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第4章 光と闇が混ざる時
第24話 逃げるが勝ち
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公爵の屋敷で朝食を食べていたら、イーダが不機嫌な顔つきで直接当主オレフに渡しに近づく。
「あの、旦那様。
たった今、王宮より文が参りました。
届けた使いの者が返事を待つと申してます」
固く険しい表情で、イーダは当主に用件を伝えた。
オレフは食事の手を止め、手紙を読んで目を見開く。
「ワーハハハ、プリムローズ嬢!
我らの読みは当たりましたぞ」
公爵がイーダに渡すと、イーダからプリムローズに手紙が渡される。
「ですが、ヘイズ王の呼び出しですよね?
ヴェント侯爵ではないのが、気にかかります。。
娘サンドラと父の侯爵は、別行動だったのかしら?」
彼女は手紙を読み終えて感想を話すと、イーダに手紙を返した。
「オスモ様は、エドアルド・ヴェント侯爵を屋敷内で姿を見ましたか?
もしくは、奥さまのセレナは?」
「仮にも侯爵の方々を、呼びつけとは如何でしょうか?
クラレンス公爵令嬢」
オスモは震える声で、彼女に訴えた。
「オスモ様は甘いわ。
相手は敵なのよ!
貴方は拉致されて、あんな目になりながらもまだ戯れ言を言うの」
この屋敷の嫡男に向けて、激が飛ぶのだった。
「正しく、そうだ!
オスモ、この者たちは亡き王弟殿下の子であるエリアス様と勘違いをしてブライアン殿を誘拐したぞ。
これは、王家に背いた罪にあたる」
オスモは少しだけ青い顔をして、父の言葉を聞くと考えを改めたのである。
「旦那様、陛下にお会いすれば分かりますわ。
そうなると、まさか戦になるのでしょうか?」
公爵夫人ニーナは、顔を青ざめて夫に尋ねてくる。
「うむっ、ハーヴモーネ侯爵と相談する。
へーディン侯爵、チューダー侯爵もだな」
「チューダー侯爵はフレデリカ様の父上、北の将軍様ですよね。
南の将軍は、どのようなお人ですか?」
どうしても気になる、東西南北を守護する四大将軍で名があがらず教えてもらえない将軍であった。
「名は、マルクス・マーシャル伯爵だ。
南に住んでいるせいか、のんびりした性格です。
領地から出てこんのじゃ。
陛下への新年の挨拶のみ、やっと王都に出向く変わり者だ」
引きこもりの将軍様…。
この国ヘイズは、大丈夫かと他国の出身だが心配になる。
「父上!変わり者とは将軍に失礼ですよ。
何度か挨拶やお話させて頂きましたが、穏やかな良い方に思われました」
息子オスモは、父の発言に意見する。
なるほど南国気質のヘイズの中でも、南を守護する方だけある。
戦いを好まない平和主義者?!
彼女は、胸の内で伯爵の人柄を考えていた。
「旦那様、マーシャル伯爵はどちらにも味方しないと思いますわ。
奥様も話していて、ほのぼのしたお方です。
あえて、戦わないで傍観するのでは?!」
ニーナ様は誰にもつかず、無視し続けるのではと見解を話された。
「【逃げるが勝ち】ですわね。
私だったら、そう致しますわ。
……、無駄なことですもの」
プリムローズが断言すると、オスモ様もそうですねと相づちをしてくれた。
「儂も同じだ!
