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第2章  愛と希望とそして秘密

第6話 王家からのお茶会

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 サロンでは3人が、やごやかに笑いながら話をしていた。
兄ブライアンが妹に、ここ座るように手招てまねきして呼んでくれる。

すっかり緊張感もなく、祖父母に接するようになった兄ブライアン。
私が一礼して座ると、メイド長アンナがお茶をいれテーブルに置いてくれた。
席に着き次第しだい、前から声が聞こえてくる。

りもせずに、またお茶会を開くそうじゃあ。
今度は、我が家全員に招待状を寄越よこしてきたわい!
フーン!」

祖父グレゴリーが機嫌悪く、プリムローズに見せるためテーブルに招待状を置く。

「今回は、王妃様と側室の共同開催よ。
2人で仲良く力を合わせてとは、ほんに健気けなげだの~う!オッーホホホ」

祖母は、あわれんだ表情を見せながらもバカにして笑っている。

「私は学園で殿下につかまり、直接お茶会の時は宜しくと言われ。
いきなりでビックリしました。
何が宜しくなのかと思いましたよ!」

兄もクラレンス家の色に染まり、皮肉ひにくが上手くなったわね。
なかなかのリアクションです!

プリムローズは招待状のはしっこを、汚いものでも触るようにつまんで話しだした。

「私は嫌よ、行かないわ。
絶対に何か起きる。
そして必ず巻き込まれるのよ!
私の予想はよく当たるの。
ですから、王宮でのお茶会は3人で行って下さいませね!!」

なりふりかまわずとはこのような状況なのだろうか、彼女は必死ひっしに逃げにはいった。

「お前が行かんとならぬ!
王妃はお前と仲良くなったのを、皆に見せつけたいのじゃあ。
我が家は、迷惑至極めいわくしごくだがな」

祖父はしょうがなくも、孫娘を説得にかかった。

「別に、私は仲良くなりたくありませんわよ。
前の王妃様よりは、多少は頑張っているのは評価しますけどね。
出来ることなら、会いたくありませんことよ!」

プリムローズは、ふて腐れて3人に話す。

「プリムローズ、大丈夫です。
今度は、私たちが側にいるからね。
ブライアンには、この前は荷が重かったのよ」

兄ブライアンは、下を向き心の中で訴える。
祖父母がいたら、もっと酷くなったはずだ。

自分はあれが精一杯だったと、言い訳を胸の内でする。
例え家族でも、死んでもここでは口に出せない言葉をー。

「わかりました。
仕方しかたありませんわね!
そのお茶会は、いつですの?!」

プリムローズは、あきめた表情で予定を聞くのである。

「再来週の週末です。
挨拶して茶と菓子を飲んで食べて、あんな場所にはさっさと帰りますよ。
なんで、わらわたちを呼びつけるのか!失礼な!」

祖母はたかだかエテルネルの国のクセにと言いかけて、グッと我慢していた。
愛する夫グレゴリーの手前、耐えに耐え忍んでいる

しかし、またしてもや。

その願いを神様は、徹底的に無視した。

参加者全員が、忘れられない事件が起きるのである。

後世こうせいに長く語り継がれるお茶会になるとは、主役になるクラレンス家一同はこの時は思いもしなかった。

 2人の貴婦人は、朝から支度したく余念よねんはなかった。
この2人は、前世は姉妹と語られるぐらい。
いい意味で馬が合う。

見た目は水と油だが化学反応でも起こしたのかと、王宮内で陰でひっそりと噂をされている。

「スザナ宜しくて!
今日のお茶会に成功して、王室の威信いしんを必ずや回復するのです!」

王妃キャロラインは、持っているおうぎを握りしめる。
その姿は今からどちらの戦場へと、聞いてしまう顔立ちであった。

「はい、王妃様!
2人であれほど考え抜いた、招待客に間違いはありませんわ!」

うれいのある顔をした側室スザナは、期待と不安の胸中を表していた。

「気を付けるのは、あのクラレンス公爵家のみ!
我ら王族で目を光らせば、絶対に平気だ!」

王は会話を聞き、2人の愛妻にはげますように声かけた。

「父上、過信かしん禁物きんもつです。
あの方々は、普通の考えの持ち主ではありませんから!
本当に、お覚悟はおありですか?!」

こちらも、戦場に戦でも行くかのような言い回し。
王子ルシアンは、大人より大人の15歳である。

これから始まる喜劇、いや悲劇をこのとき予想はしがたい。  
王族たちもまさかここまでになるとは、誰一人思わなかったのであった。
 
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