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第2章 不思議な花壇と捨てられた子猫

第5話  一人だけの園芸部

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  早速ラファエルは、園芸部があるかをクラスメートたちに伺ってみる。

「園芸部?
聞いたことは、無いなぁ。
昔はあったかも、知れないな」

「ラファエル君、先生に伺ったほうがハッキリするよ」

「はい、教えてくれて有り難うございます!」

ラファエルが微笑むと、クラスの皆もニッコリ。
年下の彼は、クラスメートのなごみ系の役割を果たしていた。

 放課後に職員室に行き担任の先生に、園芸部とあの例の花壇を聞くことにした。

もともとは高等部の生徒は、生徒間の交流を持つために部活を推進すいしんしていた。

ちなみに姉たちは、慈善活動部だ。
貴族の夫人たちは、身分の下の困っている人たち。

主に孤児院とか教会にほどしをするのを、貴婦人の鏡とされている。
ご令嬢たちも学園でその志を学べるので、人気の部になっている。

そこでは手作りのハンカチやテーブルクロスやショール等の小物を作り、教会のバザーに出して収益を寄付する。
慰問いもんで子供たちにお菓子を作った物をあげたり、字を教えたりもしている。

ラファエルは、まだ幼いので特別に部活は免除されていた。
高等部の男子学生と、同じようには出来ない。

文芸とかは出来るが、まず高等部の勉学を優先させることにしていたのだ。

「先生、少し質問があるのですが宜しいですか?」

ラファエルが担任に話しかけると、授業でわからないのかと勘違いをされた。

「先生、中庭に1つだけ荒れ果てた花壇があります。
学園で、昔は園芸部があったのですか?」

担任は知らなそうな表情を、ラファエルに見せた。
そんなやり取りをしていたら、隣に座る他の先生が話に入ってきた。

「昔はあったけど、皆だんだんと世話をしなくなってな。
学園の花壇は、人を外から雇って管理している。
その花壇は雑草の根が深くて、放置してるんだよ。
1つだけあれだと、目立つよね」

「前はあの花壇に、何が咲いていたんでしょうか?」

「さぁな、話は詳しくは知らないんだ」

教えてくれた先生が、学園に入って直ぐの話だそうだ。

「先生、私1人ですがあの花壇に花を植えてもいいですか?」

ラファエルは、花壇を整理する許可を求めた。

「あれは大変だよ。
さっきも話したけど根が深いし、長い年月も経っている。
1人なんだろ、苦労するぞ!」

担任はラファエルの体格を見て、心配してやめるようにさとしてきた。

「幼い頃によく庭師の手伝いをしていました。
気長にやりますので、許可を下さいませんか?」

先生の許可も、渋々だが貰えた。
姉たちの部活をただ本を読んで潰していたのを、花壇をよみがらす時間にあてる。

ジョン爺も頑張れと、空の上で見てるはずよ。
そうだわ、ジョン爺の好きだったお花を植えよう!

あーっ!ダメだ、全部どんな花も好きって言ってた~!
ラファエルは、とにかくドクダミと戦うことを決めた。

 ラファエルは現在の庭師に相談して、道具を手配をした。
汚れてもいい服やエプロンに、長靴と手袋もだ。


 学園行きの馬車でラファエルは、姉妹に今日から花壇の雑草除去の話をした。

「そう、今日から始めるのね。
貴方は、亡きジョンと庭仕事をよくしていたものね」

長女エミリーは、ジョンを思い出しながら話をした。

「姉上たち、もしかしたら帰りの馬車の中が臭かったらゴメンなさい。
ドクダミって変な臭いがしますし、私にも臭いが移るかもしれないから…」

ラファエルは、申し訳なさそうに謝りながら話す。

「まぁ、そうなの?!
そうまでして、なぜ荒れた花壇をキレイにしたいのかしらね。
でも、応援しますよ。
ラルは1度やると決めたら後に引かないもの。
ダンスも結局は、女性パートも踊れるようになったしね。
クスクス」

次女シモーヌは、懐かしそうに話して笑いだした。

「お兄様、ドクダミって何ですか?」

末っ子セドリックは、最近は何でも聞きたがり質問する。
子供は大体そんなもんだ。

ラファエルは弟に説明をした。

「う~ん。簡単に言うと白い花が咲くし、見た目も地味だけど。
何より臭いがイマイチなんだ。
薔薇の花を知っているでしょう?
あれはキレイで香りも良いよね。
可哀想だけど、ドクダミって名前通りに人にはあまり好かれないんだ」

セドリックは兄の話を聞いて、どんなのか見たくなってしまう。

「兄上、見てみたいです。
そのドクダミをー!!」

「えっ!見たいの?
はぁ~、わかったよ。
お花が咲くまで待っていてね。
少しだけ、屋敷に持って帰るから」

ラファエルは、弟の変わった願いを承諾しょうだくした。
セドリックが顔をしかめるのを想像して、一人笑うラファエルだった。

 
   
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