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第一部

ep6. みんなのおもちゃ

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「ふーっ、あははっ、耳に息をかけただけでビクビクってなっちゃった。耳が性感帯なのかなー?」
「えー、今のは私太ももを撫でたからだよー。ほぉーら! ね、またビクビクってなった」
「違うよ……この子は足の指の合間が弱点なの……ほら、ほらほら、ほらッ!」

「ひぁあッ!? あぅ……ああッ!? やめっ、い”っ!? い”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!?」

 室内に、また絶叫が響く。
 居た堪れないと思う気持ちと同時に、心の奥にある刺激されてはいけない感情が疼きだす。

「あっはは、またイっちゃったんだ! どこが気持ちよくてイっちゃったんだろうね? ねぇどこ? どこ?」
「そんな……分から……な……」
「えー、イかせた人からアガリで抜けていくっていうゲームやってたのに…………じゃ、さっきのはノーカンね。またみんなで責めてあげよっ」
「え……? あっ、いやぁああッ!!? 触るのやめてぇええええッ!!」

 幾人もの女子生徒達の責めは、たった一人の彼女————みずきちゃんにだけ向けられる。
 腕を、足を、腰を、頭を、幾人もの女子生徒たちに体を押さえられ、そんな身動きもできない状態で徹底的に責められる。
 衣服はほとんど脱がされ、濡れ切ったショーツだけがかろうじて残っていた。

「これ、すっごく気持ちよくなれるんだよ。全身に塗ってあげるね」
「ふぁッ!? 冷たっ、なに……これ……ッ!? ぬるぬるして……あっ……ぃあっ……」
「指で責められるだけってのも飽きてきたでしょ? こいつで会長の乳首をツンツンっと」
「ひうっ……それ、だめぇ……っ! 押し付けちゃ……うああッ!?」
「ほらほら、下半身が無防備だよ? って、足押さえらてるから閉じることもできないんだっけ。じゃあ会長の女の子の部分に……これ、当ててあげる。たっくさん……気持ちよくなってね…………えいッ!」
「——ッ、ん”あ”あ”ッ!? だめ……それッ、強すぎ……ッ、くぅううんッ!!?」

 休む間もなく、彼女達は様々な方法でみずきちゃんを弄ぶ。
 全身をローションで塗りたくられ、乳首にはピンクローターを当てられ、無理やり開かされた股にバイブを押し込まれている。
 あんなの……耐えられるはずがない。

「あ”あ”ーーーーーーッ!!」

 また大きく体が跳ねる。
 その度に歓声が上がり、新しい方法で責められる。
 拷問、生き地獄、そんな言葉がふさわしく思えた。

「たすけ…………ゆか……ちゃ……」

 一瞬、彼女と目が合った。
 助けを求めるような弱々しい目。
 私は無意識に視線をそらしてしまう。

「よそ見……だめっ。お口の中、くちゅくちゅしてあげるね……」
「んむッ!? ンンーーーーーーッ!!?」

 視界の外側でまた絶叫が響く。
 歯を食いしばりながら、私は見えないフリを続けた。


 ***


 初めてみずきちゃんが生徒会長を目指しているのだと知ったとき、私の中には純粋に嬉しいという気持ちがあった。
 幼馴染の彼女が私の後を追う姿はまるで妹のようで、可愛らしさがあった。
 だがすぐに不安がよぎった。
 彼女はこの学校の生徒会のルールを知らない。
 生徒会長は生徒のお願いをなんでも聞かなければならない。
 私だって、生徒会長に選ばれるまでそんなルールがあるなんて知らなかった。
 みずきちゃんが生徒会長になったら……………その時はきっと、私と同じように……
 あの純粋無垢なみずきちゃんがめちゃくちゃにされる姿を想像するだけで、吐き気が込み上げ震えが止まらなかった。

 でも、彼女は決してクラスでも目立つ方の子じゃない。
 生徒会長を目指してくれること自体は嬉しいが、実際に選ばれることはないだろう。
 そう高をくくっていた。

 でもそこから、みずきちゃんの雰囲気が少しづつ変わり始める。
 髪型やメイクを気にするようになり、クラスや学校行事に積極的に参加するようになった。
 そして少しづつ、彼女はみんなの目を惹きつける存在へと変わっていった。
 みずきちゃんに惹きつけられたのは、私だって例外じゃない。
 彼女からの視線は常々感じていたけど、気づけば私の方が無意識に彼女の姿を追うようになっていた。
 そして可愛い妹分、とはまた違う複雑な気持ちを感じるようになっていった。


 ***


「ゆ~か!」
「なにぼおっとしてるの?」
「ん……ッ!?」

 意識の外側から掛けられる声に、なぜだか体が反応してしまう。
 両側から肩を掴まれ、自然と身動きのできないように押さえ込まれる。

「な、何……かな……?」
「いいの? こんなところで静観なんて」
「大好きなみずきちゃん、あんなんなっちゃってるよ~」
「んぅ……」

 エリーは視線を逸らそうとしていた私の顎を掴み、無理やりみずきちゃんを見るように顔を動かされる。
 小柄で決して運動能力があるわけでもない私では、抵抗することなどできない。

