176 / 625
巫女の治める国
第四章第43話 治療(後編)
しおりを挟む
2020/08/28 誤字を修正しました
================
「シズクさん! 必ず助けますからね!」
私は闇属性の魔力でどろどろした何かをかき分け、懸命にその中からシズクさんを探す。私には分かる。このどろどろはシズクさんじゃない。シズクさんを蝕む何かだ。
見つけた!
このどろどろの奥深くに少し歪な形の丸いものがある。きっとこれがシズクさんの魂だ。
いや、なにかがおかしいような?
そう、それは確かにシズクさんのはずなのに、そこにはシズクさんではない別の何かの存在を感じるのだ。だが、別の存在のはずなのにやはり一つの存在のようにも見える。
そうか。そういうことか。これが、融合したってことか。
「これを分離するのは……無理ですね。ならばせめて、このどろどろだけでも!」
私はシズクさんまで伸ばした闇属性の魔力をパイプ状にする。そしてその中に闇属性の魔力とぶつからないように浄化の力を持たせた聖属性の魔力を通していく。
もちろん、こんな面倒なことをしているのには理由がある。
おそらく浄化の力を持たせた私の聖属性の魔力がこのどろどろに触れた瞬間に浄化が始まるだろう。そうすると連鎖反応的にシズクさんの魂にもダメージを与え、下手をするとシズクさんごと浄化してしまうかもしれない。そう、あの時アンジェリカさんの魂に対して闇属性の魔力でオペした時と似たような状況のように私には見えるのだ。
う、しかし、キツイ。MP が……
「あなた、本当に器用ね。ほら、これいるんでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
アーデが横から MP 回復薬を飲ませてくれた。私はアーデにお礼を言って作業を再開する。
私は魂とどろどろが癒着している部分にそのパイプを伸ばすと、その癒着部分を自分の闇属性の魔力で覆いを作る。そしてその癒着部分を聖属性の魔力で慎重に、そして少しずつ剥がしていく。
そして剥がし終わった後にはその部分が再癒着しないように闇属性の魔力を使って覆いを被せてシズクさんの魂を守る。
「う、くっ」
シズクさんがうめき声をあげた。私は一度手を止めて様子をみる。
うん、大丈夫、失敗していない。
それに、癒着を剥がした時に私の聖属性の魔力がほんの少しだけシズクさんの魂の中に吸い込まれたのを感じる。
大丈夫、きっとできる!
極限の集中の中、私は額の汗を拭う。
しかし、一体どれだけの癒着を剥がせばよいのだろうか?
それに、私の魔力はもつのだろうか?
ダメだ。諦めない。絶対に!
私は折れそうな自分に鞭を入れ、先の見えないオペに挑むのだった。
****
・
・
・
あ、あれ? 一体何が?
拙者は……
そうだ、しっかりしろ!
拙者は、シズク・ミエシロだ。
そして、生贄に……
そこまで思い出したところで、拙者を飲み込もうとしてきた黒くてどろどろしたおぞましい何かが減っていることに気が付いた。まだおかしな声は聞こえるが、先ほどのような圧倒的な奔流ではない。これならば抵抗できる。
どうしたものかと辺りを見回すと、あの狐殿が拙者の目を見て何かを伝えようとして来ている。
『このどろどろを追い出すでござるか?』
狐殿は頷く。だがどうやって追い出せばよいのだろうか?
せめてキリナギ、いやフィーネ殿に頂いたあの刀さえあれば!
そう思った瞬間、拙者の手元にフィーネ殿から頂いたあの刀が現れた。それは優しく暖かな光を放っており、その光は拙者を勇気づけてくれる。
ああ、希望の光とはまさにこの事だ。
『いける! これならばいけるでござるよ! 狐殿!』
拙者はこの刀でどろどろを斬りつける。するとそれは淡い光に包まれ、そして瞬く間に霧散していく。
『はは、さすがはフィーネ殿の浄化でござるな』
すると拙者に呼応するかのように狐殿は青白い炎でどろどろを燃やしていく。
『狐殿、やるでござるな』
拙者は狐殿を見てニヤリとわらう。
そうして拙者は狐殿と共にこのどろどろをすべて追い出した。
あのおかしな声ももう聞こえてこない。
『やったでござるな!』
拙者は狐殿を振り返りそう声をかける。
すると、狐殿は小さく尻尾を二度振る。そしてそのまま闇の中へと溶けて消えてしまった。
『狐殿!?』
呼びかけるが狐殿は姿を現してくれない。
『狐殿! どこでござるか!?』
返事はない。独りぼっちになってしまった。
途端にこのまま闇の中に一人きりかと思うと突然恐怖が襲ってくる。
『やはり、最後は独り、でござるか……』
ご先祖様も同じような気持ちだったのだろうか?
