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第4章 光と闇が混ざる時
第3話 惚れた欲目
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スクード公爵オレフは、実際に見てもパーレン伯爵を敵の仲間とは思えなかった。
賭けに出てみた、どうせ話しても狙われるのは確定しているのだ。
「プリムローズ嬢、正直にこの者に話しても良いか?!
儂は、どう見ても悪者に見えんのじゃあ」
私とスクード公爵は、同じ考えを持っていた。
伯爵は、エリアスを害する人に感じない。
私が縦に一度大きく頷いて、了承を意思表示する。
「ここにいるクラレンス公爵令嬢が、図書館へ行ったことから話が始まる。
たまたま、人気のない書物の部屋で偶然に密談の話を聞いてしまったのだ」
スクード公爵は、私が話した事柄を詳しく前に座るパーレン伯爵の家族らに話して聞かせる。
「そ、そんな!
裏切り者が2名もおったのか。
王妃さまやご側室にも、子の出来なくする薬を飲ませるとは…。
ヴェント侯爵は、西を預かる将軍職ではないか!」
パーレン伯爵は下を向くと、軽く首を振っていた。
そんな夫を見て隣に座る夫人は、私たちに驚きの真実を語りだした。
「ヴェント侯爵夫人のセレナ様は、私と同じ学年でしたのよ。
そして、彼女は前ベルナドッテ公爵の隠し子です」
これまた、伯爵夫人の暴露話にびっくり仰天。
「それは、本当なのか。
初めて聞いた話だぞ。
何処で、誰に聞いたのだ!」
公爵はもう脅迫かと思うほどに、目の前に座る夫人に強い言葉使った。
伯爵夫人はそれに動ぜず、たんたんと質問に返していった。
さすがに毒女の母親だけあり、肝が座っているようにみえる。
「学園で彼女が、知らない男性と話をしてましたの。
当時私は令嬢たちから容姿を貶されて、人気のない場所で泣いておりました。
その時に、出くわして偶然に聞いてしまったのです」
夫人の話では、自分等より少し年齢が上の男性にベルナドッテの父はお元気かと尋ねていたという。
「スクード公爵の驚きようですと、ヴェント侯爵夫人はベルナドッテ公爵の娘として嫁いではいないのですか?」
プリムローズは、ヘイズの貴族の家名や爵位がサッパリわからない。
「えぇ、彼女は伯爵令嬢でしたわ。
そうなると、養女だったのかもね。
生まれて直ぐに伯爵家に貰われたら、誰も気づくことはないでしょう」
パーレン伯爵夫人は関係ないので、誰にも話すことなく忘れていたがこの話の中で思い出し伝えてくれたのだ。
今まで一言も話さずにいた、公爵夫人ニーナ様が決定的な仮定を告げる。
「これでは、王宮でやりたい放題ですわ。
ヴェント侯爵に嫁いだセレナ様の父上は、伯爵で王宮勤めの現侍従長の役職ですもの」
ニーナ様の話は、プリムローズを愕然とした。
ベルナドッテ公爵とその伯爵が裏で暗躍してたら、王宮行事とか人員の配置は向こうが有利に決まっているじゃないの!
「こりゃ参った。
王に話しても、憶測だけで解任できないぞ。
彼に目立つ失敗は無いし、無理だのう。
これは、その場での直接対決になるわい!」
この公爵って大物なのか、ドーンと構えすぎではとプリムローズは思う。
「公爵様。侍従長に匹敵する王宮で信頼できるお方が、味方はいらっしゃいますの?
