののしゅわしゅわとした炭酸が心地よい。ただ、ジュースのように甘くなくちょっぴり大人な味な気がした。
「初めての酒精無しスパークリングワインはどうかしら? 一部ではフィーネ式スパークリングワインなんて呼ぶ者もいますわよ?」
「んんっ!? ぐっ」
こ、こほん。危うくむせるところだった。
「ほ、本当ですか?」
「わたくしが嘘などつくはずありませんわ。大衆向けの店ではフィーネ式、と表記しているそうですわよ? わたくしが行く店ではそんなことはないですけれど」
な、なるほど。って、それそのうち全部フィーネ式で統一されるやつじゃないか!
勝手に名前を広めるのは恥ずかしいのでやめて欲しい。
「失礼します。こちら前菜でございます。こちらから生ハムとフレッシュレタス、トマトのカプレーゼ、キノコとクルミのブルスケッタでございます」
ワンプレートに三つの前菜が綺麗に並べて乗せられている。私の分だけ妙に量が少ないのは何故だろうか? まるでルーちゃんが取り分けてくれたかのようにぴったりな分量だ。
すごい! 高級レストランというのはこんなことまでできるのか!
私はまず生ハムとフレッシュレタスを口に運ぶ。
生ハムの独特の塩味と肉の味と香り、そこにフレッシュレタスの苦味が合わさりオリーブオイルをベースにしたドレッシングが少しだけ味を持ち上げてくれている。うん、素直に美味しい。
そして次にカプレーゼを口に運ぶ。まず香ってくるのはバジルの香りだ。葉をそのまま使っているのではなくソースにしていることでより食べやすくしてくれているのだろう。そしてフレッシュトマトを口の中で噛むとプシュッとみずみずしいトマトの汁が口の中に溢れ、そしてその独特の酸味と香りが広がり、それをモッツァレラチーズの独特の食感と癖のない味がしっかりとまとめ上げてくれている。
そして最後はキノコとクルミのブルスケッタだ。これは焼いたパンの上にマッシュルームと砕いたクルミが乗せられていて、粉チーズと何かの葉物野菜を砕いたものが振りかけられているように見える。
ブルスケッタを口に運ぶとまず気付いたのはバターとニンニクの香りだ。これはパンにしっかり染み込んでいるようだが、これは一体どうやったのだろうか? そしてマッシュルームのプリプリとした食感とクルミの固い食感が口の中を楽しませてくれる。そうして口の中で食材が踊っていると不意にパセリの香りがしてきた。どうやら乗せられていた葉物野菜は乾燥パセリの粉だったようだ。そうして味わっているうちにあっという間にブルスケッタは無くなってしまった。
正直、もう少し食べたいかもしれない味だった。
「うん、シャル、とっても美味しいです」
「そう? このくらいは当然ですわ」
そう言いつつもちょっと自慢気な様子だ。
「そうそう」
「ん? なんですの?」
「シャルって、ユーグさんと婚約していたんですよね?」
「なっ! ど、ど、ど、ど、どうしてフィーネがそれを知っているんですの?」
「ふふ。クリスさんが騎士仲間から聞いたって言っていましたよ」
そういうとシャルは顔を真っ赤にして俯きながら頷いた。
「というわけで、私からシャルにお祝いの贈り物です」
私はそう言うと収納からミヤコで買った友禅の反物が入った木箱を取り出す。
「ゴールデンサン巫国の首都ミヤコの特産品で、女王様御用達のお店で買ったミヤコ友禅というシルクの生地です。きっとシャルに似合うと思います」
シャルのゴージャスな雰囲気によく似合うであろう深紅の生地に高貴さ、美しさの象徴ともされる豪華な牡丹模様の生地だ。
「ま、まぁっ! まぁっ! ……ふ、ふん。仕方ありませんわね。貰って差し上げますわ」
シャルは顔を真っ赤にしながらも顔をにやけさせている。
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