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鬼喰いの森 ~ 香妖の森
+ 中級魔導士: 美しさは絆
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※引き続き、中級魔導士(土)のダリアン視点です。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
なにせこの見た目だもん、女には嫉妬されるし、男には女代わりにされる。だから数年前まで、僕は単独行動するのが基本だった。
星祭りにも出掛けることはなかった。それが変化したのは、初級魔導士になってしばらくして。
『ダリアン、この『愛の精霊蜜』ってなんだ?』
仕事を終えて神殿から出払う直前。数少ない女性の竜騎士ということで、聖女の護衛を任されたシャイラが、困った顔で呼び留めてきた。屋台の照明のせいで、日が落ちても空は妙に明るい。
『……なにそれ。精力剤?』
『妹に頼まれたんだ。自分は今夜の宮廷舞踏会で聖女様に付きっきりだから、私の休憩時間中にひとっ走りしてくれって』
そう言って見せてきた魔紙には、商品名が少なくとも十個は並んでいた。妹との力関係が窺える。
『……これって殆どが、化粧品とか美容系だね。精霊大通りの屋台で、そういう雑貨が集まっている場所があったっけ。ほら、職人街近くで、離島とかの物産展みたいな区画。大手の『桃白鹿』も出店している筈だから、そこの店員に丸投げしてみたら?』
『すまん、私は霊山裏の出身でな。どこの何の話か全く判らん』
……いや、あんた。竜騎士なら、学生の時から王都で過ごしているだろーが。しかも『桃白鹿』は、男の僕でも知っている化粧品の老舗だぞ。大丈夫か。
あまりの無知っぷりに放っておけず、帰り道がてら案内することになった。よく職場で、聖女の八つ当たりから守ってもらっているしね。ほら、土の日生まれ同士だしね。
帝国の後追いが主力製品の『桃白鹿』では取り扱っていなかったが、『愛の精霊蜜』の正体は伝統的な『四季軟膏』の四つセット。
『なーんだ。星祭り用に名称変更しただけか。この日だけ、何でも『愛の』って付け足したがるよね――って、まさか?』
『――すまん。しきなんこうとは何なのだ?』
四季折々の薬草成分を混ぜ、四季折々の果実で香り付けした唇用の蜜蝋クリームだよ。昔から口紅の下地として定番だろ、と見上げたそこには、化粧っけのないシャイラの顔があった。
暗黄色のマントの女竜騎士は、僕より頭一つ以上は背が高くて、僕よりも肩幅がある。困惑しきった様子が鍛えた身体に似合わず、可愛いなって思った。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
そして今。王都にシャイラはもういない。あの聖女が難癖つけて護衛隊隊長職から外したからだ。
グウェンフォール様の捜索隊に駆り出されたせいで、今は東のシナトベ州入りしているけれど、それが終わったら極寒の北へ。屈辱的なほどに遠い遠い海の孤島へ飛ばされる。
『竜騎士の拠点を新設』って何だよ、ただの嫌がらせ人事じゃないか。それがまかり通る理不尽な職場。最近は、神殿長がたむろする聖女の部屋へ行くのが苦痛だ。
でもこのまま人任せにして、トゥレンス卿やネリウス兄さんが犠牲になるのは見たくない。夏前のオズワルドのように、パトロクロスが消されでもしたら、後悔するのはその恋人のネヴィンだけじゃない。
前は『中級魔導士になるまでは』って我慢してたよな? 次は『上級魔導士になるまでは』って、見て見ぬフリするのか?
