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第三章 最強と名の付くモンスター

三十三本目 暗黒騎士

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「どれから試そう……」

迷う。かなり迷う。
よし、まずは召喚魔法からだな。


―――――――――――
 【召喚魔法】

Lv1.《従魔召喚》《従魔送帰》
―――――――――――
……従魔って多分テイム?したモンスターのことだよね。



―――――――――――
《従魔召喚》
使役・テイムしたモンスターを自分の周囲に召喚する
召喚したモンスターは《従魔送帰》で元の場所に送り返せる
消費MP:召喚するモンスターの種類によって変化する
【詠唱】詳細で表示
―――――――――――

―――――――――――
《従魔送帰》
使役・テイムしたモンスターを元居た場所、または固有の別空間に送り返す
消費MP:なし
【詠唱】なし
―――――――――――
これは……従魔がいないと使えないみたいだ。
テイムに関しても調べないとな。
別空間っていうのが気になるけど、従魔ができるまではおあずけだな。

次は……【錬成魔法】。


―――――――――――
【錬成魔法】

Lv1.《形状錬成》
―――――――――――

―――――――――――
《形状錬成》
物質の形状をイメージに沿って変化させる
消費MP:変化させた物質と変化量次第
【詠唱】なし
―――――――――――
まさしくイメージ次第って感じだな。
変化量は……どれだけ変化させたかってことだよね。
この《形状錬成》だと合成とか質を変えたりは出来ないのかな……?

試しに石でも……あったあった。

「えーっと……《形状錬成》!!」

イメージと共に魔法名を唱える。
手の持っていた拳大の石が真っ白な光を放つ。

光が治まった時、リューセイの手にあったのは石器時代にあるような石のナイフだった。


「なるほど……これだけでも結構便利だけど……この魔法は鍛えたら武器作りにも戦闘にも使えるかもな」

とりあえず魔法Lvを上げることにした。
この魔法はかなり便利なものだ。カイルには感謝しないとなぁ。


「さて……次は【死霊魔法】だな」

この魔法っていかにも悪役が使いそうなイメージがあるんだけど。
魔王がJOBに出たのってこれのせいだったりするのかな。


―――――――――――――
【死霊魔法】

Lv1.《死霊召喚》《生命吸奪》
―――――――――――――

―――――――――――――
《死霊召喚》
使役した状態のアンデッド系モンスターを召喚する
召喚されるモンスターは使用した魔力量で変化する
MP消費:術者次第
【詠唱】詳細で表示
―――――――――――――

―――――――――――――
《生命吸奪》
身体が触れた状態の相手のHPをほんの少しずつ奪う
この魔法でHPが0になった相手は使役した状態でアンデッド化する
ただし、一部のモンスターには効果がない
MP消費:継続消費 吸収する相手次第
【詠唱】なし
―――――――――――――
おお……中々面白そう。
《生命吸奪》ってHPを奪うのはついでって感じだな。
どちらかというと使役状態のアンデッドにする方がメインっぽい。
使い方としては……ギリギリまで相手のHPを減らしてから使う、ってとこかな。



さて……それじゃあ実際にやってみよう。
まずは《死霊召喚》。
片手を前に出して詠唱を開始する。

「〔死した者よ 我が願いに答えて姿を現し 我が欲望のために力をふるえ」

詠唱を開始した瞬間、僕の前に解読出来ない文字が何重にも重なった円形の陣が現れた。
紫色に輝く魔法陣だ。
最初は人の頭ほどの大きさだった魔法陣は詠唱が進むにつれ、どんどん大きくなる。
そして人が寝転がってもすっぽりと収まりそうな大きさになったところで拡大は止まった。

魔法陣が出る魔法は初めて見たな。

さて、とりあえず適当に1000ぐらい魔力を籠めてみたけど……どうなるかな。

「《死霊召喚》」

魔法名を唱え終わった瞬間、黒いもやが魔法陣の上に集まり、人をかたどった形状になり、次いでぼやけていた輪郭が明確に人型のソレへと変わった。


一言で表すなら、真っ黒な全身鎧だ。
肌が露出している部分はなく、中は空洞なのではと思わせる見た目だった。
まるで飾りの様に。
堂々とした仁王立ちの立ち姿は、どことなくカイルと同じ武人の雰囲気があった。

現れた黒い全身鎧を観察していると、視界に文字が表示された。


―――――――――

暗黒騎士ダークナイト Lv48

―――――――――
強っ!!?

Lvだけで言うならナーガより上だよ……?
種族が違うからナーガより強い、とは言えないけど。
というかコイツはアンデッド系なんだろうか。
そうは見えないんだけど……

「えーっと、会話は出来るのかな??」
「……」

質問に対する返事はない。
けれど、僕の頭の中に音ではない、意思が流れ込んできた。

その意思の内容を、僕は理解することが出来た。
意思が僕の中で言葉へと変わる。


『話すことは出来ませんが、主の言葉を理解することは出来ます』

暗黒騎士は片手を地面につけて僕の前で跪いた。
まるで王に謁見する騎士の様に。
かなり……様になってる。


言葉が聞こえたわけではないけど、表情の読み取れない暗黒騎士の意思が分かるとは……
これが【騎術の極意】の効果なのかな?

「僕もどうやら君の意思、というか言いたいことを理解することは出来るらしい。多分スキルのおかげで」

僕がそう言うと暗黒騎士から驚愕のような感情が流れ込んできた。
その次には歓喜の感情も。

『主よ、この命、如何様にでもお使いください』
「あー……堅苦しいのはいいよ?」
『そんな!!主と馴れ馴れしい口調で話すなど、私には出来ません……!!!』

「まぁ、うん、分かった……」

僕は一瞬で諦めた。
これは……どういっても曲げないタイプだ。

『私の役目は何でございましょうか』
「えっと……今はとりあえず試しに呼び出しただけなんだ」
『そうですか……』

暗黒騎士の頭の位置が跪いた状態から更に下がった。

落胆した感情が流れ込んでくる。
罪悪感が……

「あっ、そういえば君、名前は?」
『私には名前はございません』
「えっ……うーん、じゃあアークで」
『……はい?』
「アーク。君の名前だよ」

暗黒(あんこく)+ダークでアーク・・・安直だけど響きはいいと思う。

『アーク……主よ、感謝しますっ!!』

途端にアークが顔を上げた。
もしもアークの表情が見えるなら間違いなく満面の笑みだろうってくらい喜びの感情が流れ込んできた。


……なんか、忠誠心が異様に高くない??
妙に人間味が溢れてるし……
《死霊召喚》で召喚したモンスターはこれが普通なんだろうか。

あっ、そうだ。

「アーク……ちょっと戦ってみようか」
『……はい?』
「模擬戦だよ。アークの実力も見ておきたいし……鍛錬にもなるから」
『そっ、そんな……主に剣を向けるなど――』

まぁ、アークの様子を見てたらそう言うと思ったけど。

「――アーク、君は僕を傷つけられる、と?」
『――ッ!!?も、申し訳ございません!!無礼な真似を致しました・・・!!』
「気にしないで。僕を倒せるだけの力が君にあるなら、それはむしろ僕にとって嬉しいことだから。それじゃ――戦ってくれるよね?」
『はっ、はい!!』

(ちょっと意地悪しすぎちゃったかな・・・というか最初と印象が随分変わったような)

そう思いつつ、アークとの模擬戦を始めた。


結果から言うと、アークのステータスはかなり高かった。
力で押しあえばLvの高い僕の方が押し負けるくらい。
ただ、結果は僕の全勝だった。




そして、始めてから一時間が経った頃にようやくスキルを試し終わってないことに気づいた。

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