 快楽に打ちひしがれて、とろんと蕩けた表情をしているみずきちゃんとまた視線が会う。

「あ……だめ……見ない、で……」

 まぶたに涙を溜めながら、本当恥ずかしそうな顔でそう言った。

「そうそう、よそ見しちゃだめだよー」
「もっと私たちを見て、ね!」
「ひぐぅんッ!!?」

 みずきちゃんの体が急に跳ねる。
 この位置からは何をされたのかよく見えなかったが…………おそらく、後ろから、指を——

「——ッ!」

 私は無意識に足に力が入り、立ち上がろうとする。
 だけど少し腰が浮いたあたりで私の肩を持つ二人に押さえられ、また腰がイスに戻されてしまう。

「だ~めっ。ふふっ……」
「『みずきちゃんの一番最初はみずきに譲る』って約束だったけど、もうゆかの番は終わったでしょう? 私たちも約束を守ったんだから、ゆかも守ってよね」
「くっ……」

 出来るだけ、なんともないような表情を繕う。
 心の内を読まれるのは、なんか嫌だから。

 次期生徒会長は、就任初日に前期の生徒会役員達にめちゃくちゃにされる。
 誰が最初にやり出したのかは知らないが、生徒会にはいつしかそんな伝統ができたらしい。

 生徒会役員の中でもみづきちゃんのことは、話題になっていた。
 今年の生徒会長はかなり可愛い子くるぞ、と。
 就任したらどんな責め方をしてやろうかと語る彼女達の言葉を聞いているうちに、きっと強い独占欲が湧いてしまったんだ。
 みづきちゃんを他の人に渡したくない。
 だからみずきちゃんに怖い思いをさせたくない、と言ってもそんな言葉を彼女達が聞いてくれるはずもない。
 だから妥協案として、「一番最初にやらせて欲しい」なんて言ってしまったんだ。

「それにしても、こんな風にゆかの方からお願いしてくるなんて珍しいわよねぇ」
「そう……かなぁ……?」
「ねぇねぇ~、二人ってどんな関係? ゆかもあの子のことが好きなの~?」
「……」

 面倒臭くなって口をつぐむ。

「あっ、無口になっちゃった! そう言うのずるいわぁ~」
「つんつん、ふふっ、お人形さんモードのゆかちゃんかわいい~」

 両側から頬を突かれる。
 それでも私は出来るだけ無表情を貫いて、こちらの気持ちを見せないようにする。
 どこにも焦点を合わせずに、前だけを見る。
 本当に人形になったかのように、ただそこでじっとしていた。

「そっちが無口を貫くなら……こっちだって考えがあるわ。ね、エリー?」
「そだね~、ほらゆか、立つよ!」
「あ……っ、ちょっと……」

 今度は二人に肩を掴まれ、無理やり立たされる。
 そのままみずきちゃんの前まで連れていかれる。

「ほらみずきちゃ~ん。大好きなゆか先輩を連れてきたよ~」
「あっ……いやっ!? ダメっ……見ちゃ……いやぁッ!」
「……」

 必死で体を隠そうとするも、手足を押さえられて何もできない彼女を無言で見つめる。
 申し訳ないけど、この場で私はみずきちゃんの味方になることはできない。

「さ、ゆかの手で、みずきちゃんを堕としてあげましょう?」
「んっ、何を……っ!?」

 こころはクスクスと笑いながら私の手の甲を掴む。
 そして私の手を、みずきちゃんの方へと伸ばした。
 振りほどこうと力を入れるも、私より一回り大きいこころの力に敵うはずもなく、私の人差し指が、みずきちゃんの下腹部の辺りに触れる。

「ふぁ……あっ、あああああっ!?」

「すごいすごい、本当に可愛い声上げるよね~この子。なんかバイブ当ててる時よりもずっと感じちゃってるんじゃない?」
「ゆかの視線はどんな媚薬よりもこの子を発情させ、ゆかの指に触れられればどんな玩具よりも感じてしまう。きっとこの子にとってはそうなのよ」

 左右から語りかけてくる二人の声。
 だけど私はそんな二人の声が聞こえなくなるくらいに、乱れるみずきちゃんの姿に見入っていた。

「ひッ、いっ……だめ……ッ! ゆかちゃんのゆびぃ、だめぇええぇ…………あっ、あぁッ!? いあッ!? ~~~~~~~~ッ!?」

 大きく目を見開き、みずきちゃんが強く体を痙攣させる。

 びしゅ、びしゅ、びしゅぅ…………

 直後、濡れ切ったショーツ越しでも分かるほど、勢いよく潮が何度も何度も吹き上がった。

「う、そ……」

 自然とそんな声が出た。
 ただ少し、お腹の辺りを触れただけなのに。

 恥ずかしそうに何度も体をよがらせる彼女を見ていると、私も何だかお腹の奥の方が熱くなって、自分の心音が聞こえるくらいに心拍数が上がっていく。

「いや……いやぁ…………んっ……あ、あぅ……ッ!」

 いやいやと喚きながらも、快楽の余韻のせいかみずきちゃんの体が不規則にビクンビクンと跳ね上がる。
 その度にまた、ショーツや太ももの辺りが濡れ、床はもう水浸しになっている。

 彼女を自分の手で辱めてしまったという罪悪感と、心の奥底にある嗜虐心。
 二つの感情が強く疼くのを感じた。
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