――僕は気持ちを固め、普段着姿の青の竜騎士三人と向き合った。
「情報を出し合って、協力しあいましょう。黄金倶楽部を崩壊させるのなら、今が狙い時です。
陰の神殿長もとい結界長アルキビアデスは依然として意識不明の重体、司書次長グナエウスは奥方への長年の暴行容疑により魔導士協会から謹慎処分。ということで、実行部隊の二人が動けなくなっています。
そのせいで神殿長モスガモンは、連日仕事に追われています」
理由はそれだけではない。
来月のかぼちゃ祭りや冬の備蓄食糧を帝国から物々交換で輸入するため、秋に入ってから魔獣狩りが何度か結成され、竜騎士が遠征を繰り返していた。
今月半ばの直下型地震以降は、王都と周辺の結界魔法陣の確認、冬の魔獣襲来に備えた各街壁の修復で、魔導士までもが随所に派遣されるようになった。
「魔導学院の学院長グウェンフォール様のために、竜騎士と魔導士の合同捜索隊も結成するようになりました。
僕の上司である事務代理ルキヌスは、財務長のペルキンと、近郊の検問を現地指揮することになっていましたが、魔導士協会の会長が異を唱えたせいで、一旦は北のミズハメ州境まで足を延ばし、明後日にはロザルサーレまで戻ってくる予定です。来月もしばらくは、王都の外でしょう」
つまり、こちらから仕掛けるなら、神殿ががら空きになっている今がチャンスだ。
「聖霊に選ばれた聖女は、どれだけワガママでも絶対に手を出せない。でも祖父である神殿長の力をここで一気に削げば、神殿の改革は可能ということですわね」
コミーナが賛同してくれた。
「まず、グルムラ様をこの屋敷で匿いましょう。師団長閣下の一番の弱みとなる奥方は、神殿から隠れるべきです。ここの守りは盤石ですから、ふひひっ」
極度の人見知りで大の人嫌いで人間恐怖症のネヴィンも、覚悟を決めていた。
亡くなったご両親が二人とも上級魔導士だったから、各部屋の防御が鉄壁なんだよね。魔道具も完備されているし、魔法陣が壁に直接描かれていて、仕組みを分析するだけでも勉強になる。
「でしたら、フェディラ嬢も副神殿長にお腹の赤ん坊のことが知られそうになり次第、すぐここへ避難してください」
現当主であるネリウス兄さんも、弟の提案を後押しする。
遠慮しようとしたフェディラの手をアイラ姫が握った。妊婦を安心させてあげようとしているのかと思いきや、不敵な笑みを浮かべつつ。
「でしたら情報共有その2! ガーロイド様と王宮の筋肉組がペルキンの裏帳簿を追ってまーす。父とこっそり話しているのを聞いて、それからは私もケセールナックに口説かれたテイで神殿におしかけてまーす。
小さい頃からガーロイド様を追いかけて続けて培った経験を活かして、これからも神殿各所に出没予定ですので、宜しくお願いいたしまーす!」
……この娘、関わっちゃいけないタイプだ。日々の行動がナチュラルにストーカーじゃん。
「でしたら、わたくしも情報共有その3ですわ。先日、弟分の竜騎士が、神殿奥で耳飾りを片方だけ発見いたしました。夏に行方不明になった次期風の選帝公の娘、エルリース嬢が付けていた特注品です。
地震の夜、もう片方を探して黄金倶楽部の私室に忍び込んだら、怪しげな魔核の詰まった小箱も見つかったのですって。そこでお会いした国王陛下の『闇夜の烏』に、分析をお願いしておりますわ」
……あ、これ聞いたら完全にヤバイやつだ。アイラ姫に続いて、コミーナまでがとんでもない暴露をして、ここにいる全員が天を仰ぐ。
二人とも、僕が上司のスケジュールを漏らすのとはレベル違いのぶっこみ方をしてきた。強制的に魔導血判契約しないといけない状況じゃんコレ。
でもお互いを守るための黙秘の縛りって、すっごい面倒な魔法陣なんだよ。中級魔導士三人でなんとかなったっけ。
「えっと、えっと、私は! 情報は大して持っていないのですけれど、聖女の部屋に何か仕掛けたり、持ち出すことは可能です!」
フェディラは上級侍女として職権乱用すると宣言しているし。
「じゃあ俺たちも話すか。
先週の大嵐の夜、これを見つけました。竜医師をしている引退竜騎士に確かめてもらったところ、やはり竜の鱗だそうです。しかも染めていません」
パトロクロスが霊山に忍び込んだ面々に目線で確認してから、胸の裏ポケットに入れていた白い鱗を取り出す。
トゥレンス卿はネリウス兄さんから報告を受けていたみたいだけど、初耳だった女性陣は代わる代わる手に取って、感嘆の声を上げた。
「六枚もですって!? 伝説級の魔道具でしたら、希少な虹竜の装飾があっても不思議ではございませんけれど、この数は……宝物庫に保管してあったのかしら……?」
「あの! 鱗じゃないですけど、兄が希少な魔道具を自宅に持ち帰って自慢していたのを何度か目撃しました!