四大将軍のうち東と北は味方ですが、南の将軍はどちらにつくか分かりますか?」
プリムローズは、勢力の分布図を知りたかった。
どっちにしても、内乱で血を見るしかない。
なるべく、ムダな犠牲は出したくないと考えていた。
ハッとしたときに、パーレン伯爵一家が顔色悪く座っていた。
私たちは、彼らの存在を完璧に無視して話をしてしまった。
「お気になさらずに。
しかし、我がパーレン伯爵家も進退を決めねばならぬな。
王族から離れたが、私の中には王族の血が間違いなく流れている」
「貴方、私は貴方に従いますわ。
貴方のお側にいられるだけで、私は幸せですから。
ふふっ、【惚れた欲目】ですわね。
これは、失礼致しました」
惚れた伯爵を、実際以上によく思ってしまうと伯爵夫人は言っているのね。
『あぁ、これこそが無償の愛!
私には、一生無理ですわ』
彼女は、自分をよく知っていた。
「私こそ、君に感謝しているよ。
本当に、今まで有難う。
君やテレーシアに危険が及ぶ、離縁して私は伯爵家を離れる」
プリムローズは、意味が理解できなくキョトンとした。
「伯爵は、入婿なんじゃあ」
横でスクード公爵が小さな声で、プリムローズに説明をしたのである。
なるほどと、彼女は公爵に頷くと娘テレーシアが父に言うのであった。
「私もお父様の意思に従います。
私たちは家族、困難でも一緒にいます。
まだ、危険とは限らないのではありませんか?」
テレーシアの言葉に、ここにいる者は一応頷く。
「そうじゃ。
あちらが、これ以上何もしないでくれたらと思う。
長きに渡り、王妃や側室たちに薬を盛った罪は消せないがな」
「このまま、年末年始の行事が無事に終わるのを祈りましょう。
ですが、万が一のために戦いの準備をおこらぬように。
最悪は、玉座を狙っての貴族同士の内乱になり得ます」
スクード公爵とプリムローズの話に、パーレン伯爵は知らぬ間に暗躍が進んでいたことに驚くしかできない。
伯爵にエリアスを会わせたい気持ちがあるが、プリムローズそれを我慢した。
信じたかったが、枯れを会わすまでの信用と信頼を最後まで持ち得なさったである。
やり取りは、ここまでになった。
とうとう明日は、エリアスを連れて王宮に出向く日になる。
どのような話が飛び出すか、不安と喜びが入り交じっていた。
賭けに出てみた、どうせ話しても狙われるのは確定しているのだ。
「プリムローズ嬢、正直にこの者に話しても良いか?!
儂は、どう見ても悪者に見えんのじゃあ」
私とスクード公爵は、同じ考えを持っていた。
伯爵は、エリアスを害する人に感じない。
私が縦に一度大きく頷いて、了承を意思表示する。
「ここにいるクラレンス公爵令嬢が、図書館へ行ったことから話が始まる。
たまたま、人気のない書物の部屋で偶然に密談の話を聞いてしまったのだ」
スクード公爵は、私が話した事柄を詳しく前に座るパーレン伯爵の家族らに話して聞かせる。
「そ、そんな!
裏切り者が2名もおったのか。
王妃さまやご側室にも、子の出来なくする薬を飲ませるとは…。
ヴェント侯爵は、西を預かる将軍職ではないか!」
パーレン伯爵は下を向くと、軽く首を振っていた。
そんな夫を見て隣に座る夫人は、私たちに驚きの真実を語りだした。
「ヴェント侯爵夫人のセレナ様は、私と同じ学年でしたのよ。
そして、彼女は前ベルナドッテ公爵の隠し子です」
これまた、伯爵夫人の暴露話にびっくり仰天。
「それは、本当なのか。
初めて聞いた話だぞ。
何処で、誰に聞いたのだ!」
公爵はもう脅迫かと思うほどに、目の前に座る夫人に強い言葉使った。
伯爵夫人はそれに動ぜず、たんたんと質問に返していった。
さすがに毒女の母親だけあり、肝が座っているようにみえる。
「学園で彼女が、知らない男性と話をしてましたの。
当時私は令嬢たちから容姿を貶されて、人気のない場所で泣いておりました。
その時に、出くわして偶然に聞いてしまったのです」
夫人の話では、自分等より少し年齢が上の男性にベルナドッテの父はお元気かと尋ねていたという。
「スクード公爵の驚きようですと、ヴェント侯爵夫人はベルナドッテ公爵の娘として嫁いではいないのですか?」
プリムローズは、ヘイズの貴族の家名や爵位がサッパリわからない。
「えぇ、彼女は伯爵令嬢でしたわ。
そうなると、養女だったのかもね。
生まれて直ぐに伯爵家に貰われたら、誰も気づくことはないでしょう」
パーレン伯爵夫人は関係ないので、誰にも話すことなく忘れていたがこの話の中で思い出し伝えてくれたのだ。
今まで一言も話さずにいた、公爵夫人ニーナ様が決定的な仮定を告げる。
「これでは、王宮でやりたい放題ですわ。
ヴェント侯爵に嫁いだセレナ様の父上は、伯爵で王宮勤めの現侍従長の役職ですもの」
ニーナ様の話は、プリムローズを愕然とした。
ベルナドッテ公爵とその伯爵が裏で暗躍してたら、王宮行事とか人員の配置は向こうが有利に決まっているじゃないの!
