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第三章 フィアナ奪還
第十四話 魔法使いの姉妹
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全ては終わり堕天の呪われた力は消滅した。
エルンは賢者の里まで送り無事に家へと帰っていった。
ヴルムとは竜を育てる為の場所を捜すことを約束し、別れていく。
リヒトとアクセルは過去のわだかまりを解消し、お互いの冒険に幸がある様に誓う。
そして残されたのは一人の魔法使いだった。
「私は……私はこれからどうしたらいいのでしょうか?」
「それは自分で考えることでしょ?ケリドも疲れてるとは思うけど、魔女の話少しだけでいいからしてくれる」
「は、はい私は知らないうちにみなさんを傷つけてしまっていたので、何でも話します。魔女の話ですか分かりました」
――赤い髪の魔女それは嫌われることを選んだ魔女なんです。
ケリドと魔女アフラムは元はと言えば普通の姉妹でした。賢者の里出身の私たちは二人共強い魔法使いになるために毎日を魔法に捧げていたんです。アフラムは魔法使いとしての才能が開花し里一番の魔法使いになりました。姉の後をついていくケリドは才能がないと言われ煙たがられている日々が続き、私は自分に自信を持てなくなっていたんです。
「ケリド、何をそんな暗い顔してるの?私たちは二人で一つの魔法使いみたいなものでしょ、貴方が悲しんでいると私にもその悲しみが伝わってくる。周りの事なんて気にしないでもしも何か言われたら私がそいつらのことをけちょんけちょんにしてあげる」
「お姉ちゃん……うん‼」
アフラムはケリドに対していつも優しく振舞い、尊敬のできる存在となっていきました。
だがそんな二人の間を引き裂くかのように賢者の里ではある厄災が起こった。賢者の石を使ったゴーレムの出現、数十体のゴーレムたちは里をあっと言う間に滅ぶ寸前まで崩壊させた。
だけど里には強い魔法使いがいた、それがアフラム。アフラムは巧みに魔法を使うと、全てのゴーレムを一人で片づけた。里の英雄と慕われ拍手が起こるが、ゴーレムを倒すために使った魔力が限界値を超えてしまっていたために倒すと同時にアフラムは帰らぬ人となった。
悲しむケリドは家に引きこもりまい毎日泣いていた。
尊敬できる姉を惜しむ者は多く悲しむ人が殆どであったが、一部の人間はその死を喜ぶ者もいた。理由は簡単だアフラムの影響により薄れていた賢者たちの力を再び示せると考えていたからである。
「お姉ちゃんお姉ちゃん……」
家で泣いている時聴こえたのは、ある噂話であった。
「赤い髪の魔法使いの子、あの子を殺すために賢者様がゴーレムを生み出したって話よ」
その事を聞いた瞬間にケリドは決意をした。
この里を焼き払い姉を殺した里に復讐すると……。
決行日。
皆が寝静まる夜を狙ったケリドは家を出て杖を構えた。
暗がりに灯る火の魔法。
「これで……これでいいんだ」
火を放とうとした刹那、頭の中にアフラムの声が聞こえた。
『駄目よケリド、貴方はそんな汚いことをしては』
「お姉ちゃん‼何処にいるの!?」
『私はもういないわ。とりあえずこんなことは止めて」
「で、でも」
その声は暗い里に響いていた。
ケリドの声を聞きつけたのは里の賢者であった。
「おいそこで何してる‼」
「ち、違うんですこれは……」
「お前は確か、姉とは違ってできそこないの妹か」
「……」
賢者の男はケリドを見て興味無さそうにして帰っていこうとする。
しかしケリド、いやアフラムは自分の妹が馬鹿にされたことを許せなかった。
『ケリドを馬鹿にするな』
「なっ……その声はもしや、いやそんなわけはない」
『そんなわけがあるんだよ、私はアフラムだケリドじゃない」
ケリドの体を使ったアフラムは杖を使い目の前の賢者を燃やした。その勢いのままに火を賢者の里にばらまきそこら中に火の粉が舞った。
恨みや復讐、妹を馬鹿にされた気持ちをぶつけるようにして魔法を唱え続けていた。
暗がりの中、火の明かりを頼りに賢者の里にいる民達は異変に気付き外に出る。空を舞い火の魔法を操るシルエットは赤い髪をした魔法使い、誰かがその光景を見て言った。
――赤い髪の魔女
ケリドの身体を使い暴走し続けた結果……アフラムは堕天の力を使うことで更なる暴走をした。
