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第二章 ボス(プレイヤースキル的な)

二十本目 龍神の眷属、マルトロスへ

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『私の眷属にならないか?』

そんなことをナイアードが言ってきた。

...え?

「・・・どういうこと?」

首を傾げて尋ねる。

『ふむ。お主にも利点のある話だぞ?眷属となれば、私が加護を与えられるからな。そもそも、眷属と言っても、私に従わねばならないわけでもない。特にお主の行動に制限がかかるわけでもない』

えーっと...ちょっと思考が追いつかないや。

「・・・それって、ナイアードに利点がないんじゃないかい?」
『いいや、そうでもないぞ。眷属になるということは、同時に私の仲間である証になる。お主のような存在は珍しい。水龍族として、お主を仲間に加えておいて損はない。その代わり、"願い"は出来れば聞き入れてほしいがな』
「願い?」
『絶対ではないがな。出来ることなら、お主には水龍族、いや、龍族に協力してほしい』
「・・・僕が協力したくらいじゃ、大して意味はないんじゃない?」
『ふん』

そういうと、ナイアードに鼻で笑われた。
・・・腑に落ちない。

『お主のLvは低い。まだまだ伸びしろもある。にも拘らず、その実力だぞ?先を見据えるなら、お主を仲間として引き込むのは大きな意味を持つ』
「そうかな?そう言ってくれると嬉しいけど・・・加護って何?」

『私の加護を与えられたものは、水属性との相性がよくなる。さらに、水龍から襲われることはなくなるだろう』
「・・・襲われないの?」
『なぜそれで残念そうにするのか聞きたいところだな。・・・安心しろ、代わりと言っては何だが、他の龍族や竜、蛇族に目を付けられるようになるだろう。一部のものは襲ってきやすくなる』

へぇ・・・水龍以外には襲われやすくなるのか・・・
というか違う属性の龍とは仲悪いのかな?

「分かった。ナイアード、君の眷属になるよ。」
『・・・利害が普通と逆だったような気がするのだが・・・まぁよい。早速眷属にさせてもらおう』
「どうぞ」

ナイアードが僕の額に爪を当てる。
けれど、刺すようなものではなく、そっと触れさせる程度。
一瞬、僕とナイアードの体が光った。

《称号【水龍神の眷属】を手に入れました》

光が収まり、ナイアードが爪を離す。


『これでお主は私の眷属だ。加護も与えてある』
「特に変わった感じはしないね・・・」
『自覚できるようなものではないからな』

まぁ、効果に関してはあとでステータスで見ておこう。

「ところで、マルトロスに戻りたいんだけど。また乗せてもらっていいかな?」
『うむ。眷属を置き去りにはせんわ』

~~~~~~~~

マルトロスの石橋に戻ってきた。

『それではな。また会おう』
「うん、またね」

そう言ってナイアードは湖に潜っていった。
ナイアードの背中は乗り心地はいいものの、やっぱり景色はほとんど見えなかった。

さて、それじゃあマルトロスに行こ―――

「あ、あのっ!!」
「はい?」

突然話しかけて、というか叫んできたのは門番さんだった。

「あなたは一体、何者なんですか・・・!?」
「何者とは・・・?」

何かに驚いている様子だ。
首を傾げてそのまま質問で返す。

「だ、だって、水龍神様が突然姿を現すなんて・・・!」

うん?ナイアードのことだよね。
あ、そういえば聞いておきたいことがあったんだ。

「えーっと、ナイアードはなんでこの湖にいるの?」

街がある湖に龍神が棲むのは、多分普通のことじゃない。

「そんな気安く呼んではいけません!せめて様をつけてください!」
「本人から許可貰ってるから、別にいいと思うよ?」

うーん・・・マルトロスとの関係がよく分かんないな。
守護竜とかそんな感じ?
というか、門番さん固まっちゃったんだけど・・・

「あのー?大丈夫ですかー?」
「・・・・・・」

駄目だ、返事がない。
まぁ、ナイアードのことは街に入ってからでも聞けるよね。

「それじゃあ、僕は街に向かいますね。それでは」

一応呼びかけてみるものの、やっぱり反応すらしない。
そんなに様付けしないのが驚愕だったの・・・?

マルトロスに入った。
と言っても、石橋の前にくぐった門の時点で街の中だったんだけど。

マルトロスの街中を見渡した時、違和感があった。
少し考え、違和感の理由に気づく。
それは、鎧や剣、または魔法職の杖を持っている者がほとんどいないこと。

ショートが言ってた通り、プレイヤーがほとんど来てないからか・・・

BFOのプレイ人口は、人気のVRMMOだけあって多い。
けれど、そのほとんどがルミリエイスとエイフォルトにいるみたいだ。

でも、プレイヤー、冒険者がいないことは悪いことだとは思えなかった。
その街並や建物、そこに住む人々を見ていると、前の二つの街よりもむしろ活気があるように見えたから。

龍神の住む湖の中心にある街。強い人が多い場所も好きだけど・・・
これはこれで、いいかもしれない。
まぁ、強いって言えばナイアードを超えるような人がいるとは思えないけどね・・・
いや、案外探せばいるのかな?それはそれで会って戦ってみたいなぁ。


そんなことを考えながらマルトロスをしばらく進んでいると、突然のメッセージが。
差出人を調べてみると、ショートからだった。

――――――――
From:ショート
To:リューセイ

ニーズヘッグ討伐だけどな、週末のイベント終わってからってことになった!
よろしく!!

――――――――
どうやらニーズヘッグ討伐の予定が少しは決まったみたいだ。
イベントの後かぁ・・・
それなら、ちゃんと対策しておこうかな?
とりあえず、イベントに向けて魔法を鍛えておかないとなぁ・・・
あれ?そういえば・・・アイテムって最近買ってないなぁ。

うん?あれ?そういえば僕お金全然なかったような?
あー・・・ナーガの素材売ろうか。





素材買取をしてくれる店を見つけた。
ナーガの素材を出した。
店主が気絶しました。

・・・・・・あれ??





※素材買取は諦めた(店主が治らなかった)
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