弟、異世界転移する。

ツキコ

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2章

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「ハーイ、いらっしゃーい!魔王ちゃんどうしたのー?」

大木をノックすると現れる扉。
小窓のようなそこからちょこんと小さな妖精が出てきた。

「あのねぇ、ケイくんに効くようななにかないかなーって」

「ふんふん。ケイくんってその子?身体があっちっちだね!」

その羽でケイの周りをうろうろ飛び回りながら観察するフェイ。
触ろうとした手を引っ込めたのはケイの温度が高かったからか。

「えーとぉ…カゼ?っていうんだっけ?」

「ふんふん。でも違うと思うなー!」

うろうろぱたぱた。
皮膚に触れないように髪を触る。
髪で遊んでいるように見えるのは見間違いではないだろう。

「魔王ちゃん、この子の魔素食べたでしょ」

「うん。余計なものがあったからねぇ」

余計なもの。
魔王の残り香みたいなものだ。
それと不純物も。

魔王は魔素を食べて生きている。
魔素とはこの世界の空気に当たり前のように含まれているもののことだ。

「やっぱり!魔素の純度が一気にあがっちゃったからカラダに馴染んでないんだよー」

「そっかぁ…どうしよう…」

身体に馴染んでいないだけのものをどうしたらいいのか。
魔素…魔法を使い魔力を消費すれば多少は循環されるのだろう。
しかしケイは体力が落ちているため無理な行動は避けたい。

「カンタンだよー!魔素をぴゅーって外に出せばいいんだよ!」

「でもケイくんは寝てるからねぇ」

「魔王ちゃんならカンタンでしょ?ニンゲンって体液にも魔素があるもん」

「そっかぁ。えーと、血?」

「ダメダメ!ニンゲンは弱いんだから!アセとかーナミダとかーえとあとはなんだろーね?」

「うーん?なんだろうねぇ?」

どちらも人間に詳しくないという不毛な会話。
考えてもわからないので2人揃って首を傾げるしかできない。

「魔王ちゃんその子の魔素どうやって食べたの?かじかじしたの?」

「口からもらったんだよぉ」

「ふんふん。じゃあもう1回食べてあげればいいんじゃないのー?」

「んー…アイツに負けるのは嫌なんだけどなぁ…」

「魔王ちゃんなら弱くなっても大丈夫でしょ?ワタシ達はその子の魔素食べたら死んじゃうもん」

純度の高い魔素とは清らかな魔素のことである。
つまり魔王、魔物にとっては効果抜群の劇薬のようなものだ。

「あ、いいこと思いつーいたぁ。また来るからケイくんも食べられるようなもの集めておいてくれるぅ?」

「ハーイ!任せて!魔王ちゃんバイバーイ!」

ひらりひらりと宙を舞い、扉の中へ帰って行く。
それでは思いついたことを実行しようかとゆっくり帰路に着いた。
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