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第5章 気になる方は年下の男の子

第8話  親友と母の後押し

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  彼女は彼の言ってることは、偽りなく正しいと思っていた。
婚約者か…、そんな殿方は一人もいないわ。

兄と兄嫁はクロエにあせらずに探せと言ってくれている。
実家の侯爵の屋敷に、ずっと居てもいいと話してくれていた。

父はまだ第2王子の妃を、私にとあきめていないみたい。
どうも兄の王太子おうたいしは、問題を起こし廃嫡はいちゃくされそうだと噂が流れているわ。

そうしたら第2王子が、王太子になる可能性があるのだ。
ますます、私が妃に求められるではないの?!

やはり、最後は修道院しゅうどういん行き決定!
こんな時に絵本や物語なら素敵な方が、私を助けに来てくれるはずなのにね。

クロエはこの時、自分の身分をのろった。
上流貴族の娘なんて、ただのお飾り人形よ。
自由はないし、綺麗なドレスを着て大人しくしていなければならない。
 
思い切って、侯爵の屋敷を出ようかしら!?
自分一人で、生活して生きていける?
悩んでもどっちつかず、どうして良いか彼女は分からなくなって混乱していた。

 クロエはステラに相談する事にし、ステラの伯爵家に先触さきぶれを出した。

ステラは、友人の彼女の話を全部聞いてから確信した。

「クロエ貴女は、ロベール伯爵令息が好きなんだわ。
どうして、彼に気持ちを伝えないの?!
年下だから、彼が貴女より身分が低いから?!
何よりも彼は、貴女をなんとも思ってないからですか?!」

クロエは、ステラの次々される質問に胸が痛んだ。

気持ちが良いほど、友人の言ってることは全て当たっている。
彼は私に、なんの感情もないのだから辛い言葉であった。

「クロエ、告白しなさい。
言わないで後悔こうかいするより、言って後悔しなさい!
貴女は、今まで自分の意思いしを一度でも通したことがおあり?
流されてばかりではないかしら?
私が貴女を見守るわ。
だから、自分に正直になりなさい!」

ステラはグチグチ考える彼女に、決断させなくてはならないと思う。
このまま悪戯いたずらに時をばしても、どっち付かずでキズが深くなる。

「ステラ、私はラファエル様が好きなの!
あの方は私にこびらない。
ハッキリと駄目だとさとしてくれる。
誰も言ってはくれない事を、貴女もそうよ。
ステラ、有り難う!!」

クロエはステラに感謝を言葉にして、泣きながら礼を述べる。
そんな彼女を見て友人も、自然と涙が流れてきた。
その場で、何故か二人は泣き笑いをしたのであった。

   クロエは家に屋敷に戻ると泣きはらした顔のままで、侯爵夫人の母に思いきって自分の気持ちを相談する。

母であるノマイユ侯爵夫人は、黙って娘の話を聞いていた。

娘がこんなにも第2王子を嫌い、今までえていたなんて思わなかった。
あの例の第2王子の恋人の令嬢よりも、自身の娘の方が相応ふさわしいと考えていたからだ。

「クロエ。
私は女性として、貴女に幸せになって欲しいのよ。
旦那様は私が説得します。
貴女は、そのロベール伯爵令息の心をつかみなさい!!」

侯爵夫人は、娘に力強く応援した。

「お母様、有り難うございます。
彼は、私を好きではない。
でも、私は好きなのです!
この気持ちには、いつりはございません。
やっと、私は自分の意思を通す機会にめぐり会えたのです!」

クロエは母に深く頭を下げて、もしラファエルの心を手にした時の助力を頼んだ。

娘は、優柔不断ゆうじゅうふだんで流されやすい性格であった。
まさか、こんなにも激しく強い心があるとは見抜けなかったわ。

私は母親失格ね。

ノマイユ侯爵夫人は、独り微笑ほほんで窓の外の夜空を眺める。
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