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第6章 薔薇とドクダミを君へ
第1話 たくらみは観劇で
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ロンシャンポー伯爵令息は、ラファエルの不器用な女性の扱いに苦笑した。
まるで昔の自分を見ているようで、私が避けられて振られた理由がわかる。
彼は婚約者ステラに、二人の仲が進展するように自分たちが頑張ってみようと持ちかけてみた。
彼女は婚約者の申し出が嬉しくて、二人をくっつける相談が楽しい。
まるで、悪巧みをしてるみたいでワクワクするのだ。
二人は、クロエたちを観劇に誘うことにした。
舞台を観た後に感想を話すことで、感じかたで相手を知ることも出来る。
きっと、話も弾みやすいと考えた。
二人は、いつの演目が良いかと真剣に話し合う。
「モルガン!オペラは悲劇ものが多いですわ。
でも、喜劇でもねぇ。
うーん、難しいですわね?!」
ステラは、近々行われる舞台の予告表を見ていた。
「やはり男女のすれ違いは、外せないな、
あれがないと盛り上がらない!
クロエ嬢はいいが、ロベール伯爵令息は現実主義者ぽいからな」
二人は、どれにするか悩みに悩んでいた。
ロンシャンポー伯爵家のメイドたちは二人の悩む姿を見て、まさか他人のために話し合ってるとは思いもよらなかった。
「物語は現実にはないから、ウットリしますのよ!
こんな綺麗な男女の恋愛なんて、まさに奇跡に近いもの。
そうね、せめて主人公が死なないのにしましょうよ!」
ステラは妥協する案を出してきた。
「確かに!主人公が亡くなると暗くなるしな。
おやっ、これはどうだ?
お互いに気持ちが向いているけど、他人に引き離されそうになる。
ドタバタ劇は、ピッタリではないか?!」
ステラも最初は軽く楽しく観れる劇で、慣らすのもいいと婚約者の意見に賛成した。
「ステラは、明日2人に予定を聞いてね。
父のコネで、たぶんボックス席がとれるよ。
泣いても恥ずかしくないな。アハハハ」
モルガンは女性たちがお芝居を観て、感情的になるのを考慮していた。
学園のお昼は、3人で食べる機会が増えてきている。
「ロベール伯爵令息、クロエ。
実はモルガンが観劇をしないかと誘ってきたの。
再来週の金曜日の18時開演で、終わったら食事でもしない?」
「観劇ですか?
私は初めてですよ。
我が家は、あまり行かないのでね。
楽しみです、お誘い有り難うございます」
ラファエルは関心があったので、顔には出さないがかなり嬉しかった。
「ステラ、有り難う!
私も、観劇は久しぶりですわ。
ましてや、ロベール伯爵令息と御一緒できるなんて!!」
クロエは溢れんばかりの笑顔で、ステラに御礼を言ってきた。
ラファエルは帰宅後に、母アリシアに観劇に誘われて承諾したのを伝えた。
「チケット代は、ノマイユ侯爵令嬢の分は貴方がお支払なさい。
男女間の交際はないけど、一応は礼儀としてね。
ボックス席なら、それなりの格好で行かなくてはならないわ。
ラファエルも、もう大人の世界に片足を突っ込む年になったのね」
感慨深げに、母は自分より背が高い息子を見上げた。
背もすっかり高くなって、子供の成長は早いのね。
アリシアは自分が年寄りになった気分になり、ため息を軽くついた。
3日後にチケットを持ってステラとクロエが、ラファエルの花壇にやって来る。
人目があるのでラファエルはクロエの入部を断っていたが、たまに学園で3人でお昼をするようになった。
相変わらず、ラファエルの花壇には美しい花たちが咲き誇っていた。
「ロベール伯爵令息、ご機嫌ようー!!」
クロエが、ハッキリした大声で声をかけてきた。
ラファエルは、夢中になると周りが見えなくなったり聞こえなくなるからだ。
ステラもクロエも最初の頃は誤解をしたが、ラファエルの母から聞いてから信じた。
彼の飛び抜けた集中力がそうさせていて、だから勉学が優秀なのもそのお陰なのかもしれない。
3人は近くのべンチに座り、各自チケットを受け取っていた。
「「霧が晴れた後に」ってタイトルなんだね。
なんか、暗い話っぽいね?」
ラファエルは、チケットを見ながら芝居の内容を想像した。
「新人が書いた脚本ですって、定番のお芝居はつまらなそうでしょう?
モルガンが遊び心で選んだの。
彼の家は劇場とかに支援してるから、チケット代は無料よ。
代わりに感想を聞きたいんですって!」
ステラが2人に話すと、ラファエルが払うと言ってきた。
「いけない、ダメだよ!
こういう事は、ちゃんとしないとね。
それにチケット代で、お芝居の出演者たちは食べていくんだろう。
ロンシャンポー伯爵令息に、私がそう言ってたと伝えて下さい」
彼の生真面目さに、ステラとクロエは誠実さを感じた。
「そうです。
また観劇に、誘われても行きづらくなるわ。
ステラは、金額をちゃんと教えてね?!」
彼女は、婚約者に今日あった会話をひとつ残らず話してみた。
「そうか、彼がそんな事を…。
わかったよ、ステラ!
