弟、異世界転移する。

ツキコ

文字の大きさ
上 下
16 / 107
1章

15

しおりを挟む
この世界には主に3つの人型種族がいる。

人間族。
2番目に数が多く、選民思考を持っている。
魔族を嫌う傾向がある。
7割が戦う術を持たない一般市民。
個の力は弱いが物を扱う技術に長けている。

獣人族。
最も数が多い。
奴隷だった歴史をもつ。
強い力を持ち、各種特有の力を持つ。
獣、獣人、人の姿がある。

亜人族。
絶対数が少ない。
複数の種族をまとめた総称。
総じて長寿。
主だった種族は魔族、妖精族、巨人族。


魔族。
闇の力を多く持ち、その身に黒を纏う。
上位種は魔法攻撃無効の固有スキルを持つ。
身体的特徴での判断は可能。
ただし獣人族と重なる点が多いため非常に困難。

妖精族。
魔力の扱いに長けたエルフ。
製造業に長けたドワーフ。
小さな森の妖精フェイ。etc…
魔法の扱いが最も優れている種族。

巨人族。
海の向こう側で独自の国家を築いている。
最低身長8m、子どもでも5mある。
防御力が非常に高いが魔力は乏しい。
小人族もいたが滅んだとされている。


人型でない種族も当然いる。
それらの多くは魔物と呼ばれ、討つべき存在とされている。
魔物は他を攻撃する特性があり世界の闇であると言われている。

「魔族は身体の一部が黒いっていう特徴があって…ケイは嫌な思いをするかもしれない」

それは髪かもしれないし瞳かもしれない、あるいは皮膚かもしれない。
けれど黒を纏うということは魔族だということなのだそうだ。
少なくともこの国ではそう言われているらしい。

「選民思考を持っているのは貴族だけだけど、魔族や魔物を毛嫌いしているのはある種の国民性なんだ」

「大丈夫ですよ!俺が守りますから!」

「ありがとうございます。でも…魔族を毛嫌いするのが国民性ならどうして皆さんは普通だったんですか?」

国民性だというわりには最初からそんなことを感じたことはなかった。
教会でもギルドでもそうだった。
国民性というには微妙なような気がする。

「僕達は仕事柄魔族と関わることもあってね、それで他の人達よりは偏見がないんだ」

「偏見がないって言ってもある人はあるので1人で行動したら駄目ですよ!」

「気をつけます。それにシモンさんが守ってくれるんですよね?」

「はい!任せてください!」

「はい、お願いしますね」

そう言えばシモンは嬉しそうに破顔した。
まさしく忠犬。
大型犬飼いたい。
なんて考えていたら無意識に手を伸ばしていた。

「………」

「ケイ、何してるの」

「?」

「………………、」

なぜか呆然としているシモンからケイを引き剥がすカイ。
カイの眉間にはずいぶん皺が寄っている。

「カイさん?」

「はあ…食堂に行くよ」

「え?でもシモンさんは…」

「あれ見て行けると思う?」

シモンは顔を両手で覆ってぶつぶつと呟いている。
触るとか壊したいとか聞こえるけどよくわからない。
急にどうしたんだろうか。

「無理でしょ。だからさっさと行くよ」

それから元通りになったシモンが遅れて合流したのは食事が終わる頃だった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

冤罪で投獄された異世界で、脱獄からスローライフを手に入れろ!

風早 るう
BL
ある日突然異世界へ転移した25歳の青年学人(マナト)は、無実の罪で投獄されてしまう。 物騒な囚人達に囲まれた監獄生活は、平和な日本でサラリーマンをしていたマナトにとって当然過酷だった。 異世界転移したとはいえ、何の魔力もなく、標準的な日本人男性の体格しかないマナトは、囚人達から揶揄われ、性的な嫌がらせまで受ける始末。 失意のどん底に落ちた時、新しい囚人がやって来る。 その飛び抜けて綺麗な顔をした青年、グレイを見た他の囚人達は色めき立ち、彼をモノにしようとちょっかいをかけにいくが、彼はとんでもなく強かった。 とある罪で投獄されたが、仲間思いで弱い者を守ろうとするグレイに助けられ、マナトは急速に彼に惹かれていく。 しかし監獄の外では魔王が復活してしまい、マナトに隠された神秘の力が必要に…。 脱獄から魔王討伐し、異世界でスローライフを目指すお話です。 *異世界もの初挑戦で、かなりのご都合展開です。 *性描写はライトです。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

【完結】聖人君子で有名な王子に脅されている件

綿貫 ぶろみ
BL
オメガが保護という名目で貴族のオモチャにされる事がいやだった主人公は、オメガである事を隠して生きていた。田舎で悠々自適な生活を送る主人公の元に王子が現れ、いきなり「番になれ」と要求してきて・・・ オメガバース作品となっております。R18にはならないゆるふわ作品です。7時18時更新です。 皆様の反応を見つつ続きを書けたらと思ってます。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

【完結】攻略は余所でやってくれ!

オレンジペコ
BL
※4/18『断罪劇は突然に』でこのシリーズを終わらせて頂こうと思います(´∀`*) 遊びに来てくださった皆様、本当に有難うございました♪ 俺の名前は有村 康太(ありむら こうた)。 あり得ないことに死んだら10年前に亡くなったはずの父さんの親友と再会? え?これでやっと転生できるって? どういうこと? 死神さん、100人集まってから転生させるって手抜きですか? え?まさかのものぐさ? まあチマチマやるより一気にやった方が確かにスカッとはするよね? でも10年だよ?サボりすぎじゃね? 父さんの親友は享年25才。 15で死んだ俺からしたら年上ではあるんだけど…好みドンピシャでした! 小1の時遊んでもらった記憶もあるんだけど、性格もいい人なんだよね。 お互い死んじゃったのは残念だけど、転生先が一緒ならいいな────なんて思ってたらきましたよ! 転生後、赤ちゃんからスタートしてすくすく成長したら彼は騎士団長の息子、俺は公爵家の息子として再会! やった~!今度も好みドンピシャ! え?俺が悪役令息? 妹と一緒に悪役として仕事しろ? そんなの知らねーよ! 俺は俺で騎士団長の息子攻略で忙しいんだよ! ヒロインさんよ。攻略は余所でやってくれ! これは美味しいお菓子を手に好きな人にアタックする、そんな俺の話。

【完結】異世界転生して美形になれたんだから全力で好きな事するけど

福の島
BL
もうバンドマンは嫌だ…顔だけで選ぶのやめよう…友達に諭されて戻れるうちに戻った寺内陸はその日のうちに車にひかれて死んだ。 生まれ変わったのは多分どこかの悪役令息 悪役になったのはちょっとガッカリだけど、金も権力もあって、その上、顔…髪…身長…せっかく美形に産まれたなら俺は全力で好きな事をしたい!!!! とりあえず目指すはクソ婚約者との婚約破棄!!そしてとっとと学園卒業して冒険者になる!!! 平民だけど色々強いクーデレ✖️メンタル強のこの世で1番の美人 強い主人公が友達とかと頑張るお話です 短編なのでパッパと進みます 勢いで書いてるので誤字脱字等ありましたら申し訳ないです…

音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)

柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか! そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。 完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>

処理中です...