そんな考えが頭をよぎった次の瞬間、突然眩い、しかしとても暖かい光が拙者をまるで優しく抱きしめるかのように包み込んだのだった。
****
「ちょっと、フィーネ。あなたもう限界なんじゃないの?」
「まだ、もうちょっと……」
正直、もう魔力も集中力も限界だ。でも、ここまできてシズクさんを諦めるわけにはいかない。ここで諦めたら絶対に後悔する。それなら最後まで、倒れるまでやるんだ!
私は気合と根性でオペを続けていると、不思議な現象が起こった。
残っていた癒着部分がひとりでに剥離し始めたのだ。
「こ、これは? 一体?」
しばらくその様子を見守っていると、残った癒着部分は私が何をするでもなく勝手に全て剥離していった。
「よし、これなら!」
私はシズクさんの魂を守るように闇属性と聖属性の魔力のヴェールで優しく包み込んだ。そして弱い浄化魔法を打ち込んで少しずつこのどろどろを浄化していく。
慎重に、慎重に。
大切なシズクさんの魂を傷つけないように。
・
・
・
どれほどの時間がたったのだろうか?
数分だったかもしれないし、数時間だったかもしれない。
私はついにシズクさんの魂に纏わりついていたどろどろを全て浄化しきった。
「ああ、終わったぁ。シズクさん……」
達成感とともに恐ろしいほどの疲労感が襲ってくる。
大手術を終えた後のお医者さんというのはこのような気分なのだろうか?
「……フィー、ネ……殿?」
私は呼びかけられた声にはっとして下を見る。
するとそこにはうっすらと目を開け、弱弱しく私を見つめるシズクさんの姿があった。
「っ! シズクさん! シズクさん! シズクさんっ!」
「……これ……は……夢……?」
「違います! シズクさん! 生きてます! 助かったんですよ! シズクさんっ! シズクさんっ! うえぇぇぇ」
私はシズクさんの左手を握り、そしてそのままシズクさんの胸に突っ伏すと号泣してしまった。
涙が止まらない。
「ふふ、良かったわね。フィーネ」
アーデの優しい声が聞こえる。
「フィーネ殿……泣かない……で……」
シズクさんはゆっくりと、そしてとてもとても優しく私の頭を撫でてくれたのだった。
================
「シズクさん! 必ず助けますからね!」
私は闇属性の魔力でどろどろした何かをかき分け、懸命にその中からシズクさんを探す。私には分かる。このどろどろはシズクさんじゃない。シズクさんを蝕む何かだ。
見つけた!
このどろどろの奥深くに少し歪な形の丸いものがある。きっとこれがシズクさんの魂だ。
いや、なにかがおかしいような?