修繕師に預けるって言ってましたけど、ファルヴィウスは手癖が悪いんです。子供の頃に余所の屋敷で発覚して。学生時代も魔導学院から何かを失敬して、その頃は生きていた父が揉み消して」
コミーナが首を傾げると、フェディラが副神殿長に盗癖があることを教えてくれた。もしかして宝物庫の魔道具を、一時的に霊山へ隠したのだろうか。
ネリウス兄さんがトゥレンス卿の顔色を窺う。師団長はしばらく逡巡し、やがて首を縦に振った。許可を得た兄さんが、「これはまだ未発表だが」と前置きをして語りだす。
「先日の朝焼けの街の領主館捜索で、神殿の魔道具が数点見つかった。接待の席で帝国魔導士に寄贈していたらしいのだが、一部を領主が懐に入れていたらしい」
「それは! 神殿長派には――」
「領主は監獄島の独房に隔離しているし、発見したのは国王陛下の『闇夜の烏』だ」
やはり神殿を標的にして隠密部隊が動いているのか。だったら情報が洩れる可能性は低いな。
「黄金倶楽部の中で、地震前と最も変わりないのが副神殿長のファルヴィウスだ。
修理の口実で持ち出した魔道具の行方を一つ一つ検証して、奴の地盤を切り崩す。神殿宝物庫も内部と霊山側の外から調べなおす。
ガーロイドの調べている裏帳簿の件にも通じるかもしれん」
この密談の指揮官であるトゥレンス卿が宣言した。
「でしたらアイラ姫殿下、私にも変装魔道具を貸してくださるかしら? 職人街には私が行きましょう」
「グルムラ!」
「竜騎士の連れ合いを甘く見ないでくださいな。いいですか、あなた。冬の大雪でこの北国が閉ざされる前に容疑を固めますわよ!」
そこでポテスタスが、『愛の精霊するめ干し』を齧るのを中断し、おずおずと手を挙げた。
「あのぉ、もぐっ。僕の祖父にも訊ひてみま、ひょうか? 魔道具れしたら、多少は顔が利くと思う、ので……」
「――実は、ポテスタスの母方の祖父が魔道具師でして、鈴鳴り広場の魔道具店を経営しているんです。ほら、『火を噴く銭蛙』って変わった名前の」
女性陣やネリウス兄さん、トゥレンス卿が怪訝そうな顔をしているので、僕が説明を補足する。
「ふひひっ。兄さんてば、もっと早く教えてくれたら良かったのに。確かあの偏屈親方は、魔材ギルドのマスターとも古い友人だよ?」
ネヴィンがそう言うと、ネリウス兄さんもトゥレンス卿も大きく溜め息をついた。
「闇オークションで流している可能性が高かったから、帝国貴族出身の魔導士の動向ばかり探っていたんだ。職人側で流れている噂なりを教えてくれると助かる」
ネリウス兄さんが改まって頭を下げるものだから、ポテスタスがおたおたしていた。とりあえず僕が出来ることも提案しておくか。
「神殿の事務なら任せて。宝物庫の魔道具の正確なリストを転写できるように頑張るよ」
「ではわたくしは、王宮の魔導士側に探りを入れますわ。もしかしたら王宮の宝物庫も被害に遭っているかもしれませんもの」
コミーナも伝手を頼ってくれるらしい。
「王宮なら私も同行するわ。王族の権限で入れるところもありますし!
