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第6章 薔薇とドクダミを君へ

第2話  へだてる壁と開演

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  2組の男女が楽しみにしていた、観劇かんげきのその当日を迎えた。

学園から帰って急ぎ支度したくをして、4人は一緒の馬車に乗り込み劇場に足を運んだ。

ラファエルは、初めて大人っぽい服装をしている。
母アリシアが、ラファエルの為に急いで用意してくれた服だった。
黒に近い焦げ茶の服は、ラファエルの金髪の様な栗毛が際立つ。
背中の中ぐらいの髪を一つに結ぶ。
成長途中の男の子で、よく見ないと女性が男装したと勘違いするような魅力があった。
 
クロエたち女性陣も、学園とは違い華やかなドレスに身を包んでいる。

クロエは、自分の緑の瞳に合わせた深緑のドレスにした。
ロベール伯爵令息と並ぶと、知らない人は婚約者同士に見えるかしら?!
隣で腕を組む本物のカップルを見て、胸の内で思っていた。

 客層は若い人や着飾った人が多く、ラファエルたちはボックス席から下の席を探す客たちを眺めていた。

「見てごらん、この劇場は平民も入れているんだ。
まだ身分格差はあるが、娯楽ごらくではそんなに厳しく区切ってない。
まだまだ先だが、平等の世が訪れるかもね」

モルガンは、平民たちの席を指差して3人に説明をする。

「ロンシャンポー伯爵令息は、考えが進歩的しんぽてき柔軟じゅうなんな方なんですね。
私も賛成です。
皆は同じ人なんですよ。
だって姿かたちも、何一つ変わらないではないですか!」

ラファエルが、意見を言うと他の3人も同意したようにうなづいた。

たが4人は思う、そんな世は自分らの生きてる時にはならないだろうとー。

そんな話をしていたら、劇場の話し声がだんだん静かになっていく。
そして、開演を知らせるベルが鳴り響き周りが暗くなった。


  舞台の上は華やかな舞踏会ぶどうかいが開かれていた、2組の男女がいて楽しげに会話をしている。

「ルーチェ、悪いが少し知人たちに話があるんだ。
少しだけ、行ってきても良いだろうか?」

「ええ、かまわないわ。私はあちらで少し料理をまんでいるから、気にしないで行ってきてね!」

一組の男女が別れた。

「ルイス、友達が手を振って呼ばれているわ。
ちょっとだけ、側を離れるわ。すぐに戻るわね!」

この組も離れていった。

それは神の悪戯いたずらだったのかもしれない。

「まぁ、何が始まるのかしら?フフフッ」

クロエは、舞台を見ながらつぶやいて笑った。

その言葉は3人も心で思ったのと同じだったので、舞台を見ながら苦笑する。

どうやら1人きりになった男女は、偶然にも料理を食べていたが目があって軽く会話を始めていた。

食べた料理の感想を話で楽しげにしてると、連れの女性が男性に向かって行く。

「ルイス、ごめんなさいね。
あらっ、お知り合いの方?
御紹介して下さらない?」

「あっ、違うよ。
料理を食べて、少しだけ話をしてたんだ」

今度は男性が近づいて、女性に声をかけてきた。

「ルーチェ、すまない。
1人にしてしまい、友人たちか?御挨拶をー!」

「いいえ、料理を食べてちょっと会話をしただけよ。
初対面で、名前も知らないわ」

彼らはそこで別れたが、何故か舞踏会に出席する度に会うことになる。

神様がわざとしてるのか、段々だんだんと会話が増えていき仲が良くなってきた。

互いのパートナーと違うもの同士で、今はダンスを踊っている。

「ねぇ!貴方のパートナーと私のパートナーを見て、どうお思い?
どうして、私たちが出る舞踏会やパーティーに毎回のように出席するのかしら?」

あきらかに、不機嫌ふきげんに踊りながら不満げな態度をする。

「それは、こっちも同じだ。
私だって、迷惑してるよ。
見ろよ、あちらは笑いながら楽しげだ!」

怒りながらステップをむので、とても力強く周りには感じた。

「まぁ、失礼な方ね。
でも、目的は一緒みたいね。
お互いに予定を知らせて、出席するのをけましょうよ」

「ほぉ、いい考えだな。
今ならまだ何もないしな。
なら、名は男性名で送ってくれよ」

「いいわ、そうね。
ダニー・ダウトで送るわ。
私はね、彼とは長い付き合いなのよ。
両親同士も仲が良くって、分かるわね。
婚約が間近だったのよ!」

女性は男性に鋭くにらみ付けて、恨み言を話した。

ここに意見が一致した、男女の秘密のたくらみが合意した。
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