戦うとしたら、儂とヴェントになるだろう。
ハーヴモーネ侯爵は、他国の者だ。
見守ってほしい。
これは東と西の争いだ。
王家の屋台骨を崩す者は、公爵であり筆頭将軍の儂が黙ってられん!」
鼻息荒く話している隣で夫人ニーナが、心痛の思いで夫を見つめていた。
「話は変わりますが、私たちが助けに行っているときにミュルクヴィズの入口に無事到着したのですよね。
エリアスがヒンメルに、例の件をちゃんと指示しましたか?!」
彼女は独り、これから先の戦いの作戦を考えていた。
祖父に名指して参謀を命じられただけあり、責任感なのか戦略を練っていた。
「しっかりと言い聞かせていたぞ。
しかし、森の動物を使うとは変わった戦略ですな」
スクード公爵はあの戦の孫だけあり、凡人が持つ思考力ではないと感心した。
「鷹のピーちゃんは空を、雪豹のヒンメルは陸を制して貰います。
彼らは、敵を混乱させてくれますわ」
「動物では、兵士のような働きは無理でしょう?
いくら、プリムローズ嬢の飼った鳥としても怪しいです」
スクード公爵嫡男オスモが、彼女の作戦を危惧して尋ねただした。
「それは…やってみないと、こればかりは…」
珍しく言葉を濁すが、それでも作戦に自信があるのか主張する。
「ですが、相手に意表を突くことは出来るはず。
敵の大将は、部下に任せて森には入らないと考えてます。
公爵様なら、何処でそれを見物しますか?」
「森を抜けた場所に、相対的に2つの小高い丘がある。
そのどちらかであろう」
プリムローズは丘と聞いて、ある作戦が閃く。
「では、王の旗を立てましょう!
王に軍を動かす許しを得るのです。
前にニーナ様が、言われたのを実行しましょう!」
「私が言った…?
あっ、あの賊軍でございますか!?」
公爵夫人は驚いた口調で、聞き返してくる。
「はい!王命で、亡き王弟殿下の息子を拉致監禁した者を討つ。
王の旗を見せれば、兵士は動揺しますわ。
上手くいけば、戦わずに勝てます」
3人は、一番幼い女の子の知略に恐れたのだった。
「陛下にご相談申し上げよう!
早いほうがよい。
今から急ぎ、謁見を「」手配するぞ。
侍従長には筒抜けで、口惜しいが仕方ない」
公爵は、苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
陛下の謁見で、この先を話し合わなくてはならない。
勝手にはこれ以上は、進めない状況に陥っている。
部屋の中には、ピリピリした空気が辺りに充満していた。
「あの、旦那様。
たった今、王宮より文が参りました。
届けた使いの者が返事を待つと申してます」
固く険しい表情で、イーダは当主に用件を伝えた。
オレフは食事の手を止め、手紙を読んで目を見開く。
「ワーハハハ、プリムローズ嬢!
我らの読みは当たりましたぞ」
公爵がイーダに渡すと、イーダからプリムローズに手紙が渡される。
「ですが、ヘイズ王の呼び出しですよね?
ヴェント侯爵ではないのが、気にかかります。。
娘サンドラと父の侯爵は、別行動だったのかしら?」
彼女は手紙を読み終えて感想を話すと、イーダに手紙を返した。
「オスモ様は、エドアルド・ヴェント侯爵を屋敷内で姿を見ましたか?
もしくは、奥さまのセレナは?」
「仮にも侯爵の方々を、呼びつけとは如何でしょうか?
クラレンス公爵令嬢」
オスモは震える声で、彼女に訴えた。
「オスモ様は甘いわ。
相手は敵なのよ!
貴方は拉致されて、あんな目になりながらもまだ戯れ言を言うの」
この屋敷の嫡男に向けて、激が飛ぶのだった。
「正しく、そうだ!