……それに、神殿長の弱みを握れば、ガーロイド様だっていい加減、私をお嫁さんとして認めてくださるはずよ、うん」
アイラ姫は、最後のほうの自分に言い聞かせるような呟きが物騒すぎる。
「いや、お二人とも、潜入捜査は竜騎士に任せていただかねば――」
僕のせっつくような視線に促されて、ネリウス兄さんが口を開きかけた途端、窓の外が明るく光った。
ポテスタスがすぐに窓を開ける。王宮から花火がいくつも上がる。カーテンが舞い上がる。――星祭りの夜風、『星の歌』だ。
トゥレンス卿が奥方の肩を抱き寄せ、壁際に立つパトロクロスとネリウスはこっそり手を握り合っていた。コミーナは窓に近付くテイで、さりげなくネリウス兄さんの隣に立ってチラ見して、ソファに座ったままのフェディラはお腹を撫でている。
喜び勇んで窓から身を乗り出したアイラ姫は、ガーロイド卿のことでも思っているのかな。複雑な変装魔道具を流れるように再稼働させているのが常習性を感じさせる。テーブルに戻るポテスタスは、食い気一択で相変わらず。
なぜか泣きたくなるくらいに平和な世界がこの部屋には詰まっていて。
それは淀んだ神殿とはあまりにも懸け離れた幸せな雰囲気で。
今月まで聖女の護衛隊隊長だったシャイラの、ちょうど三年前の言葉が蘇る。
『ダリアンの言いたいことは解るよ。でも私は、聖女個人じゃなく、この国を守っているんだ。神殿じゃなく、精霊が愛するこの国をね、命を懸けて――』
じゃあさ、僕が君ごと国を守れるような魔導士になってみせるよ。
なんてね。かつて、星祭りで紡げなかった幻の台詞。
胸を張って言えてたら、僕は君の横に今、立てていたんだろうか……。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
※地球の年齢に換算してみようシリーズです。
『黄金倶楽部』:
・陰の神殿長(結界長)アルキビアデス → 80代前半
・神殿長モスガモン → 70代後半
・司書次長グナエウス → 60代前半
・副神殿長ファルヴィウスと財務長ペルキン → 50代半ば
・事務代理ルキヌス → 40ちょうど位
・火の聖女メルヴィーナ → 20代半ば
その他の神殿関係者:
・『闇夜の烏』ヘスティア様 → 40ちょうど位
・護衛隊隊長シャイラ → 30代後半
・オルラ上級侍女 → 30代前半
・風の竜騎士ディルムッドと水の竜騎士クウィーヴィン → 30ちょうど位
・火の竜騎士スレイン → 20代後半
に相当します。
(魔導士や竜騎士は、体内の魔素循環がしっかりしているので一般人よりも長生きし、なかなか引退しません。グウェンフォール様辺りの化け物級は、地球人なら100歳を軽く超えているので、名誉学長みたいな感じです。)
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
なにせこの見た目だもん、女には嫉妬されるし、男には女代わりにされる。だから数年前まで、僕は単独行動するのが基本だった。
星祭りにも出掛けることはなかった。それが変化したのは、初級魔導士になってしばらくして。
『ダリアン、この『愛の精霊蜜』ってなんだ?』
仕事を終えて神殿から出払う直前。数少ない女性の竜騎士ということで、聖女の護衛を任されたシャイラが、困った顔で呼び留めてきた。屋台の照明のせいで、日が落ちても空は妙に明るい。
『……なにそれ。精力剤?』
『妹に頼まれたんだ。自分は今夜の宮廷舞踏会で聖女様に付きっきりだから、私の休憩時間中にひとっ走りしてくれって』
そう言って見せてきた魔紙には、商品名が少なくとも十個は並んでいた。妹との力関係が窺える。
『……これって殆どが、化粧品とか美容系だね。精霊大通りの屋台で、そういう雑貨が集まっている場所があったっけ。ほら、職人街近くで、離島とかの物産展みたいな区画。大手の『桃白鹿』も出店している筈だから、そこの店員に丸投げしてみたら?』
『すまん、私は霊山裏の出身でな。どこの何の話か全く判らん』
……いや、あんた。竜騎士なら、学生の時から王都で過ごしているだろーが。しかも『桃白鹿』は、男の僕でも知っている化粧品の老舗だぞ。大丈夫か。
あまりの無知っぷりに放っておけず、帰り道がてら案内することになった。よく職場で、聖女の八つ当たりから守ってもらっているしね。ほら、土の日生まれ同士だしね。
帝国の後追いが主力製品の『桃白鹿』では取り扱っていなかったが、『愛の精霊蜜』の正体は伝統的な『四季軟膏』の四つセット。
『なーんだ。星祭り用に名称変更しただけか。この日だけ、何でも『愛の』って付け足したがるよね――って、まさか?』
『――すまん。しきなんこうとは何なのだ?』
四季折々の薬草成分を混ぜ、四季折々の果実で香り付けした唇用の蜜蝋クリームだよ。昔から口紅の下地として定番だろ、と見上げたそこには、化粧っけのないシャイラの顔があった。
暗黄色のマントの女竜騎士は、僕より頭一つ以上は背が高くて、僕よりも肩幅がある。困惑しきった様子が鍛えた身体に似合わず、可愛いなって思った。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
そして今。王都にシャイラはもういない。あの聖女が難癖つけて護衛隊隊長職から外したからだ。
グウェンフォール様の捜索隊に駆り出されたせいで、今は東のシナトベ州入りしているけれど、それが終わったら極寒の北へ。屈辱的なほどに遠い遠い海の孤島へ飛ばされる。
『竜騎士の拠点を新設』って何だよ、ただの嫌がらせ人事じゃないか。それがまかり通る理不尽な職場。最近は、神殿長がたむろする聖女の部屋へ行くのが苦痛だ。
でもこのまま人任せにして、トゥレンス卿やネリウス兄さんが犠牲になるのは見たくない。夏前のオズワルドのように、パトロクロスが消されでもしたら、後悔するのはその恋人のネヴィンだけじゃない。
前は『中級魔導士になるまでは』って我慢してたよな? 次は『上級魔導士になるまでは』って、見て見ぬフリするのか?