そう、それは確かにシズクさんのはずなのに、そこにはシズクさんではない別の何かの存在を感じるのだ。だが、別の存在のはずなのにやはり一つの存在のようにも見える。
そうか。そういうことか。これが、融合したってことか。
「これを分離するのは……無理ですね。ならばせめて、このどろどろだけでも!」
私はシズクさんまで伸ばした闇属性の魔力をパイプ状にする。そしてその中に闇属性の魔力とぶつからないように浄化の力を持たせた聖属性の魔力を通していく。
もちろん、こんな面倒なことをしているのには理由がある。
おそらく浄化の力を持たせた私の聖属性の魔力がこのどろどろに触れた瞬間に浄化が始まるだろう。そうすると連鎖反応的にシズクさんの魂にもダメージを与え、下手をするとシズクさんごと浄化してしまうかもしれない。そう、あの時アンジェリカさんの魂に対して闇属性の魔力でオペした時と似たような状況のように私には見えるのだ。
う、しかし、キツイ。MP が……
「あなた、本当に器用ね。ほら、これいるんでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
アーデが横から MP 回復薬を飲ませてくれた。私はアーデにお礼を言って作業を再開する。
私は魂とどろどろが癒着している部分にそのパイプを伸ばすと、その癒着部分を自分の闇属性の魔力で覆いを作る。そしてその癒着部分を聖属性の魔力で慎重に、そして少しずつ剥がしていく。
そして剥がし終わった後にはその部分が再癒着しないように闇属性の魔力を使って覆いを被せてシズクさんの魂を守る。
「う、くっ」
シズクさんがうめき声をあげた。私は一度手を止めて様子をみる。
うん、大丈夫、失敗していない。
それに、癒着を剥がした時に私の聖属性の魔力がほんの少しだけシズクさんの魂の中に吸い込まれたのを感じる。
大丈夫、きっとできる!
極限の集中の中、私は額の汗を拭う。
しかし、一体どれだけの癒着を剥がせばよいのだろうか?
それに、私の魔力はもつのだろうか?
ダメだ。諦めない。絶対に!
私は折れそうな自分に鞭を入れ、先の見えないオペに挑むのだった。
****
・
・
・
あ、あれ? 一体何が?
拙者は……
そうだ、しっかりしろ!
拙者は、シズク・ミエシロだ。
そして、生贄に……
そこまで思い出したところで、拙者を飲み込もうとしてきた黒くてどろどろしたおぞましい何かが減っていることに気が付いた。まだおかしな声は聞こえるが、先ほどのような圧倒的な奔流ではない。これならば抵抗できる。
どうしたものかと辺りを見回すと、あの狐殿が拙者の目を見て何かを伝えようとして来ている。
『このどろどろを追い出すでござるか?』
狐殿は頷く。だがどうやって追い出せばよいのだろうか?
せめてキリナギ、いやフィーネ殿に頂いたあの刀さえあれば!
そう思った瞬間、拙者の手元にフィーネ殿から頂いたあの刀が現れた。それは優しく暖かな光を放っており、その光は拙者を勇気づけてくれる。
ああ、希望の光とはまさにこの事だ。
『いける! これならばいけるでござるよ! 狐殿!』
拙者はこの刀でどろどろを斬りつける。するとそれは淡い光に包まれ、そして瞬く間に霧散していく。
『はは、さすがはフィーネ殿の浄化でござるな』
すると拙者に呼応するかのように狐殿は青白い炎でどろどろを燃やしていく。
『狐殿、やるでござるな』
拙者は狐殿を見てニヤリとわらう。
そうして拙者は狐殿と共にこのどろどろをすべて追い出した。
あのおかしな声ももう聞こえてこない。
『やったでござるな!』
拙者は狐殿を振り返りそう声をかける。
すると、狐殿は小さく尻尾を二度振る。そしてそのまま闇の中へと溶けて消えてしまった。
『狐殿!?』
呼びかけるが狐殿は姿を現してくれない。
『狐殿! どこでござるか!?』
返事はない。独りぼっちになってしまった。
途端にこのまま闇の中に一人きりかと思うと突然恐怖が襲ってくる。
『やはり、最後は独り、でござるか……』
ご先祖様も同じような気持ちだったのだろうか?
そんな考えが頭をよぎった次の瞬間、突然眩い、しかしとても暖かい光が拙者をまるで優しく抱きしめるかのように包み込んだのだった。
****
「ちょっと、フィーネ。あなたもう限界なんじゃないの?」
「まだ、もうちょっと……」
正直、もう魔力も集中力も限界だ。でも、ここまできてシズクさんを諦めるわけにはいかない。ここで諦めたら絶対に後悔する。それなら最後まで、倒れるまでやるんだ!
