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ROKI

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BLOOD WAY

8、茨の棘

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 当主の屋敷で三日三晩を過ごした。訪れた時に比べると、当主は憑き物が落ちたかのように晴れやかになっていて、マリシアに対して甲斐甲斐しく振る舞うようになっていた。一方、マリシアは隠してはいたが全身に大分傷を負っていた。解呪するどころか、父親の側に居れば居るほど呪いによって体を切り刻まれる回数が増えていく。悪化しているのは目に見えて分かった。唯一の希望であった父親の存在は呪いに対して逆効果であり、マリシアは完全に解呪の見当を失った。
 身体に痛みの走る頻度は格段に増えて、溢れた血液が床に滴るほどになってしまった。ケイウスは余談を許さぬ状況を感じ取り、当主にイザベラの呪いの話を打ち明ける。然し、当主にはイザベラと繋がる物もイザベラの遺した物も一切を取り上げられており、唯一あるものが薔薇園だけだった。呪いの手掛かりになるかと思えたイザベラの薔薇園も、マリシアが近付くと明らかに雰囲気を変え、棘を鋭くしては身を傷つけようとしてくる。マリシアはイザベラ自身に拒絶されているのだと改めて突き付けられただけだった。
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