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ルイザ編
23 夢の後押し
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クロードの申し出をテオが断ってから、一週間ほどが経過したある日。
ルイザは再び、テオの屋敷の前に立っていた。
後ろには三台の馬車を従えている。
先頭の馬車は彼女が乗ってきたものだが、あとの二台に座っているのは教会の人間たちだ。
教会の人間といっても聖女ではなく、司教や事務局長など、組織の中枢の者たちである。
「領主テオ・ティンズリーをここに呼びなさい」
物々しい雰囲気に怯えながら出てきた役人に、ルイザは厳しい口調で命令した。
舐められるようなことがあってはならない。
「しょ、少々お待ちを……」
慌てて屋敷のなかに駆け込んだ役人が、テオを引き連れて戻ってきた。
執務室でのんびりと書類でも読んでいたのだろう。
眩しそうに扉の外を見たテオは、そこに待ち構えているルイザと三台の馬車を目にして、唖然とした。
「ルイザ様……いったいどうなさったのですか?」
「あんたに通達があって来たの。
この書類を読んでもらえる?」
持ってきた通達書を手渡す。
黙ってそれに目を通していたテオの表情が、しだいに険しいものになってゆく。
最後まで読み終わったころには、もはや怒りさえ感じさせる顔をしていた。
「こ、これは横暴です。
いくら教会の言うことでも、許容できるものではありません」
「は? 許容?
アタシはただ通達しただけで、あんたの許しを得たいだなんてひと言もいってないのだけれど。
念のため訊くけど、どこが横暴なのかしら」
「いや、だって――」
本気だろうかという怪訝な顔でルイザを見てくる。
が、眉ひとつ動かさずに言葉を待っているのを見て、あきらめたように続きを口にした。
「ここには、こう書かれています。
『ひとつ、ガヴァルダの村に教会を設立する。
信仰のない村に神の光を行き渡らせるため、拠点となる施設が必要と判断した』
……これはわかります。
あの村には教会がなく、およそ信仰と呼べるものがありません。
ユーナが訪れても誰も有名な聖女だと気づかなかったほどです」
「ええ、わかるならいいじゃない。
意見が一致してとても嬉しいわ」
問題は次の項目です、とテオが言う。
「『ひとつ、ガヴァルダ教会の長として、村の有力者を招聘する。
布教には、現地における既存の関係性を有効活用することが効果的と判断した。
なお、この任には前領主クロード・ドゥ・ガヴァルダが最適である』
……これは、どういうことですか?」
「どうもこうも、あんたがいま読み上げたとおりよ。
司祭でもないクロードを、思い切って教会運営の柱として招くことにしたの。
田舎くさいあの村には、昔からの領主一族が先頭に立ってみせるのがいちばんわかりやすいわ。
どう? 名案だと思わない?」
ルイザは挑戦的な口調でテオに言った。
発案者が自分だということを言外に示すように。
「いや、その、理屈はわかります。
でもこんなこと、教会が言いますかね?
クロードはほとんど無信仰ですよ」
「アタシひとりの意見だと言いたいわけ?
そんな身勝手な行動じゃないことは、後ろの馬車にいる連中を見ればわかると思うけど」
言われたとおりにテオが視線を送ると、馬車に乗っている司教たちが黙ってうなずいた。
彼らも了承済みの通達なのだ。
トップの聖女で、しかも聖女の派遣システムを改革したルイザが言い出した案を、現在の教会が無下にすることはそうそうできない。
そのくらいの発言力を彼女は獲得していた。
教会の内部事情などテオは知らないかもしれないが、こうして司教たちを引き連れてきてみせれば、嫌でも理解できただろう。
たとえ領主であっても簡単に拒否できることではないのだ。
テオの額に汗が浮かぶ。
ここで教会の言いなりになるのは領主として情けないという思いもあるだろうが、なにより、彼はクロードを右腕として頼りにしている。
みすみす失うことは避けたいに違いない。
「……クロードは承諾したのですか?
彼からなにも聞いていないのですが」
「この通達をもって任命するの。
クロードが断るわけないじゃない。
ここに呼んで訊いてみればいいわ」
テオが部下に命じてクロードを呼びに行かせた。
ルイザにとっては、ここが正念場だ。
事前にクロードに伝えた場合、いかに気の弱い男とはいえ、テオへの義理から受け渋る可能性があった。
もちろんそれなりの勝算があってやっていることではあるのだが、万が一でも断られるのは防ぎたい。
そのための舞台を、今日ここに整えた。
しばらくして、クロードが息を切らして出てきた。
なにやらとんでもないことになっていると、呼びに行った役人から聞かされたらしい。
ルイザと目が合うと、彼はひるんだ顔をした。
嗜虐心をくすぐられるがぐっと我慢して微笑む。
「来たわねクロード。
あんたを村に帰らせてあげるわ。
ほら、テオから通達書をもらいなさい」
「村に帰る……?」
首を捻りながら通達書を受け取り、目を通す。
さっきのテオとは逆に、読み進めるにつれてクロードは泣きそうな顔になった。
「こ、これを、ルイザが?