『私は私は、もう誰にも負けない』
「お姉ちゃん、お姉ちゃん‼」
もうその時には私の声は届くことは無かった。
エルンは賢者の里まで送り無事に家へと帰っていった。
ヴルムとは竜を育てる為の場所を捜すことを約束し、別れていく。
リヒトとアクセルは過去のわだかまりを解消し、お互いの冒険に幸がある様に誓う。
そして残されたのは一人の魔法使いだった。
「私は……私はこれからどうしたらいいのでしょうか?」
「それは自分で考えることでしょ?ケリドも疲れてるとは思うけど、魔女の話少しだけでいいからしてくれる」
「は、はい私は知らないうちにみなさんを傷つけてしまっていたので、何でも話します。魔女の話ですか分かりました」
――赤い髪の魔女それは嫌われることを選んだ魔女なんです。
ケリドと魔女アフラムは元はと言えば普通の姉妹でした。賢者の里出身の私たちは二人共強い魔法使いになるために毎日を魔法に捧げていたんです。アフラムは魔法使いとしての才能が開花し里一番の魔法使いになりました。姉の後をついていくケリドは才能がないと言われ煙たがられている日々が続き、私は自分に自信を持てなくなっていたんです。
「ケリド、何をそんな暗い顔してるの?私たちは二人で一つの魔法使いみたいなものでしょ、貴方が悲しんでいると私にもその悲しみが伝わってくる。周りの事なんて気にしないでもしも何か言われたら私がそいつらのことをけちょんけちょんにしてあげる」
「お姉ちゃん……うん‼」
アフラムはケリドに対していつも優しく振舞い、尊敬のできる存在となっていきました。
だがそんな二人の間を引き裂くかのように賢者の里ではある厄災が起こった。賢者の石を使ったゴーレムの出現、数十体のゴーレムたちは里をあっと言う間に滅ぶ寸前まで崩壊させた。
だけど里には強い魔法使いがいた、それがアフラム。アフラムは巧みに魔法を使うと、全てのゴーレムを一人で片づけた。里の英雄と慕われ拍手が起こるが、ゴーレムを倒すために使った魔力が限界値を超えてしまっていたために倒すと同時にアフラムは帰らぬ人となった。
悲しむケリドは家に引きこもりまい毎日泣いていた。
尊敬できる姉を惜しむ者は多く悲しむ人が殆どであったが、一部の人間はその死を喜ぶ者もいた。理由は簡単だアフラムの影響により薄れていた賢者たちの力を再び示せると考えていたからである。
「お姉ちゃんお姉ちゃん……」
家で泣いている時聴こえたのは、ある噂話であった。
「赤い髪の魔法使いの子、あの子を殺すために賢者様がゴーレムを生み出したって話よ」
その事を聞いた瞬間にケリドは決意をした。
この里を焼き払い姉を殺した里に復讐すると……。
決行日。
皆が寝静まる夜を狙ったケリドは家を出て杖を構えた。
暗がりに灯る火の魔法。
「これで……これでいいんだ」
火を放とうとした刹那、頭の中にアフラムの声が聞こえた。
『駄目よケリド、貴方はそんな汚いことをしては』
「お姉ちゃん‼何処にいるの!?」
『私はもういないわ。とりあえずこんなことは止めて」
「で、でも」
その声は暗い里に響いていた。
ケリドの声を聞きつけたのは里の賢者であった。
「おいそこで何してる‼」
「ち、違うんですこれは……」
「お前は確か、姉とは違ってできそこないの妹か」
「……」
賢者の男はケリドを見て興味無さそうにして帰っていこうとする。
しかしケリド、いやアフラムは自分の妹が馬鹿にされたことを許せなかった。
『ケリドを馬鹿にするな』
「なっ……その声はもしや、いやそんなわけはない」
『そんなわけがあるんだよ、私はアフラムだケリドじゃない」
ケリドの体を使ったアフラムは杖を使い目の前の賢者を燃やした。その勢いのままに火を賢者の里にばらまきそこら中に火の粉が舞った。
恨みや復讐、妹を馬鹿にされた気持ちをぶつけるようにして魔法を唱え続けていた。
暗がりの中、火の明かりを頼りに賢者の里にいる民達は異変に気付き外に出る。空を舞い火の魔法を操るシルエットは赤い髪をした魔法使い、誰かがその光景を見て言った。
――赤い髪の魔女
ケリドの身体を使い暴走し続けた結果……アフラムは堕天の力を使うことで更なる暴走をした。
『私は私は、もう誰にも負けない』
「お姉ちゃん、お姉ちゃん‼」
もうその時には私の声は届くことは無かった。
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