――僕は気持ちを固め、普段着姿の青の竜騎士三人と向き合った。
「情報を出し合って、協力しあいましょう。黄金倶楽部を崩壊させるのなら、今が狙い時です。
陰の神殿長もとい結界長アルキビアデスは依然として意識不明の重体、司書次長グナエウスは奥方への長年の暴行容疑により魔導士協会から謹慎処分。ということで、実行部隊の二人が動けなくなっています。
そのせいで神殿長モスガモンは、連日仕事に追われています」
理由はそれだけではない。
来月のかぼちゃ祭りや冬の備蓄食糧を帝国から物々交換で輸入するため、秋に入ってから魔獣狩りが何度か結成され、竜騎士が遠征を繰り返していた。
今月半ばの直下型地震以降は、王都と周辺の結界魔法陣の確認、冬の魔獣襲来に備えた各街壁の修復で、魔導士までもが随所に派遣されるようになった。
「魔導学院の学院長グウェンフォール様のために、竜騎士と魔導士の合同捜索隊も結成するようになりました。
僕の上司である事務代理ルキヌスは、財務長のペルキンと、近郊の検問を現地指揮することになっていましたが、魔導士協会の会長が異を唱えたせいで、一旦は北のミズハメ州境まで足を延ばし、明後日にはロザルサーレまで戻ってくる予定です。来月もしばらくは、王都の外でしょう」
つまり、こちらから仕掛けるなら、神殿ががら空きになっている今がチャンスだ。
「聖霊に選ばれた聖女は、どれだけワガママでも絶対に手を出せない。でも祖父である神殿長の力をここで一気に削げば、神殿の改革は可能ということですわね」
コミーナが賛同してくれた。
「まず、グルムラ様をこの屋敷で匿いましょう。師団長閣下の一番の弱みとなる奥方は、神殿から隠れるべきです。ここの守りは盤石ですから、ふひひっ」
極度の人見知りで大の人嫌いで人間恐怖症のネヴィンも、覚悟を決めていた。
亡くなったご両親が二人とも上級魔導士だったから、各部屋の防御が鉄壁なんだよね。魔道具も完備されているし、魔法陣が壁に直接描かれていて、仕組みを分析するだけでも勉強になる。
「でしたら、フェディラ嬢も副神殿長にお腹の赤ん坊のことが知られそうになり次第、すぐここへ避難してください」
現当主であるネリウス兄さんも、弟の提案を後押しする。
遠慮しようとしたフェディラの手をアイラ姫が握った。妊婦を安心させてあげようとしているのかと思いきや、不敵な笑みを浮かべつつ。
「でしたら情報共有その2! ガーロイド様と王宮の筋肉組がペルキンの裏帳簿を追ってまーす。父とこっそり話しているのを聞いて、それからは私もケセールナックに口説かれたテイで神殿におしかけてまーす。
小さい頃からガーロイド様を追いかけて続けて培った経験を活かして、これからも神殿各所に出没予定ですので、宜しくお願いいたしまーす!」
……この娘、関わっちゃいけないタイプだ。日々の行動がナチュラルにストーカーじゃん。
「でしたら、わたくしも情報共有その3ですわ。先日、弟分の竜騎士が、神殿奥で耳飾りを片方だけ発見いたしました。夏に行方不明になった次期風の選帝公の娘、エルリース嬢が付けていた特注品です。
地震の夜、もう片方を探して黄金倶楽部の私室に忍び込んだら、怪しげな魔核の詰まった小箱も見つかったのですって。そこでお会いした国王陛下の『闇夜の烏』に、分析をお願いしておりますわ」
……あ、これ聞いたら完全にヤバイやつだ。アイラ姫に続いて、コミーナまでがとんでもない暴露をして、ここにいる全員が天を仰ぐ。
二人とも、僕が上司のスケジュールを漏らすのとはレベル違いのぶっこみ方をしてきた。強制的に魔導血判契約しないといけない状況じゃんコレ。
でもお互いを守るための黙秘の縛りって、すっごい面倒な魔法陣なんだよ。中級魔導士三人でなんとかなったっけ。
「えっと、えっと、私は! 情報は大して持っていないのですけれど、聖女の部屋に何か仕掛けたり、持ち出すことは可能です!」