オスモ、この者たちは亡き王弟殿下の子であるエリアス様と勘違いをしてブライアン殿を誘拐したぞ。
これは、王家に背いた罪にあたる」
オスモは少しだけ青い顔をして、父の言葉を聞くと考えを改めたのである。
「旦那様、陛下にお会いすれば分かりますわ。
そうなると、まさか戦になるのでしょうか?」
公爵夫人ニーナは、顔を青ざめて夫に尋ねてくる。
「うむっ、ハーヴモーネ侯爵と相談する。
へーディン侯爵、チューダー侯爵もだな」
「チューダー侯爵はフレデリカ様の父上、北の将軍様ですよね。
南の将軍は、どのようなお人ですか?」
どうしても気になる、東西南北を守護する四大将軍で名があがらず教えてもらえない将軍であった。
「名は、マルクス・マーシャル伯爵だ。
南に住んでいるせいか、のんびりした性格です。
領地から出てこんのじゃ。
陛下への新年の挨拶のみ、やっと王都に出向く変わり者だ」
引きこもりの将軍様…。
この国ヘイズは、大丈夫かと他国の出身だが心配になる。
「父上!変わり者とは将軍に失礼ですよ。
何度か挨拶やお話させて頂きましたが、穏やかな良い方に思われました」
息子オスモは、父の発言に意見する。
なるほど南国気質のヘイズの中でも、南を守護する方だけある。
戦いを好まない平和主義者?!
彼女は、胸の内で伯爵の人柄を考えていた。
「旦那様、マーシャル伯爵はどちらにも味方しないと思いますわ。
奥様も話していて、ほのぼのしたお方です。
あえて、戦わないで傍観するのでは?!」
ニーナ様は誰にもつかず、無視し続けるのではと見解を話された。
「【逃げるが勝ち】ですわね。
私だったら、そう致しますわ。
……、無駄なことですもの」
プリムローズが断言すると、オスモ様もそうですねと相づちをしてくれた。
「儂も同じだ!
戦うとしたら、儂とヴェントになるだろう。
ハーヴモーネ侯爵は、他国の者だ。
見守ってほしい。
これは東と西の争いだ。
王家の屋台骨を崩す者は、公爵であり筆頭将軍の儂が黙ってられん!」
鼻息荒く話している隣で夫人ニーナが、心痛の思いで夫を見つめていた。
「話は変わりますが、私たちが助けに行っているときにミュルクヴィズの入口に無事到着したのですよね。
エリアスがヒンメルに、例の件をちゃんと指示しましたか?!」
彼女は独り、これから先の戦いの作戦を考えていた。
祖父に名指して参謀を命じられただけあり、責任感なのか戦略を練っていた。
「しっかりと言い聞かせていたぞ。
しかし、森の動物を使うとは変わった戦略ですな」
スクード公爵はあの戦の孫だけあり、凡人が持つ思考力ではないと感心した。
「鷹のピーちゃんは空を、雪豹のヒンメルは陸を制して貰います。
彼らは、敵を混乱させてくれますわ」
「動物では、兵士のような働きは無理でしょう?
いくら、プリムローズ嬢の飼った鳥としても怪しいです」
スクード公爵嫡男オスモが、彼女の作戦を危惧して尋ねただした。
「それは…やってみないと、こればかりは…」
珍しく言葉を濁すが、それでも作戦に自信があるのか主張する。
「ですが、相手に意表を突くことは出来るはず。
敵の大将は、部下に任せて森には入らないと考えてます。
公爵様なら、何処でそれを見物しますか?」
「森を抜けた場所に、相対的に2つの小高い丘がある。
そのどちらかであろう」
プリムローズは丘と聞いて、ある作戦が閃く。
「では、王の旗を立てましょう!
王に軍を動かす許しを得るのです。
前にニーナ様が、言われたのを実行しましょう!」
「私が言った…?
あっ、あの賊軍でございますか!?」
公爵夫人は驚いた口調で、聞き返してくる。
「はい!王命で、亡き王弟殿下の息子を拉致監禁した者を討つ。
王の旗を見せれば、兵士は動揺しますわ。
上手くいけば、戦わずに勝てます」
3人は、一番幼い女の子の知略に恐れたのだった。
「陛下にご相談申し上げよう!
早いほうがよい。
今から急ぎ、謁見を「」手配するぞ。
侍従長には筒抜けで、口惜しいが仕方ない」
公爵は、苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
陛下の謁見で、この先を話し合わなくてはならない。
勝手にはこれ以上は、進めない状況に陥っている。
部屋の中には、ピリピリした空気が辺りに充満していた。
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