ぼくのために?」
「アタシ個人じゃなくて教会の総意。
それに、べつにあんたのためじゃないんだからね?
あくまでも布教が目的。
そこはちゃんと理解しなさい」
「……はい」
感動しているのか、返事をする声が震えている。
彼のほうから断るということはなさそうだ、とルイザは心のなかでこぶしを握った。
テオへの義理はあるにしても、今のクロードにとっては、村へ帰る手段がなにより欲しかったのだろう。
先日ああやって断られたせいで、相当頭を悩ませていたに違いない。
となると、残る問題はひとつだ。
「クロード、きみは本当にそれでいいのか?
領主として村に戻りたかったのだろう?
教会の長は領主ではない。
夢が叶わなくなるぞ」
テオは引き止めるための最後の手段としてその言葉を発したのだろうが、それも含めてルイザの手のひらの上だ。
はっとした表情のクロードに、優しく教える。
「あんたの夢のことも、もちろん忘れてないわ。
知ってる?
ティンズリー領のなかでも、教会の力が強い地域はほとんど独立しているの。
実効支配とでもいうのかしら。
他国に対してはテオの領地なのだけど、実際は司教が統治していて、役人たちも教会の指示で動く。
それもそうよね。
だって、そこに暮らす人たちが、テオよりも教会のほうの言うことを聞くんだから。
これってもう、教会の長が領主ってことじゃない?
ガヴァルダの村にはまだ信仰はないけれど、あんたは元から慕われてるから勝手に実効支配されるはずよ。
あんたが望むなら、役職名を『領主』にしてあげてもいいくらい」
口から出まかせではない。
その証拠に、テオは反論してこなかった。
彼は理解しているのだ。
教会は敵に回すと厄介だが、手を組むことで、驚くほど簡単に統治を実現する手段となる。
経済圏を広げるために彼自身も利用してきたことだ。
ガヴァルダの村は教会なしで統治できている。
でも、そこに教会が一枚噛んだとしても、いまさら文句を言う筋合いではない。
反乱を起こして領地を奪うと言っているわけではないのだから、彼はこの通達を「わかりました」と受け取るほかないのだ。
「領主として、村に戻れる……」
噛み締めるように呟いたクロードを見て、テオはようやく観念したようだった。
せめてもの抵抗……いや、もしかしたら男どうしの友情なのかもしれない。
彼はまわりのみんなに聞こえる声で、宣言するようにクロードに告げた。
「クロードを、ガヴァルダ村の領主に任命する。
予定よりだいぶ早いが、領地をきみに返そう」
ルイザは再び、テオの屋敷の前に立っていた。
後ろには三台の馬車を従えている。
先頭の馬車は彼女が乗ってきたものだが、あとの二台に座っているのは教会の人間たちだ。
教会の人間といっても聖女ではなく、司教や事務局長など、組織の中枢の者たちである。
「領主テオ・ティンズリーをここに呼びなさい」
物々しい雰囲気に怯えながら出てきた役人に、ルイザは厳しい口調で命令した。
舐められるようなことがあってはならない。
「しょ、少々お待ちを……」
慌てて屋敷のなかに駆け込んだ役人が、テオを引き連れて戻ってきた。
執務室でのんびりと書類でも読んでいたのだろう。
眩しそうに扉の外を見たテオは、そこに待ち構えているルイザと三台の馬車を目にして、唖然とした。
「ルイザ様……いったいどうなさったのですか?」
「あんたに通達があって来たの。
この書類を読んでもらえる?」
持ってきた通達書を手渡す。
黙ってそれに目を通していたテオの表情が、しだいに険しいものになってゆく。
最後まで読み終わったころには、もはや怒りさえ感じさせる顔をしていた。
「こ、これは横暴です。
いくら教会の言うことでも、許容できるものではありません」
「は? 許容?
アタシはただ通達しただけで、あんたの許しを得たいだなんてひと言もいってないのだけれど。
念のため訊くけど、どこが横暴なのかしら」
「いや、だって――」
本気だろうかという怪訝な顔でルイザを見てくる。
が、眉ひとつ動かさずに言葉を待っているのを見て、あきらめたように続きを口にした。
「ここには、こう書かれています。
『ひとつ、ガヴァルダの村に教会を設立する。
信仰のない村に神の光を行き渡らせるため、拠点となる施設が必要と判断した』
……これはわかります。
あの村には教会がなく、およそ信仰と呼べるものがありません。
ユーナが訪れても誰も有名な聖女だと気づかなかったほどです」
「ええ、わかるならいいじゃない。
意見が一致してとても嬉しいわ」
問題は次の項目です、とテオが言う。
「『ひとつ、ガヴァルダ教会の長として、村の有力者を招聘する。
布教には、現地における既存の関係性を有効活用することが効果的と判断した。
なお、この任には前領主クロード・ドゥ・ガヴァルダが最適である』
……これは、どういうことですか?」
「どうもこうも、あんたがいま読み上げたとおりよ。
司祭でもないクロードを、思い切って教会運営の柱として招くことにしたの。
田舎くさいあの村には、昔からの領主一族が先頭に立ってみせるのがいちばんわかりやすいわ。
どう? 名案だと思わない?」
ルイザは挑戦的な口調でテオに言った。
発案者が自分だということを言外に示すように。
「いや、その、理屈はわかります。
でもこんなこと、教会が言いますかね?
