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27.エールと進捗状況

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「それは本当か?」

「ま、まあ」

「よし。トム、酒場に行って樽を買って来い!」

「いまは、仕事中ですし・・」

「バカ言え!飲みながらやるから、仕事もはかどるんじゃないか!」

俺が思わず口を滑らせてしまったばかりに、ドンクさんは弟子の一人を、酒場に走らせた。

「もう、しょうがないですね。買って来るまでの間も、手を休めないでくださいね」

「おお、任せとけ!」


「さあ坊主!早いとこやってくれ!」

弟子のトムさんが、酒樽を抱えて戻って来ると、ドンクさんにせっつかれた。

「本当に、仕事は続けられるんですよね?」

「当たり前だ、むしろスピードアップするぞ」

本当かなあ・・。

「じゃあ、いきますよ?」

「おう!」

「クーリング アナライズ」

酒樽ごと冷やしていく。

こういう時、アナライズは便利だな。

解析できるのが、水(液体中)の温度とかだからな。

「さあ、飲んでみてください」

俺は、カップにエールを注いで、ドンクさんに渡す。

「待ちかねたぞ!」

ゴク、ゴク、ゴク・・・。

「プハーー!」

「どうですか?」

「「「師匠!!!???」」」

俺とお弟子さん3人が、ドンクさんの顔を見つめる。

「うまい!!」

「「「「!!!!」」」」

「こりゃ堪らんワイ!もう一杯!」

「俺もください!」

「わたしも!」

「ぼくも!」

「わ、わかりました。慌てないでください、いま注ぎますから!」

4人から一斉に、カップを差し出され、どんどん迫って来るのを押しとどめて言った。


「「「「プハーー!たまらん!もう一杯!」」」」

「・・だから、仕事をしてくださいって!」

「もう一杯飲んだら、やるから!」

やれやれ・・。

「大丈夫かなぁ」


結局、一人10杯のエールを飲んで、ようやく作業を再開したのを見届けて、俺は改装工事の進捗状況を見て回った。

「結構進んでるな」

1階は、元からあった壁や建具関係がすっかり取り払われ、新しい仕切りを作る途中になっている。

肝心の、男湯と女湯の浴槽を設置する部屋は、既に区分けされていて、それぞれの浴槽待ちだ。

2階は、事務室とおやすみ処にする予定だけど、元からあった事務室以外は、壁を取り払っただけの状態だ。

事務室は、少し大きい様に思ったが、3つに仕切って、診療所をこっちに持ってくることにした。

今は、この事務室の区分けと内装作業が進められている。

先に診療所が出来れば、いちいち見にこなくても良くなるし、何かあった時にドンクさんと直ぐに話し合えるからだ。

「だんだん、形になっていくなあ」

俺は、異世界に来てまで、前の世界と同じ様な事をしていることに、なんとも言えない気持ちになっていた。

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