私は気合と根性でオペを続けていると、不思議な現象が起こった。
残っていた癒着部分がひとりでに剥離し始めたのだ。
「こ、これは? 一体?」
しばらくその様子を見守っていると、残った癒着部分は私が何をするでもなく勝手に全て剥離していった。
「よし、これなら!」
私はシズクさんの魂を守るように闇属性と聖属性の魔力のヴェールで優しく包み込んだ。そして弱い浄化魔法を打ち込んで少しずつこのどろどろを浄化していく。
慎重に、慎重に。
大切なシズクさんの魂を傷つけないように。
・
・
・
どれほどの時間がたったのだろうか?
数分だったかもしれないし、数時間だったかもしれない。
私はついにシズクさんの魂に纏わりついていたどろどろを全て浄化しきった。
「ああ、終わったぁ。シズクさん……」
達成感とともに恐ろしいほどの疲労感が襲ってくる。
大手術を終えた後のお医者さんというのはこのような気分なのだろうか?
「……フィー、ネ……殿?」
私は呼びかけられた声にはっとして下を見る。
するとそこにはうっすらと目を開け、弱弱しく私を見つめるシズクさんの姿があった。
「っ! シズクさん! シズクさん! シズクさんっ!」
「……これ……は……夢……?」
「違います! シズクさん! 生きてます! 助かったんですよ! シズクさんっ! シズクさんっ! うえぇぇぇ」
私はシズクさんの左手を握り、そしてそのままシズクさんの胸に突っ伏すと号泣してしまった。
涙が止まらない。
「ふふ、良かったわね。フィーネ」
アーデの優しい声が聞こえる。
「フィーネ殿……泣かない……で……」
シズクさんはゆっくりと、そしてとてもとても優しく私の頭を撫でてくれたのだった。
0
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
余命2か月なので、好きに生きさせていただきます
青の雀
恋愛
公爵令嬢ジャクリーヌは、幼い時に母を亡くし、父の再婚相手とその連れ子の娘から、さんざんイジメられていた。婚約者だった第1王子様との仲も引き裂かれ、連れ子の娘が後釜に落ち着いたのだ。
ここの所、体調が悪く、学園の入学に際し、健康診断を受けに行くと、母と同じ病気だと言われ、しかも余命2か月!
驚いてショックのあまり、その場にぶっ倒れてしまったのだが、どういうわけか前世の記憶を取り戻してしまったのだ。
前世、社畜OLだった美咲は、会社の健康診断に引っかかり、そのまま緊急入院させられることになったのだが、その時に下された診断が余命2日というもの。
どうやって死んだのかわからないが、おそらく2日間も持たなかったのだろう。
あの時の無念を思い、今世こそは、好き放題、やりたい放題して2か月という命を全うしてやる!と心に決める。
前世は、余命2日と言われ、絶望してしまったが、何もやりたいこともできずに、その余裕すら与えられないまま死ぬ羽目になり、未練が残ったまま死んだから、また転生して、今度は2か月も余命があるのなら、今までできなかったことを思い切りしてから、この世を去れば、2度と弱いカラダとして生まれ変わることがないと思う。
アナザーライト公爵家は、元来、魔力量、マナ量ともに多い家柄で、開国以来、王家に仕え、公爵の地位まで上り詰めてきた家柄なのだ。でもジャクリーヌの母とは、一人娘しか生まれず、どうしても男の子が欲しかった父は、再婚してしまうが、再婚相手には、すでに男女の双子を持つ年上のナタリー夫人が選ばれた。
ジャクリーヌが12歳の時であった。ナタリー夫人の連れ子マイケルに魔法の手ほどきをするが、これがまったくの役立たずで、基礎魔法の素養もない。
こうなれば、ジャクリーヌに婿を取り、アナザーライト家を存続させなければ、ご先祖様に顔向けができない。
ジャクリーヌが学園に入った年、どういうわけか父アナザーライト公爵が急死してしまう。家督を継ぐには、直系の人間でなければ、継げない。兄のマイケルは、ジャクリーヌと結婚しようと画策するが、いままで、召使のごとくこき使われていたジャクリーヌがOKするはずもない。
余命2か月と知ってから、ジャクリーヌが家督を継ぎ、継母とその連れ子を追い出すことから始める。
好き勝手にふるまっているうちに、運命が変わっていく
Rは保険です
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる