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44.プレオープン!
しおりを挟む「ねえ、ねえ、マモルお兄さん」
「なんだ?」
「ミミ、あそこに座りたい!」
お湯の湛水と、排水機能の確認などを一通り終え、しばらくミミとホケーっとしていたのだが、そろそろ招待客の到着時間という頃合いに、ミミからお願いされた。
「あそこ?番台にか?」
「うん!」
「今日はみんなタダだから、べつにあそこに座っている必要は無いんだぞ?」
「いいの!ホンバンと同じにしないとでしょ?」
「う~ん・・まあ・・どうなんだろうな?」
「ねえ、いいでしょ?」
「しようがないなあ」
「わーい!」
「こんばんわー!」
「あ、お母さん!いらっしゃいませー!!」
「あら、ミミ!ここにいたの?!」
「おやおや、姿が見えないと思ったら」
「フォッフォッフォ。まるで店員さんみたいじゃの」
「えへへー」
一番乗りは、村長一家だった。
「すいません、女性用はそっちなので、まわって頂けますか?」
3人とも男湯の方に入ってきていたので、ミーナさんとハンナにお願いする。
「そうなんですね」
「あらあら」
「それから、脱衣所の壁に使い方とか書いた紙が貼ってありますので、確認してください!」
みんなに聞こえるように、大きめの声で言った。
「ミミは一緒に入らないの?」
ミーナさんが番台の上のミミに聞いている。
「ミミはバンダイさんだから、あとではいる!」
「あら、そう。じゃあお母さんちょっと待ってるわね」
「うん!」
「「おう、きたぞ!」」
「「「「どうもです!」」」」
つぎに来たのは、ダンクさんとドンクさんたち師弟組だった。
「ドンクじいちゃんたち、いらっしゃいませー!!」
「お、今日の番台はミミちゃんかい?」
「そうだよー!」
「そりゃあいい!ワハハハハ!!」
なんか面白いことあったか?
あの人たちに使い方の説明はいらないな・・。
「湯上りに、冷えたエールがありますので!」
「それはありがたい!だが、入りながらでもワシらは構わんぞ!」
「それは勘弁してください!」
「しょうがねえな!ワハハハハ!!」
だから、なにが可笑しいんだ?
「こんばんわ」
「あ、ドリンさん。今日は来ていただきまして、ありがとうございます!」
「いえいえ。うちの風呂より大きいと聞いて、それはもう楽しみにしてきましたので」
「ありがとうございます。では、そちらの男湯の方へどうぞ」
「はいはい。こっちですね」
「それと、脱衣所の壁に使い方とか書いた紙が貼ってありますので、確認してください」
「わかりました」
「いらっしゃいませー!!」
そのあとは、ぞろぞろとお金持ち連中の来店が続いた。
ちなみに、当面の間入浴時は水着と裸どちらでも可とした。
普段自宅で裸で入っている人は、もう慣れているかもしれないけど、初めての人たちとかはまだまだね・・。
つぎに来たのは、ザイル婆さん母娘だった。
「こんばんわ」
「どうも、いらっしゃいませ。この間見て頂いた通り、女湯はそちらになりますので」
「フン、わかっとる」
「ちょっと、お母さん!ありがとうございます」
「ザイルばあちゃんたち、いらっしゃいませー!!」
相変わらずのザイル婆さんと、困り顔のスージーさんだった。
最後に来店したのは、リンたち4人組だ。
「「「「こんばんわー!」」」」
「お、来たな。いらっしゃい!」
「ど、どうも」
リンがぺこりと頭を下げる。
「本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
ポールが礼儀正しく挨拶してくる。
はじめは何かと疑惑の目を向けていた彼も、10日目くらいからはようやく打ち解けた感じになっていた。
堅苦しいのは相変わらずだが・・。
「「早く入ろうぜ(よ)!」」
ネイサンとキースが、待ちきれないといった感じで言ってくる。
「分かっていると思うが、男湯がこっちなー!」
4人にそう声をかけると、なぜかリンだけが女湯の方へ行こうとする。
「だから男湯はこっちだぞー」
「なに言ってるんですか!リンは女です!!」
「え?」
どういうこと?
リンを見ると、顔を赤らめて頷く。
「え?おんな、の、子?なの?」
「「「当たり前でしょー(だろー)!」」」
「・・・スマン」
「いえ。だいじょうぶです」
どうやら、やらかしてもうた様です・・。
「おねえちゃんたち、いらっしゃいませー!!」
しかも、ミミさんは知ってたらしい・・・。
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