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第4章 光と闇が混ざる時
第13話 人の口に戸は立てられぬ
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学園に通う馬車の中、茶髪のエリアスが心配そうに私に話す。
内容は、偽りの兄ブライアンの事だった。
「お嬢様、兄上さまを私の身代わりにして大丈夫なのですか?!」
平気も何も、私たちクラレンスが決めた事だ。
「エリアス、お兄様は剣も体術も貴方よりできます。
べつに構わないわよ。
そのぐらいで根をあげるこの先は何かあったら、とても生き残ってはいけないわ」
彼はエテルネルの国王になりたければ、この難局を乗りきってくれなければならない!
教室の薔薇組に入ると、何故だか令嬢たちがキラキラ輝いて見えました。
「………?!
ライラ様、おはようございます。
皆さま、何だか見掛けや瞳も輝いてますね。
何か良いことや、楽しい学園行事のご予定でもこざいますの?!」
プリムローズは、何時もより念入りの御令嬢たちの格好や髪型見て想像をした。
「プリムローズ様は興味なしですわね、きっと!
何でも亡き王弟殿下のご子息が生きていたと、王都中に噂が流れていますのよ」
ライラがプリムローズに説明していたら、別の場所から御令嬢たちの悲鳴にも似た声が聞こえだした。
「ああー、どんなお方なのかしら?!
今まで何処で、どんなお暮らしをされてましたのでしょう?」
「ご苦労なさったはずですわ!
お可哀想に…、私がお慰め致したいですことよ」
「それは、私もですわ。
絶対に、気品溢れる素敵なお方に違いありません」
『あれから、3日しか経ってなくてこれですの?!』
プリムローズは御令嬢たちの会話を聞き、祖父グレゴリーによる作戦を思い浮かべていた。
スクード公爵は、祖父からの手紙をへーディン侯爵にそのまま送り自分の意見も書き添える。
途中敵に手紙を盗まれないように、両家が取引している卸業者に秘密裏に郵送を依頼した。
それは偶然だったが、プリムローズが助けたタルモの知り合いの商会であった。
両家は、祖父グレゴリーの作戦に乗ることした。
祖父は子分たちに軍資金を渡すと、酒場で飲みながら話を吹聴するように仕向ける。
「プリムローズ様ったら、どうなさいましたか。
ボーッとなさって?
貴女も話題の方を、気になっていますの?!」
ライラはスクード公爵の嫡男オスモ様と婚約を結んでいるから、恋のお相手として興味はなかった。
「あ、ごめんなさいね。
クラスの御令嬢たちの会話が、あまりに凄い熱気であてられてしまったわ。
長い間、行方不明でしたみたいですね」
「大きな声では話せませんが…。
10年も行方知れずの方が、突然現れる…。
少しおかしくありませんか!?
不敬ですが、その方は本物なのでしょうか」
ライラは扇で隠すように、プリムローズの耳元で囁く。
普通の人なら、まずそう思いますよね。
「えーえー!ライラ様!
それは本当の話なの?!
10年もでしたの?!
それは、よくご無事で生きて戻られましたわね。
これはまさしく奇跡です!
神様に選ばれたお方としか思えません」
プリムローズはわざとらしく驚き、大きい声でライラに伝えると聞こえてしまった者たちが便乗するように騒ぎだしてきた。
「プリムローズ様の仰ることは、一理あります。
まさしく、奇跡のお方でございますわ」
彼女も噂を聞くと真っ先に感じた事を、目の前にいる彼女に言われてしまった。
プリムローズは帰りの馬車には乗らず、学園の外で待つメリーを乗せた馬車で祖父母の屋敷に向かった。
「メリー、待ったかしら?」
「いいえ、お嬢様。
どうぞ、早くお乗りくださいませ」
プリムローズは馬車に乗り込むと、タルモ殿が笑顔で迎えてくれた。
「これはこれは、プリムローズ様お久しぶりです。
またまた何やら、問題が発生したみたいですな」
「タルモ殿、今回も手助けして頂き感謝致します。
祖父母の願いで、ご足労をお掛けしました」
久しぶりの再会であったが、メリーが主人に報告する。
「お嬢様、タルモ殿と一緒にカフェや市場に出向きました。
平民たちの間にも、王弟殿下の忘れ形見の子息が見つかった話はちゃんと知れ渡っておりましたよ」
メリーとタルモは、クラレンス公爵夫妻とエテルネルのルシアン王子に会う前に二人で調査していたのだった。
「人の噂は随分と早く伝わるようですね。
学園でも御令嬢たちが夢心地で、突如現れた王子様に夢中になってましてよ」
「ハハハ、【人の口に戸は立てられぬ】とは良く言ったものです。
人の噂が広まるのは、どうしょうも出来ませんからね」
笑いながらプリムローズに、茶化すように話すタルモである。
「それにしても、作戦決行から3日しか経っていない。
いくらなんでも、これは早すぎませんか?」
なぜ人は、そんなに他人に興味があるのか。
プリムローズには、サッパリ理解できないらしい。
「それだけ、王弟殿下は慕われていたのではないでしょうか?
エリアスを見て、私はそう感じますわ。
ヘイズ王にはまだ世継ぎが、誕生しておりませんから……」
メリーの言葉に、プリムローズとタルモは同意して同時に頷く。
お祖父様は、タルモ殿に挨拶をしたいだけではないと彼女は思った。
気の毒なこと…、多分タルモ殿も仲間に入れてこき使うおつもりよ。
わが祖父ながら困ったお人だと、孫娘は胸中で文句を言っていた。
そんな風に実の孫に思われているとは、まったく知らない祖父グレゴリー。
チェスの駒を動かしては、悪知恵を働かせていた。
戦の神は、意外に才知に富んだ方であったのだ。
内容は、偽りの兄ブライアンの事だった。
「お嬢様、兄上さまを私の身代わりにして大丈夫なのですか?!」
平気も何も、私たちクラレンスが決めた事だ。
「エリアス、お兄様は剣も体術も貴方よりできます。
べつに構わないわよ。
そのぐらいで根をあげるこの先は何かあったら、とても生き残ってはいけないわ」
彼はエテルネルの国王になりたければ、この難局を乗りきってくれなければならない!