フェディラは上級侍女として職権乱用すると宣言しているし。
「じゃあ俺たちも話すか。
先週の大嵐の夜、これを見つけました。竜医師をしている引退竜騎士に確かめてもらったところ、やはり竜の鱗だそうです。しかも染めていません」
パトロクロスが霊山に忍び込んだ面々に目線で確認してから、胸の裏ポケットに入れていた白い鱗を取り出す。
トゥレンス卿はネリウス兄さんから報告を受けていたみたいだけど、初耳だった女性陣は代わる代わる手に取って、感嘆の声を上げた。
「六枚もですって!? 伝説級の魔道具でしたら、希少な虹竜の装飾があっても不思議ではございませんけれど、この数は……宝物庫に保管してあったのかしら……?」
「あの! 鱗じゃないですけど、兄が希少な魔道具を自宅に持ち帰って自慢していたのを何度か目撃しました!
修繕師に預けるって言ってましたけど、ファルヴィウスは手癖が悪いんです。子供の頃に余所の屋敷で発覚して。学生時代も魔導学院から何かを失敬して、その頃は生きていた父が揉み消して」
コミーナが首を傾げると、フェディラが副神殿長に盗癖があることを教えてくれた。もしかして宝物庫の魔道具を、一時的に霊山へ隠したのだろうか。
ネリウス兄さんがトゥレンス卿の顔色を窺う。師団長はしばらく逡巡し、やがて首を縦に振った。許可を得た兄さんが、「これはまだ未発表だが」と前置きをして語りだす。
「先日の朝焼けの街の領主館捜索で、神殿の魔道具が数点見つかった。接待の席で帝国魔導士に寄贈していたらしいのだが、一部を領主が懐に入れていたらしい」
「それは! 神殿長派には――」
「領主は監獄島の独房に隔離しているし、発見したのは国王陛下の『闇夜の烏』だ」
やはり神殿を標的にして隠密部隊が動いているのか。だったら情報が洩れる可能性は低いな。
「黄金倶楽部の中で、地震前と最も変わりないのが副神殿長のファルヴィウスだ。
修理の口実で持ち出した魔道具の行方を一つ一つ検証して、奴の地盤を切り崩す。神殿宝物庫も内部と霊山側の外から調べなおす。
ガーロイドの調べている裏帳簿の件にも通じるかもしれん」
この密談の指揮官であるトゥレンス卿が宣言した。
「でしたらアイラ姫殿下、私にも変装魔道具を貸してくださるかしら? 職人街には私が行きましょう」
「グルムラ!」
「竜騎士の連れ合いを甘く見ないでくださいな。いいですか、あなた。冬の大雪でこの北国が閉ざされる前に容疑を固めますわよ!」
そこでポテスタスが、『愛の精霊するめ干し』を齧るのを中断し、おずおずと手を挙げた。
「あのぉ、もぐっ。僕の祖父にも訊ひてみま、ひょうか? 魔道具れしたら、多少は顔が利くと思う、ので……」
「――実は、ポテスタスの母方の祖父が魔道具師でして、鈴鳴り広場の魔道具店を経営しているんです。ほら、『火を噴く銭蛙』って変わった名前の」
女性陣やネリウス兄さん、トゥレンス卿が怪訝そうな顔をしているので、僕が説明を補足する。
「ふひひっ。兄さんてば、もっと早く教えてくれたら良かったのに。確かあの偏屈親方は、魔材ギルドのマスターとも古い友人だよ?」
ネヴィンがそう言うと、ネリウス兄さんもトゥレンス卿も大きく溜め息をついた。
「闇オークションで流している可能性が高かったから、帝国貴族出身の魔導士の動向ばかり探っていたんだ。職人側で流れている噂なりを教えてくれると助かる」
ネリウス兄さんが改まって頭を下げるものだから、ポテスタスがおたおたしていた。とりあえず僕が出来ることも提案しておくか。
「神殿の事務なら任せて。宝物庫の魔道具の正確なリストを転写できるように頑張るよ」
「ではわたくしは、王宮の魔導士側に探りを入れますわ。もしかしたら王宮の宝物庫も被害に遭っているかもしれませんもの」
コミーナも伝手を頼ってくれるらしい。
「王宮なら私も同行するわ。王族の権限で入れるところもありますし!