クロードはほとんど無信仰ですよ」
「アタシひとりの意見だと言いたいわけ?
そんな身勝手な行動じゃないことは、後ろの馬車にいる連中を見ればわかると思うけど」
言われたとおりにテオが視線を送ると、馬車に乗っている司教たちが黙ってうなずいた。
彼らも了承済みの通達なのだ。
トップの聖女で、しかも聖女の派遣システムを改革したルイザが言い出した案を、現在の教会が無下にすることはそうそうできない。
そのくらいの発言力を彼女は獲得していた。
教会の内部事情などテオは知らないかもしれないが、こうして司教たちを引き連れてきてみせれば、嫌でも理解できただろう。
たとえ領主であっても簡単に拒否できることではないのだ。
テオの額に汗が浮かぶ。
ここで教会の言いなりになるのは領主として情けないという思いもあるだろうが、なにより、彼はクロードを右腕として頼りにしている。
みすみす失うことは避けたいに違いない。
「……クロードは承諾したのですか?
彼からなにも聞いていないのですが」
「この通達をもって任命するの。
クロードが断るわけないじゃない。
ここに呼んで訊いてみればいいわ」
テオが部下に命じてクロードを呼びに行かせた。
ルイザにとっては、ここが正念場だ。
事前にクロードに伝えた場合、いかに気の弱い男とはいえ、テオへの義理から受け渋る可能性があった。
もちろんそれなりの勝算があってやっていることではあるのだが、万が一でも断られるのは防ぎたい。
そのための舞台を、今日ここに整えた。
しばらくして、クロードが息を切らして出てきた。
なにやらとんでもないことになっていると、呼びに行った役人から聞かされたらしい。
ルイザと目が合うと、彼はひるんだ顔をした。
嗜虐心をくすぐられるがぐっと我慢して微笑む。
「来たわねクロード。
あんたを村に帰らせてあげるわ。
ほら、テオから通達書をもらいなさい」
「村に帰る……?」
首を捻りながら通達書を受け取り、目を通す。
さっきのテオとは逆に、読み進めるにつれてクロードは泣きそうな顔になった。
「こ、これを、ルイザが?
ぼくのために?」
「アタシ個人じゃなくて教会の総意。
それに、べつにあんたのためじゃないんだからね?
あくまでも布教が目的。
そこはちゃんと理解しなさい」
「……はい」
感動しているのか、返事をする声が震えている。
彼のほうから断るということはなさそうだ、とルイザは心のなかでこぶしを握った。
テオへの義理はあるにしても、今のクロードにとっては、村へ帰る手段がなにより欲しかったのだろう。
先日ああやって断られたせいで、相当頭を悩ませていたに違いない。
となると、残る問題はひとつだ。
「クロード、きみは本当にそれでいいのか?
領主として村に戻りたかったのだろう?
教会の長は領主ではない。
夢が叶わなくなるぞ」
テオは引き止めるための最後の手段としてその言葉を発したのだろうが、それも含めてルイザの手のひらの上だ。
はっとした表情のクロードに、優しく教える。
「あんたの夢のことも、もちろん忘れてないわ。
知ってる?
ティンズリー領のなかでも、教会の力が強い地域はほとんど独立しているの。
実効支配とでもいうのかしら。
他国に対してはテオの領地なのだけど、実際は司教が統治していて、役人たちも教会の指示で動く。
それもそうよね。
だって、そこに暮らす人たちが、テオよりも教会のほうの言うことを聞くんだから。
これってもう、教会の長が領主ってことじゃない?
ガヴァルダの村にはまだ信仰はないけれど、あんたは元から慕われてるから勝手に実効支配されるはずよ。
あんたが望むなら、役職名を『領主』にしてあげてもいいくらい」
口から出まかせではない。
その証拠に、テオは反論してこなかった。
彼は理解しているのだ。
教会は敵に回すと厄介だが、手を組むことで、驚くほど簡単に統治を実現する手段となる。
経済圏を広げるために彼自身も利用してきたことだ。
ガヴァルダの村は教会なしで統治できている。
でも、そこに教会が一枚噛んだとしても、いまさら文句を言う筋合いではない。
反乱を起こして領地を奪うと言っているわけではないのだから、彼はこの通達を「わかりました」と受け取るほかないのだ。
「領主として、村に戻れる……」
噛み締めるように呟いたクロードを見て、テオはようやく観念したようだった。
せめてもの抵抗……いや、もしかしたら男どうしの友情なのかもしれない。
彼はまわりのみんなに聞こえる声で、宣言するようにクロードに告げた。
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