「こりゃ参った。
王に話しても、憶測だけで解任できないぞ。
彼に目立つ失敗は無いし、無理だのう。
これは、その場での直接対決になるわい!」
この公爵って大物なのか、ドーンと構えすぎではとプリムローズは思う。
「公爵様。侍従長に匹敵する王宮で信頼できるお方が、味方はいらっしゃいますの?
四大将軍のうち東と北は味方ですが、南の将軍はどちらにつくか分かりますか?」
プリムローズは、勢力の分布図を知りたかった。
どっちにしても、内乱で血を見るしかない。
なるべく、ムダな犠牲は出したくないと考えていた。
ハッとしたときに、パーレン伯爵一家が顔色悪く座っていた。
私たちは、彼らの存在を完璧に無視して話をしてしまった。
「お気になさらずに。
しかし、我がパーレン伯爵家も進退を決めねばならぬな。
王族から離れたが、私の中には王族の血が間違いなく流れている」
「貴方、私は貴方に従いますわ。
貴方のお側にいられるだけで、私は幸せですから。
ふふっ、【惚れた欲目】ですわね。
これは、失礼致しました」
惚れた伯爵を、実際以上によく思ってしまうと伯爵夫人は言っているのね。
『あぁ、これこそが無償の愛!
私には、一生無理ですわ』
彼女は、自分をよく知っていた。
「私こそ、君に感謝しているよ。
本当に、今まで有難う。
君やテレーシアに危険が及ぶ、離縁して私は伯爵家を離れる」
プリムローズは、意味が理解できなくキョトンとした。
「伯爵は、入婿なんじゃあ」
横でスクード公爵が小さな声で、プリムローズに説明をしたのである。
なるほどと、彼女は公爵に頷くと娘テレーシアが父に言うのであった。
「私もお父様の意思に従います。
私たちは家族、困難でも一緒にいます。
まだ、危険とは限らないのではありませんか?」
テレーシアの言葉に、ここにいる者は一応頷く。
「そうじゃ。
あちらが、これ以上何もしないでくれたらと思う。
長きに渡り、王妃や側室たちに薬を盛った罪は消せないがな」
「このまま、年末年始の行事が無事に終わるのを祈りましょう。
ですが、万が一のために戦いの準備をおこらぬように。
最悪は、玉座を狙っての貴族同士の内乱になり得ます」
スクード公爵とプリムローズの話に、パーレン伯爵は知らぬ間に暗躍が進んでいたことに驚くしかできない。
伯爵にエリアスを会わせたい気持ちがあるが、プリムローズそれを我慢した。
信じたかったが、枯れを会わすまでの信用と信頼を最後まで持ち得なさったである。
やり取りは、ここまでになった。
とうとう明日は、エリアスを連れて王宮に出向く日になる。
どのような話が飛び出すか、不安と喜びが入り交じっていた。
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