……それに、神殿長の弱みを握れば、ガーロイド様だっていい加減、私をお嫁さんとして認めてくださるはずよ、うん」
アイラ姫は、最後のほうの自分に言い聞かせるような呟きが物騒すぎる。
「いや、お二人とも、潜入捜査は竜騎士に任せていただかねば――」
僕のせっつくような視線に促されて、ネリウス兄さんが口を開きかけた途端、窓の外が明るく光った。
ポテスタスがすぐに窓を開ける。王宮から花火がいくつも上がる。カーテンが舞い上がる。――星祭りの夜風、『星の歌』だ。
トゥレンス卿が奥方の肩を抱き寄せ、壁際に立つパトロクロスとネリウスはこっそり手を握り合っていた。コミーナは窓に近付くテイで、さりげなくネリウス兄さんの隣に立ってチラ見して、ソファに座ったままのフェディラはお腹を撫でている。
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なぜか泣きたくなるくらいに平和な世界がこの部屋には詰まっていて。
それは淀んだ神殿とはあまりにも懸け離れた幸せな雰囲気で。
今月まで聖女の護衛隊隊長だったシャイラの、ちょうど三年前の言葉が蘇る。
『ダリアンの言いたいことは解るよ。でも私は、聖女個人じゃなく、この国を守っているんだ。神殿じゃなく、精霊が愛するこの国をね、命を懸けて――』
じゃあさ、僕が君ごと国を守れるような魔導士になってみせるよ。
なんてね。かつて、星祭りで紡げなかった幻の台詞。
胸を張って言えてたら、僕は君の横に今、立てていたんだろうか……。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
※地球の年齢に換算してみようシリーズです。
『黄金倶楽部』:
・陰の神殿長(結界長)アルキビアデス → 80代前半
・神殿長モスガモン → 70代後半
・司書次長グナエウス → 60代前半
・副神殿長ファルヴィウスと財務長ペルキン → 50代半ば
・事務代理ルキヌス → 40ちょうど位
・火の聖女メルヴィーナ → 20代半ば
その他の神殿関係者:
・『闇夜の烏』ヘスティア様 → 40ちょうど位
・護衛隊隊長シャイラ → 30代後半
・オルラ上級侍女 → 30代前半
・風の竜騎士ディルムッドと水の竜騎士クウィーヴィン → 30ちょうど位
・火の竜騎士スレイン → 20代後半
に相当します。
(魔導士や竜騎士は、体内の魔素循環がしっかりしているので一般人よりも長生きし、なかなか引退しません。グウェンフォール様辺りの化け物級は、地球人なら100歳を軽く超えているので、名誉学長みたいな感じです。)
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コミュ障気味で、中学校では友達なんか出来なくて。
胸が苦しくなるようなこともあったけれど、今度こそ友達を作りたい! って思ってた。
いよいよ明日は高校の入学式だ! と校則がゆるめの高校ということで、思いきって金髪にカラコンデビューを果たしたばかりだったのに。
――――気づけば異世界?
金髪&淡いピンクの瞳が、聖女の色だなんて知らないよ……。
自前じゃない髪の色に、カラコンゆえの瞳の色。
本当は聖女の色じゃないってバレたら、どうなるの?
勝手に聖女だからって持ち上げておいて、聖女のあたしを護ってくれる誰かはいないの?