この劇を彼は暗いって言ったんだね。
私も詳しくはお芝居の内容はわからないけど、どんなのか楽しみになってきたよ」
モルガンはチケットを見てから、婚約者に笑みを向けていた。
まるで昔の自分を見ているようで、私が避けられて振られた理由がわかる。
彼は婚約者ステラに、二人の仲が進展するように自分たちが頑張ってみようと持ちかけてみた。
彼女は婚約者の申し出が嬉しくて、二人をくっつける相談が楽しい。
まるで、悪巧みをしてるみたいでワクワクするのだ。
二人は、クロエたちを観劇に誘うことにした。
舞台を観た後に感想を話すことで、感じかたで相手を知ることも出来る。
きっと、話も弾みやすいと考えた。
二人は、いつの演目が良いかと真剣に話し合う。
「モルガン!オペラは悲劇ものが多いですわ。
でも、喜劇でもねぇ。
うーん、難しいですわね?!」
ステラは、近々行われる舞台の予告表を見ていた。
「やはり男女のすれ違いは、外せないな、
あれがないと盛り上がらない!
クロエ嬢はいいが、ロベール伯爵令息は現実主義者ぽいからな」
二人は、どれにするか悩みに悩んでいた。
ロンシャンポー伯爵家のメイドたちは二人の悩む姿を見て、まさか他人のために話し合ってるとは思いもよらなかった。
「物語は現実にはないから、ウットリしますのよ!
こんな綺麗な男女の恋愛なんて、まさに奇跡に近いもの。
そうね、せめて主人公が死なないのにしましょうよ!」
ステラは妥協する案を出してきた。
「確かに!主人公が亡くなると暗くなるしな。
おやっ、これはどうだ?
お互いに気持ちが向いているけど、他人に引き離されそうになる。
ドタバタ劇は、ピッタリではないか?!」
ステラも最初は軽く楽しく観れる劇で、慣らすのもいいと婚約者の意見に賛成した。
「ステラは、明日2人に予定を聞いてね。
父のコネで、たぶんボックス席がとれるよ。
泣いても恥ずかしくないな。アハハハ」
モルガンは女性たちがお芝居を観て、感情的になるのを考慮していた。
学園のお昼は、3人で食べる機会が増えてきている。
「ロベール伯爵令息、クロエ。
実はモルガンが観劇をしないかと誘ってきたの。
再来週の金曜日の18時開演で、終わったら食事でもしない?」
「観劇ですか?
私は初めてですよ。
我が家は、あまり行かないのでね。
楽しみです、お誘い有り難うございます」
ラファエルは関心があったので、顔には出さないがかなり嬉しかった。
「ステラ、有り難う!
私も、観劇は久しぶりですわ。
ましてや、ロベール伯爵令息と御一緒できるなんて!!」
クロエは溢れんばかりの笑顔で、ステラに御礼を言ってきた。
ラファエルは帰宅後に、母アリシアに観劇に誘われて承諾したのを伝えた。
「チケット代は、ノマイユ侯爵令嬢の分は貴方がお支払なさい。
男女間の交際はないけど、一応は礼儀としてね。
ボックス席なら、それなりの格好で行かなくてはならないわ。
ラファエルも、もう大人の世界に片足を突っ込む年になったのね」
感慨深げに、母は自分より背が高い息子を見上げた。
背もすっかり高くなって、子供の成長は早いのね。
アリシアは自分が年寄りになった気分になり、ため息を軽くついた。
3日後にチケットを持ってステラとクロエが、ラファエルの花壇にやって来る。
人目があるのでラファエルはクロエの入部を断っていたが、たまに学園で3人でお昼をするようになった。
相変わらず、ラファエルの花壇には美しい花たちが咲き誇っていた。
「ロベール伯爵令息、ご機嫌ようー!!」
クロエが、ハッキリした大声で声をかけてきた。
ラファエルは、夢中になると周りが見えなくなったり聞こえなくなるからだ。
ステラもクロエも最初の頃は誤解をしたが、ラファエルの母から聞いてから信じた。
彼の飛び抜けた集中力がそうさせていて、だから勉学が優秀なのもそのお陰なのかもしれない。
3人は近くのべンチに座り、各自チケットを受け取っていた。
「「霧が晴れた後に」ってタイトルなんだね。
なんか、暗い話っぽいね?」
ラファエルは、チケットを見ながら芝居の内容を想像した。
「新人が書いた脚本ですって、定番のお芝居はつまらなそうでしょう?
モルガンが遊び心で選んだの。
彼の家は劇場とかに支援してるから、チケット代は無料よ。
代わりに感想を聞きたいんですって!」
ステラが2人に話すと、ラファエルが払うと言ってきた。
「いけない、ダメだよ!
こういう事は、ちゃんとしないとね。
それにチケット代で、お芝居の出演者たちは食べていくんだろう。
ロンシャンポー伯爵令息に、私がそう言ってたと伝えて下さい」
彼の生真面目さに、ステラとクロエは誠実さを感じた。
「そうです。
また観劇に、誘われても行きづらくなるわ。
ステラは、金額をちゃんと教えてね?!」
彼女は、婚約者に今日あった会話をひとつ残らず話してみた。
「そうか、彼がそんな事を…。
わかったよ、ステラ!
この劇を彼は暗いって言ったんだね。
私も詳しくはお芝居の内容はわからないけど、どんなのか楽しみになってきたよ」
モルガンはチケットを見てから、婚約者に笑みを向けていた。
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