18 / 75
第1章 隣国の王族
第18話 絢爛豪華な誕生日
しおりを挟む
王と側室スザナは時間がかかったが、やっと中へ足を踏み入れる。
妻である王妃のせいで、王である自分の権威はかなり落ちてしまった。
あんなに沢山の貴族たちに、醜態を見せたのだ。
クラレンス公爵の屋敷に、二人は初めて来訪する。
筆頭公爵だけあり、王宮並の広間は広さと豪華さで圧倒された。
主な貴族たちや外国の大使たち。
著名人、財界に平民でも貴族より力のある方々が集っていた。
中央階段下の舞台には、オーケストラ並みの数の演奏者。
ドーンと居座る、それはアルゴラ国立楽団!
演奏は各国でも有名で、死ぬ前に聴きたい楽団の一番手である。
出されている料理は、見たこともないモノや贅沢でさまざな食材を使用したのをこれでもかと沢山置かれていた。
王宮の晩餐会より遥かに素晴らしい。
「もの凄く豪華ですわね!」と、ご夫人たちが近くで会話している。
「それはそうですわよ。
クラレンス家の秘宝と呼ばれる、プリムローズ様の節目となる10歳のお誕生日ですもの!」
「アルゴラ王が、特別に楽団をお貸ししたそうです。
私、今日の日を一生忘れないわ」
その夫人は、感極まり泣きだす素振りをした。
「知っていますか?
プリムローズ様に、あの天才作曲家が曲を贈るとか!」
3人の夫人方は、王族が近くにいるのも知らずに話に夢中になっていた。
「陛下、私たちに挨拶に来ませんわ。
いくら主役がプリムローズ様でも、これはどうでしょうか?!」
側室のスザナは複雑な思いを、隣にいる王に現状を伝えた。
そんな思いも知らず、舞台上にはクラレンス公爵家一同が勢揃いを見せていた。
「おー、なんと堂々としたお姿じゃ!
流石は、戦の神のご家族じゃのう!」
1人の貴族が感想を話すと、周辺は納得して頷きあう。
「本当に神々しいですわ。
まさに、同じ人とは思えぬ程ですこと!」
貴婦人の言葉にますます小さくなり、2人は存在感が薄くなるばかりである。
王はため息をつき、私も帰れば良かったと後悔する。
突然、シンバルが鳴り響き。
続いて、間髪開けずトランペットが威勢よく奏でられた。
人々が舞台に注目する先には、豪華な真珠の宝石をつけた主役が挨拶を始めていた。
「皆様ー!
プリムローズ・ド・クラレンスの10歳の誕生日パーティーに集って頂き感謝致します。
セレモニーで、アルゴラ国立楽団の演奏がございます。
あの天才作曲家のフランソワ・パユの妖精達のワルツを聴いた後は、踊りたい方は踊り食事の方はおおいに食べ飲んで下さいまし!」
プリムローズが挨拶しお辞儀すると、クラレンス家一同も続く。
指揮者にプリムローズがタクトを渡し、舞台から降りると曲が始まった。
客達はその曲を聴きいった。
妖精たちが、花畑の中をまるで舞うようなワルツ。
「可愛くて綺麗な曲ね。
アルゴラで出会ったフランソワ様が、プリムローズ様をご覧になって一気に書き上げたそうですわよ」
フランソワ様は超美男子で、この国でもご夫人方から人気は絶大であった。
音楽の若き美神とまで、あだ名を付けられている。
「おぉ!
この曲は我が国を代表する曲ではないか!」
呼ばれた大使たちは、大喜びをして曲に合わせて体を動かす人もいた。
演出は懲りに懲っている。
特にプリムローズと兄ブライアンのワルツは、流れるように気品溢れる優雅な舞いであった。
拝見していた者は、ウットリとしている。
「楽しんで頂けてますか?
陛下、スザナ様」
プリムローズが、輝く笑みを浮かべると2人に声をかけてきた。
「お誕生日、おめでとうございます。
もちろんですわ。
全てが素晴らしいですよ。
そうですわよね、陛下!」
「有名な楽団を聴けて、心が踊ったよ。
プリムローズ嬢、誕生おめでとう!」
主役の彼女に、二人は素直な感想を述べた。
「まぁ、有難うございます!
良かったですわ。
来年は全員を招きたいと思いますのよ。
お茶会から日も浅いので、王妃様と殿下には遠慮させて頂きました。
陛下からお伝え下さいませね」
微笑みながら社交辞令を王と側室に返事する、プリムローズ。
その日の絢爛豪華なパーティーは、国中の話題になった。
妻である王妃のせいで、王である自分の権威はかなり落ちてしまった。
あんなに沢山の貴族たちに、醜態を見せたのだ。
クラレンス公爵の屋敷に、二人は初めて来訪する。
筆頭公爵だけあり、王宮並の広間は広さと豪華さで圧倒された。
主な貴族たちや外国の大使たち。
著名人、財界に平民でも貴族より力のある方々が集っていた。
中央階段下の舞台には、オーケストラ並みの数の演奏者。
ドーンと居座る、それはアルゴラ国立楽団!