どこにも誰にも甘えられない環境で、くじけてしまいそうだよ。
まだ、たった15才なんだから。
ここに来てから支えてくれようとしているのか、困らせようとしているのかわかりにくい男の子もいるけれど、ひとまず聖女としてやれることやりつつ、髪色とカラコンについては後で……(ごにょごにょ)。
――なんて思っていたら、頭頂部の髪が黒くなってきたのは、脱色後の髪が伸びたから…が理由じゃなくて、問題は別にあったなんて。
浄化の瞬間は、そう遠くはない。その時あたしは、どんな表情でどんな気持ちで浄化が出来るだろう。
召喚から浄化までの約3か月のこと。
見た目はニセモノな聖女と5人の(彼女に王子だと伝えられない)王子や王子じゃない彼らのお話です。
※残酷と思われるシーンには、タイトルに※をつけてあります
本編30話以降から、ジークムントルートとなります。
そこまでは、共通の話になりますことを、ご了承ください。
都市伝説と呼ばれて
松虫大
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アルテミラ王国の辺境カモフの地方都市サザン。
この街では十年程前からある人物の噂が囁かれていた。
曰く『領主様に隠し子がいるらしい』
曰く『領主様が密かに匿い、人知れず塩坑の奥で育てている子供がいるそうだ』
曰く『かつて暗殺された子供が、夜な夜な復習するため街を徘徊しているらしい』
曰く『路地裏や屋根裏から覗く目が、言うことを聞かない子供をさらっていく』
曰く『領主様の隠し子が、フォレスの姫様を救ったそうだ』等々・・・・
眉唾な噂が大半であったが、娯楽の少ない土地柄だけにその噂は尾鰭を付けて広く広まっていた。
しかし、その子供の姿を実際に見た者は誰もおらず、その存在を信じる者はほとんどいなかった。
いつしかその少年はこの街の都市伝説のひとつとなっていた。
ある年、サザンの春の市に現れた金髪の少年は、街の暴れん坊ユーリに目を付けられる。
この二人の出会いをきっかけに都市伝説と呼ばれた少年が、本当の伝説へと駆け上っていく異世界戦記。
小説家になろう、カクヨムでも公開してましたが、この度アルファポリスでも公開することにしました。
わたくし、お飾り聖女じゃありません!
友坂 悠
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「この私、レムレス・ド・アルメルセデスの名において、アナスターシア・スタンフォード侯爵令嬢との間に結ばれた婚約を破棄することをここに宣言する!」
その声は、よりにもよってこの年に一度の神事、国家の祭祀のうちでもこの国で最も重要とされる聖緑祭の会場で、諸外国からの特使、大勢の来賓客が見守る中、長官不在の聖女宮を預かるレムレス・ド・アルメルセデス王太子によって発せられた。
ここ、アルメルセデスは神に護られた剣と魔法の国。
その聖都アルメリアの中央に位置する聖女宮広場には、荘厳な祭壇と神楽舞台が設置され。
その祭壇の目の前に立つ王太子に向かって、わたくしは真意を正すように詰め寄った。
「理由を。せめて理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「君が下級貴族の令嬢に対していじめ、嫌がらせを行なっていたという悪行は、全て露見しているのだ!」
「何かのお間違いでは? わたくしには全く身に覚えがございませんが……」
いったい全体どういうことでしょう?
殿下の仰っていることが、わたくしにはまったく理解ができなくて。
♢♢♢
この世界を『剣と魔法のヴァルキュリア』のシナリオ通りに進行させようとしたカナリヤ。
そのせいで、わたくしが『悪役令嬢』として断罪されようとしていた、ですって?
それに、わたくしの事を『お飾り聖女』と呼んで蔑んだレムレス王太子。
いいです。百歩譲って婚約破棄されたことは許しましょう。
でもです。
お飾り聖女呼ばわりだけは、許せません!
絶対に許容できません!
聖女を解任されたわたくしは、殿下に一言文句を言って帰ろうと、幼馴染で初恋の人、第二王子のナリス様と共にレムレス様のお部屋に向かうのでした。
でも。
事態はもっと深刻で。
え? 禁忌の魔法陣?
世界を滅ぼすあの危険な魔法陣ですか!?
※アナスターシアはお飾り妻のシルフィーナの娘です。あちらで頂いた感想の中に、シルフィーナの秘密、魔法陣の話、そういたものを気にされていた方が居たのですが、あの話では書ききれなかった部分をこちらで書いたため、けっこうファンタジー寄りなお話になりました。
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婚約破棄された公爵令嬢のお嬢様がいい人すぎて悪女になれないようなので異世界から来た私が代わりにざまぁしていいですか?
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第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
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