教室の薔薇組に入ると、何故だか令嬢たちがキラキラ輝いて見えました。
「………?!
ライラ様、おはようございます。
皆さま、何だか見掛けや瞳も輝いてますね。
何か良いことや、楽しい学園行事のご予定でもこざいますの?!」
プリムローズは、何時もより念入りの御令嬢たちの格好や髪型見て想像をした。
「プリムローズ様は興味なしですわね、きっと!
何でも亡き王弟殿下のご子息が生きていたと、王都中に噂が流れていますのよ」
ライラがプリムローズに説明していたら、別の場所から御令嬢たちの悲鳴にも似た声が聞こえだした。
「ああー、どんなお方なのかしら?!
今まで何処で、どんなお暮らしをされてましたのでしょう?」
「ご苦労なさったはずですわ!
お可哀想に…、私がお慰め致したいですことよ」
「それは、私もですわ。
絶対に、気品溢れる素敵なお方に違いありません」
『あれから、3日しか経ってなくてこれですの?!』
プリムローズは御令嬢たちの会話を聞き、祖父グレゴリーによる作戦を思い浮かべていた。
スクード公爵は、祖父からの手紙をへーディン侯爵にそのまま送り自分の意見も書き添える。
途中敵に手紙を盗まれないように、両家が取引している卸業者に秘密裏に郵送を依頼した。
それは偶然だったが、プリムローズが助けたタルモの知り合いの商会であった。
両家は、祖父グレゴリーの作戦に乗ることした。
祖父は子分たちに軍資金を渡すと、酒場で飲みながら話を吹聴するように仕向ける。
「プリムローズ様ったら、どうなさいましたか。
ボーッとなさって?
貴女も話題の方を、気になっていますの?!」
ライラはスクード公爵の嫡男オスモ様と婚約を結んでいるから、恋のお相手として興味はなかった。
「あ、ごめんなさいね。
クラスの御令嬢たちの会話が、あまりに凄い熱気であてられてしまったわ。
長い間、行方不明でしたみたいですね」
「大きな声では話せませんが…。
10年も行方知れずの方が、突然現れる…。
少しおかしくありませんか!?
不敬ですが、その方は本物なのでしょうか」
ライラは扇で隠すように、プリムローズの耳元で囁く。
普通の人なら、まずそう思いますよね。
「えーえー!ライラ様!
それは本当の話なの?!
10年もでしたの?!
それは、よくご無事で生きて戻られましたわね。
これはまさしく奇跡です!
神様に選ばれたお方としか思えません」
プリムローズはわざとらしく驚き、大きい声でライラに伝えると聞こえてしまった者たちが便乗するように騒ぎだしてきた。
「プリムローズ様の仰ることは、一理あります。
まさしく、奇跡のお方でございますわ」
彼女も噂を聞くと真っ先に感じた事を、目の前にいる彼女に言われてしまった。
プリムローズは帰りの馬車には乗らず、学園の外で待つメリーを乗せた馬車で祖父母の屋敷に向かった。
「メリー、待ったかしら?」
「いいえ、お嬢様。
どうぞ、早くお乗りくださいませ」
プリムローズは馬車に乗り込むと、タルモ殿が笑顔で迎えてくれた。
「これはこれは、プリムローズ様お久しぶりです。
またまた何やら、問題が発生したみたいですな」
「タルモ殿、今回も手助けして頂き感謝致します。
祖父母の願いで、ご足労をお掛けしました」
久しぶりの再会であったが、メリーが主人に報告する。
「お嬢様、タルモ殿と一緒にカフェや市場に出向きました。
平民たちの間にも、王弟殿下の忘れ形見の子息が見つかった話はちゃんと知れ渡っておりましたよ」
メリーとタルモは、クラレンス公爵夫妻とエテルネルのルシアン王子に会う前に二人で調査していたのだった。
「人の噂は随分と早く伝わるようですね。
学園でも御令嬢たちが夢心地で、突如現れた王子様に夢中になってましてよ」
「ハハハ、【人の口に戸は立てられぬ】とは良く言ったものです。
人の噂が広まるのは、どうしょうも出来ませんからね」
笑いながらプリムローズに、茶化すように話すタルモである。
「それにしても、作戦決行から3日しか経っていない。
いくらなんでも、これは早すぎませんか?」
なぜ人は、そんなに他人に興味があるのか。
プリムローズには、サッパリ理解できないらしい。
「それだけ、王弟殿下は慕われていたのではないでしょうか?
エリアスを見て、私はそう感じますわ。
ヘイズ王にはまだ世継ぎが、誕生しておりませんから……」
メリーの言葉に、プリムローズとタルモは同意して同時に頷く。
お祖父様は、タルモ殿に挨拶をしたいだけではないと彼女は思った。
気の毒なこと…、多分タルモ殿も仲間に入れてこき使うおつもりよ。
わが祖父ながら困ったお人だと、孫娘は胸中で文句を言っていた。
そんな風に実の孫に思われているとは、まったく知らない祖父グレゴリー。
チェスの駒を動かしては、悪知恵を働かせていた。
戦の神は、意外に才知に富んだ方であったのだ。
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