演奏は各国でも有名で、死ぬ前に聴きたい楽団の一番手である。
出されている料理は、見たこともないモノや贅沢でさまざな食材を使用したのをこれでもかと沢山置かれていた。
王宮の晩餐会より遥かに素晴らしい。
「もの凄く豪華ですわね!」と、ご夫人たちが近くで会話している。
「それはそうですわよ。
クラレンス家の秘宝と呼ばれる、プリムローズ様の節目となる10歳のお誕生日ですもの!」
「アルゴラ王が、特別に楽団をお貸ししたそうです。
私、今日の日を一生忘れないわ」
その夫人は、感極まり泣きだす素振りをした。
「知っていますか?
プリムローズ様に、あの天才作曲家が曲を贈るとか!」
3人の夫人方は、王族が近くにいるのも知らずに話に夢中になっていた。
「陛下、私たちに挨拶に来ませんわ。
いくら主役がプリムローズ様でも、これはどうでしょうか?!」
側室のスザナは複雑な思いを、隣にいる王に現状を伝えた。
そんな思いも知らず、舞台上にはクラレンス公爵家一同が勢揃いを見せていた。
「おー、なんと堂々としたお姿じゃ!
流石は、戦の神のご家族じゃのう!」
1人の貴族が感想を話すと、周辺は納得して頷きあう。
「本当に神々しいですわ。
まさに、同じ人とは思えぬ程ですこと!」
貴婦人の言葉にますます小さくなり、2人は存在感が薄くなるばかりである。
王はため息をつき、私も帰れば良かったと後悔する。
突然、シンバルが鳴り響き。
続いて、間髪開けずトランペットが威勢よく奏でられた。
人々が舞台に注目する先には、豪華な真珠の宝石をつけた主役が挨拶を始めていた。
「皆様ー!
プリムローズ・ド・クラレンスの10歳の誕生日パーティーに集って頂き感謝致します。
セレモニーで、アルゴラ国立楽団の演奏がございます。
あの天才作曲家のフランソワ・パユの妖精達のワルツを聴いた後は、踊りたい方は踊り食事の方はおおいに食べ飲んで下さいまし!」
プリムローズが挨拶しお辞儀すると、クラレンス家一同も続く。
指揮者にプリムローズがタクトを渡し、舞台から降りると曲が始まった。
客達はその曲を聴きいった。
妖精たちが、花畑の中をまるで舞うようなワルツ。
「可愛くて綺麗な曲ね。
アルゴラで出会ったフランソワ様が、プリムローズ様をご覧になって一気に書き上げたそうですわよ」
フランソワ様は超美男子で、この国でもご夫人方から人気は絶大であった。
音楽の若き美神とまで、あだ名を付けられている。
「おぉ!
この曲は我が国を代表する曲ではないか!」
呼ばれた大使たちは、大喜びをして曲に合わせて体を動かす人もいた。
演出は懲りに懲っている。
特にプリムローズと兄ブライアンのワルツは、流れるように気品溢れる優雅な舞いであった。
拝見していた者は、ウットリとしている。
「楽しんで頂けてますか?
陛下、スザナ様」
プリムローズが、輝く笑みを浮かべると2人に声をかけてきた。
「お誕生日、おめでとうございます。
もちろんですわ。
全てが素晴らしいですよ。
そうですわよね、陛下!」
「有名な楽団を聴けて、心が踊ったよ。
プリムローズ嬢、誕生おめでとう!」
主役の彼女に、二人は素直な感想を述べた。
「まぁ、有難うございます!
良かったですわ。
来年は全員を招きたいと思いますのよ。
お茶会から日も浅いので、王妃様と殿下には遠慮させて頂きました。
陛下からお伝え下さいませね」
微笑みながら社交辞令を王と側室に返事する、プリムローズ。
その日の絢爛豪華なパーティーは、国中の話題になった。
22
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
この婚約破棄は、神に誓いますの
編端みどり
恋愛
隣国のスーパーウーマン、エミリー様がいきなり婚約破棄された!
やばいやばい!!
エミリー様の扇子がっ!!
怒らせたらこの国終わるって!
なんとかお怒りを鎮めたいモブ令嬢視点でお送りします。
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
断罪された商才令嬢は隣国を満喫中
水空 葵
ファンタジー
伯爵令嬢で王国一の商会の長でもあるルシアナ・アストライアはある日のパーティーで王太子の婚約者──聖女候補を虐めたという冤罪で国外追放を言い渡されてしまう。
そんな王太子と聖女候補はルシアナが絶望感する様子を楽しみにしている様子。
けれども、今いるグレール王国には未来が無いと考えていたルシアナは追放を喜んだ。
「国外追放になって悔しいか?」
「いいえ、感謝していますわ。国外追放に処してくださってありがとうございます!」
悔しがる王太子達とは違って、ルシアナは隣国での商人生活に期待を膨らませていて、隣国を拠点に人々の役に立つ魔道具を作って広めることを決意する。
その一方で、彼女が去った後の王国は破滅へと向かっていて……。
断罪された令嬢が皆から愛され、幸せになるお話。
※他サイトでも連載中です。
毎日18時頃の更新を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる