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第1章  隣国の王族 

第11話 波乱の幕開け

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 朝っぱらから太陽が照りつけて、気温が上がりそうな天気。
比較的湿度の低いこの国でも、珍しく蒸し暑さを感じていた。
お兄様は私のドレスより濃い青色を着て、兄妹と判るようにして配慮して下さったようだ。

スザナ様は、王妃主催しゅさいのこのお茶会を考慮こうりょした。
彼女は側室の立場なので、控えて欠席されておられましたわ。
出しゃばらい性格で、上手に他の王族方と渡り合っていけるのであろう。

 王妃様と王子様が、出迎えの挨拶されている様子。
兄と私は、二人で仲良く肩を並べて王族に向かって歩きだした。

王妃キャロライン様は、赤に近い茶色の髪に紺に近い青い瞳のお持ちでハッキリした顔立ちをしている。
迫力のある美女だった。
気の強そうな性格は、誰もが予想できる。
元々は王女様だから、まぁ仕方ないわよね。
プリムローズは、微笑んで新しい王妃の人となりを考察こうさつしていた。

息子であるルシアン殿下は、学園でお会しているが今日は一段と着飾っている。
彼は父親に似て、陽の光を浴びて緩やかに輝く背中の中くらいの長い金髪を一つで結んでた。
その瞳の色は、アイスブルーで氷を連想させる。
まさしく、正統派の王子様そのものでしたわ。

「お初にお目にかかります。
クラレンス公爵次女プリムローズでございます。
以後お見知りおきを。
キャロライン王妃様にお会いでき、光栄ですわ。
ルシアン王子殿下、お誘い頂き感謝致します」

アルゴラの元王女殿下の祖母に習った、カーテシーを完璧にして挨拶する。
その所作しょさを直視して、王妃キャロラインは驚きを胸の奥底に秘めていた。

やはり噂以上に、幼いくせに美貌びぼうの持ち主のようね。
嫌みたらしく、カーテシーもすきがなくて流れるよう美しいわ。

「お噂は、耳に聞こえております。
これは可愛らしい。
ドレスもすずしそうでよく似合っていますよ!」

王妃様が、初めて対面する彼女にお声をかける。

「今日は、ゆっくり楽しんで下さい。
ブライアン殿、プリムローズ嬢」

ルシアン王子が、この日何度目か分からない。
同じ挨拶していた。

主催者である王族との顔合わせが終わり、2人は席に移動しながら話をする。

「お兄様は、ご友人方の所へ行かなくて宜しいのですか?」

妹プリムローズは、先程から目礼してくる令息たちを気にしていた。

「ああ、今日はお祖父様とおばあ様に頼まれているからね。
2人で、大人しくしていようね」

行きに祖父母から散々さんざんいい聞かせられていた、兄ブライアン。
何か起きたら、自分がどうなるか不安感で一杯いっぱいになっている。

「女の子は、ああいうキラキラしたお方がお好きなのかしらね?」

プリムローズは、ルシアン殿下を熱心に見つめるご令嬢たちを見ながら話す。

「プリムは、どんな感じの方が好きなのかなぁ?」

兄は、妹の男性の好みを探ってみた。

「お祖父様のように、強くて迫力のある方です!!」

キッパリと断言したが、それを聞くと兄は黙る。

 王妃様と王子様が、招待客との挨拶が終わるとお茶会が開催された。
始まると自由なので、ご令嬢たちはたちまち王子ルシアンの近くに集まっている。

兄と2人で王宮のお茶を堪能たんのうしていたら、兄の友人たちが話しかけてきた。

「ごきげんよう、ブライアン殿!今日は、妹君のお守りかね?」

三人の中の一人が、兄に声をかけて挨拶してくるのだった。

「お兄様。私はここにいますので、席を外しても平気ですよ!
ご友人方と交流なさって下さいませ」

私がそう話すと、じゃあ少しだけ行ってくると友人たちの席に行く兄ブライアン。

その後、兄は後悔することになる。
妹の大丈夫と平気は、絶対に一生涯いっしょうがい信じられなくなるのであった。

  プリムローズは、昨日フルールのお店に行った所為しょいで疲労していた。
何せあの二人の相手だ、神経を普段よりつかっていた。

席に一人で、ボーッとしていたら帰りたくなる。
筆頭公爵の者が、やはり居ないとまらないのかしら?

それとも、ただの数合わせなのかもとか考えていた。
これで最後にして、次回からは招待状を頂いても行かないと強く誓うのである。

この後に何が起こるとも知らず、彼女はじっとそこに座っていた。

 
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